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女将と美幸は、これから新しい家具を買いに行くという。僕も同行しようと言ったなら女二人だけでいいと言う。仕方なく僕は僕のアパートから運んできた荷物の整理をすることにした。


一階のリビングに荷物は置いてある。たいして量はないので、この機会に余分なものは捨てようと思っていた。



荷物の整理をしていると二階の大工が降りてきた。


「旦那さんは一週間前に街に来たのかい?」


「はい・・・」


「本当に幸せものだよ。何も知らないのに、あんないい女と結婚してこんな大きな家に住むことが出来る。署長とも知り合いなんだろう?」


「はい・・・」


「署長と知り合いなら何でも出来るさ・・・このあたりに住んでいる人は署長と知り合いなんだよ。そうでなければこの地域には住めない。今度俺を署長に紹介してくれないか?」


「紹介?紹介すると何かあるのですか?」


「ある。俺にとっては重要なことだ。頼むから・・・」


「紹介なら、いつでもいいですが・・・でも、この家の改造は誰からの依頼ですか?女将だと思うけど?女将から紹介してもらったならいいと思いますよ」


「いや、女将じゃない。役場からだ。こういう工事は役場からなんだよ。この街で家を建てたりすることは役場からしかない。まぁ、俺たちは役場の下請けということだな。いつまでたっても下請けだ。だから、上の奴らとは付き合いがないし、誰かの紹介でもないと話もできない。あんたは上流、俺は下流ということなんだよ」


「この街にそんなことがあるのですか?皆、仲良く暮らしていると思っていたのですが?」


「バカなことを言うな。この街ほど格差のある街はない。一定のレベルまでは同じだが、そこからは天国と地獄ぐらいの差があるんだ」


「信じられませんよ。確かに大きな家とそれなりの家があることは分かりますが、他の街よりも所得はいいし、何の不満もないと思いますよ」



「結婚していたならいいさ。俺みたいな独身は安い給料で働くしかない」


「結婚すればいいじゃないですか?」


「バカを言うな。あんたは結婚できたからいいだろうが、俺のところに来る女なんかはいない。この街の半分の男は結婚していないんだぞ。どうしてなのか分かるか?」


「・・・知りません・・・」


「教えてやろう。この街の男は品定めされているんだ。どうでもいいような男とは結婚しない。若くて力のありそうな男じゃないと無理なんだ。俺なんかはどう逆立ちしても無理だ。若くもないし何の取得もない。だから無理なんだ」


「そんなことはないでしょう?署長さんは皆結婚していると言っていましたよ」


「そんなことはない。皆、というのは結婚できる価値のある男はという意味だ。あんたは署長の怖さというものを知らない。だから、俺も署長と知り合いになりたいんだ。あんな奴だけど知り合いになっているのといないのでは雲泥の差なんだ。この街の人は・・・」


「そんなに力があるのですか?街長よりも?」


「街長?あぁ、いるにはいるみたいだが顔も見たことはない。警察が強い力を持っているということは確かなことだ。まぁ、俺もここに住んで一年しかならないから詳しいことは知らない。ある人から聞いたことだ。なぁ、署長を紹介してくれよ」


「はい、今度署長に会ったなら伝えておきます。名前は?」


「森嶋秀雄だ。菊町一丁目の森嶋だ」


「分かりました。それと、森嶋さん、一つ聞いてもいいですか?女将の店の幸福屋は知っていますか?」


「知っているよ。何度か行ったことがある。それがどうした?」


「その店で働いていた永井さんという人で自殺したことを知っていますか?」


「あぁ、聞いたが・・・」


「自殺の原因は?役場に行った夜のことなのですが?」僕は、今までの疑問の一つを尋ねることにした。



「役場・・・あぁ、あの会合か。俺も出ていたよ。十人ぐらいが出席していた。その中に永井さんもいたな。それがどうかしたのか?」


「何の会合なのですか?」






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「ご主人、住民が困ることは街がやってくれるのです。特にお金のかかることは街にまかせておけばいいのです。この街は、他の町と違っていて孤立している街です。色々とお金のかかることが多いのです。それで、街が色々と面倒をみてくれるのです。だから、私たちが幸せに暮らせるのです。その代わりルールというものがあります。私たちはそのルールに従ってさえいたならいいのです。余計なことをすると暮らせなくなりますよ。ましてや、結婚したばかりじゃないですか?ご主人の軽率な行動で奥さんが泣くことになってもいいのですか?」


「それは困る。でも、どんなルールがあるのかも知らない。それで、どうやって暮らしていけばいいのですか?街の小冊子にも書いてないことが沢山ありすぎて分からないのです。どこで調べたならいいのですか?皆さんは何年も暮らしているから知っているかもしれません。でも、僕は・・・」


「皆さん最初はそういうものです。次第に分かってきます。それまでは余計なことはしないことです」


何を聞いても無駄な感じと不思議な威圧感がして口をつぐんでしまった。



美幸も運転手の話に頷いているし、僕はどうしたらいいのだろうか?



毎日、不思議なことが起こり、不安や恐怖が膨らむが・・・ここのルールに従って暮らせばいいのだろうか?しかし、あまりにも不思議で非常識なことが多すぎる・・・



「茂さん、普通にしていればいいのよ。私が助けてあげるから・・・」


美幸は優しく言った。その言葉のどこまでを信じていいのだろうか?


美幸のことは信じたいが、それ以上に不審な気持ちも強くなっていた。



タクシーは美幸の家に着いた。




これからここで新婚生活が始まる。僕のアパートの荷物のことを女将に尋ねると全てはこの家に持ってきているという。手回しのいいことにも驚いてしまった。


さらに、新婚の部屋までも作っているというので二階に上がってみた。


美幸は女将に用事があるということで女将の部屋に行った。


二つの部屋を一つにして大きな部屋を作っている。一人の中年の大工がせわしなく動いている。


「旦那さんかい?あんたは幸せだよ。こんな大きな家の娘さんと結婚できるなんてな。俺たちはこの街での働きがないから借家暮らしだ。なんて幸せものなんだよ」


と、嫌味とも嫉妬とも受け取れる顔をした。



「そうですか?でも、この街は皆幸せに暮らしているじゃないですか?」


「あんた何も知らないのかい?そんな人は一部だけなんだよ。暮らしには困らないが、俺たちはこんな大きな家に住むことは出来ない。そうしたいと思っていても勇気がないし・・・」


「勇気?そんなものが必要なのですか?」


「何も知らないな?・・・まぁ、いずれ分かると思うがね・・・」と、ニヤリと笑った。


その笑った顔は何かに怯えているようにも感じた。不思議と何かそう感じたのだ。



「山田さん、お疲れ様でしたね。旅行は如何でしたか?」と、女将が顔を見せた。


「楽しかったですよ。料理も美味しかったし・・・」


「そう?でもね、勝手なことをしたら駄目ですよ。これからはルールを守ってもらわないといけないし、もし、勝手なことをしたなら私も美幸も困ることになるから。それと、あなたのことを嘱望している署長さんの顔もつぶすことになるわ。気をつけてね」


僕の旅館での不審な行動は既に連絡されていたと思った。



「はい、今後は気をつけます。すいませんでした。それと、こんなに大きな部屋はお金がかかるでしょう?」


「そんな心配はしなくていいのよ。明後日にはまとまったお金が・・・」と、言いかけたところで・・・


「お母さん・・・その話はいいのよ。茂さん、心配しないで・・・貯めていた貯金が満期になるのよ。だから、何も心配しないで・・・」と、美幸が言う。


「そうですか。いや、こんなに大掛かりな部屋の改造はお金がかかると思って・・・僕は何も出来ないし・・・すいません」


「いいのよ。美幸のお婿さんだから・・・これぐらいはさせてね」


と、女将が言うのであるが、いつも、女将が何か言おうとしたなら美幸が言葉をさえぎる。


どういうことなのだろうか?僕には知られたくない何かがあるのか?










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僕は簡単に体を洗うと湯に入った。


「茂さん、こっちに来て下さい・・・そして目を閉じていて下さい。私がいいというまでは目を開けないで・・・」


「うん、分かった・・・」何が起ころうとしているのだろうか?僕の心臓は激しく高鳴っていた。


「いいですよ・・・恥ずかしい・・・」



そこには美幸の立ったままの裸体があり、目を閉じていた。



素晴らしい裸体だ。胸から腰にかけてのクビレが女性の豊満な肉体を象徴している。


久しぶりに女の裸体を見た。



「茂さん、私の体はどうですか?好きになってくれますか?」


「・・・はい・・・」と、僕は美幸の腰に手を回して体を寄せた。


石鹸の香りと美幸の柔肌。すると、美幸は腰を下ろして僕の首に手を回してきた。


「初めてなの・・・お願いします・・・茂さん・・・」


「うん・・・」僕は美幸の体の隅々までをまさぐっていた。



美幸は何もしない。何もしないというよりも何をしていいのかということが分かっていないのか?



二人の動きで湯船のお湯が左に右に波打つ。


僕と美幸が一体になった時である、美幸は小さな嗚咽をもらした。


その後、僕は勢いにまかせて男としての役目をまっとうしたと思う。


やはり、美幸は初めてであったと思う・・・



行為が終わり美幸は顔を両手で覆った。





「これで女になれました。ありがとうございました。茂さんは?」


「良かったよ・・・本当に良かった。美幸の体は素晴らしい。一生愛していくから・・・」


「一生?信じていいのですか?私が死んでも愛してくれますか?」


「当たり前だよ。一生・・・」



美幸にとっての僕には深い愛情というものはないだろう?


こういう行為をしていくことで愛が深まることを信じたいと思っていた。


突然、「お母さんのようにはなりたくないの・・・」と、囁くような声だ。


「えっ・・・どうして?」


「ううん・・・どうしても・・・なりたくないの・・・」と、目をふせた。


何があるのだ?お母さんのようになりたくないということは?



「何があったのか教えて欲しい?」


「今は言えない。時が来たなら話してもいいと思うけど、今は・・・」少し涙声になっていた。


それ以上のことを聞くことは出来ないと思い、優しく美幸を抱き寄せてキスをした。



その途端、男としての勢いが呼び覚まされた。



部屋に戻り、二人は再び愛楽の中に入り、抱き合うように眠りについていた。



疲れていたのであろうか?何の会話もないままに・・・



朝、電話で起こされ朝食を食べ、タクシーに乗り街へ帰る。


昨日、来た時と同じ道だ。美幸はよほど眠いのだろうか?タクシーの中で眠ってしまった。


美幸が眠っていることを確認し携帯電話を取り出した。


ここまで来たなら圏外ということはないだろう・・・


圏外にはなっていない。タクシーの運転手に見えないように携帯から友人の登録番号を探してボタンを押してみた。



「山田さん、この中じゃ無理ですよ」と、運転手の声。


「えっ?」


「だから、車の中は携帯が使えないということです。緊急なことですか?」


その会話で美幸は目が覚めたようだ。


「奥さん・・・ご主人が携帯を・・・」


「携帯・・・駄目ですよ。ルールですから・・・誰にかけようと思ったの?」


「結婚したことを知り合いに・・・」


「それは街がやってくれます。知らせたい人には街が無料で知らせてくれます。お金のかかることは止めて下さい。携帯でかけるとお金が何倍もかかるということは知っているでしょう?それよりも、住民のために街が無料でやってくれるのですから無駄なことは・・・」


「直接話したいと思って・・・どうして駄目なの?美幸?・・・」




「・・・それは・・・」と、困っていると、タクシーの運転手が口を開いた。













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「料理が先です・・・それから・・・」


と、僕の手を払いのけた。その払いのける態度には愛情は感じられなかった。


「ごめんね・・・とても綺麗だったから・・・」


「いえ、いいんです。お食事にしましょう」


と、美幸は料理を食べ始めた。美味しい、とてつもなく美味しい。



こんな奥深い山の中にでも新鮮な魚介が並んでいる。



「美味しいね?」


「はい、母から聞いたことがあります。日本一だと・・・」


「お母さんは何度か?」


「えぇ、何度か・・・」


「署長さんと?」と、尋ねると美幸の顔色が瞬時に変わった。尋ねてはいけないことなのか?


「・・・知りません・・・」


「そうですか。それと、食事が終わったなら少し外でも散歩しませんか?」


「ごめんなさい。疲れているので・・・早く休みたいと思っています。夜は寒いですよ」


「そうだね。でも、少しだけ散歩してくるよ。庭園もあったし・・・」



会話のない食事であった。夫婦になったのであるから、少しは美幸のことを知っていたかったのだ。



散歩でもしながら話してみたいと思っていたが無理のようである。


食事は終わったのであるが、何とも味気のない雰囲気であった。


すると、食事の終了を見計らったように仲居が部屋にやってきて片付けをし、寝床の準備を始めた。


何とも無機質な仲居だ。殆ど会話はない。まるでロボットのように動いていた。


「美幸さん、ちょっと散歩に行ってきます・・・」


「はい、私は先に・・・」



これが新婚初夜とは思えない。愛が存在していないという感覚が押し寄せていた。




外に出た。僕に一つのアイデアが浮かんだ。まだ、時間的には午後の七時だ。


つまり、友人に結婚したということを連絡しようと思ったのだ。


外を歩きながら携帯電話を取り出す。そして・・・何と圏外だ。


携帯電話は使うことが出来ない。確かに山中ではあるが・・・庭園を移動しながら携帯の電波を受信出来る場所を必死に探したが無駄であった。


すると、どこからか仲居が僕の傍に来て。


「このあたりは携帯は使えません。もし、電話をかけたいのならフロントの公衆電話を使って下さい」


と、言って去って行った。何か監視されているようにも感じた。


公衆電話なら使える。急いでフロントに向かった。



この旅館も街と同じように明るすぎるぐらいの街灯が設置されていた。夜という感覚を忘れさせるように。


フロントの横にある公衆電話を見つけたが、小銭を持って来ていないので誰かを呼ぼうとした時、突然、女将が目の前に現れた。



「この電話は無料です。ご自由に・・・」と言う。


「ありがとう・・・」


僕は電話のボタンに指をかけた。何かおかしい・・・?


プッシュボタンが一つしかない。真ん中に一つだけである。


どこを見てもボタンは一つ・・・外線方式なのかと思い押してみた。


「はい、どちらの番号ですか?」と、女の人の声だ。


やはり外線方式なのだと思い、友人の電話番号を伝えると、その女の驚くような声がした。


「無理です。ここからは街だけと通話できます。他の地域とは通話できません。ルールです。あなたは、誰なのですか?名前を言って下さい」と、甲高い声であった。


「山田と言いますが・・・知り合いのところにかけようと思って・・・」


「山田さん?あぁ、結婚された方ですね。無理なのです。ルールですから・・・」


「結婚したことを伝えたいのです。何とかなりませんか?」


「ルールです」と、あっさりと冷たく切られてしまった。


すると、女将が現れて「山田さんのような方は初めてですよ。もっとルールを勉強してくれないと、私も困ります。署長から怒られますからね。それと、明日は七時に朝食です。その後、タクシーが迎えにきますから、それで帰って下さい。今夜は美幸さんを大事にしてあげて下さい。さっ、お部屋へ・・・」


「すいません。迷惑をかけるつもりはなかったのですが・・・」


「いいえ、おやすみなさいませ・・・」



この旅館も完全に孤立している。外部との接触は出来ない。



次第に不安というよりも恐怖心のほうが強くなっていた。



どうして外部との接触を嫌うのだろうか?何かがある?知ってはいけない何かが・・・


部屋の戻ると美幸の姿はない。すると、テーブルに置手紙があり、体が冷えたので温泉に行っているということと、家族風呂にいるので来て欲しいということだ。


僕は、不安や恐怖心よりも美幸と一緒に風呂に入られるということの欲望のほうが強くなっていた。


家族風呂に着くとスリガラスの向こうに美幸?の体が透けて見えた。


急いで浴衣を脱ぎ捨てると・・・



「美幸さん、僕だよ・・・入るよ」


「はい、少し待っていて下さい・・・湯船の中に入りますから・・・」


湯船の中に人の入る音がした。



僕は戸を開ける・・・そこには肩まで湯につかっている白い肌の美幸が後ろを向いていた。


黒髪が、とてもセクシーだ・・・









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住民カードを使うと言っていた・・・確かに便利かもしれないが?



一つ気になることは、美幸で決着させるということと潜入しているという何が何だか分からない会話であった。



潜入しているということでカードになるとは何なのだろう?


そんなことを考えていても何も始まらないことは知っている。


しかし、納得出来ないことばかりの街。常識が通用しない街。


僕は、その街で暮らすことになり、そして明日結婚する。


何も知らないままに・・・




結婚式は役場の中のホールで行われ、出席者は署長夫妻、女将だけであった。


神主が祝詞を読み上げる。僕は身の締まる思いがしていた。


その後、披露宴となったのであるが、予想していたものとは違い、警察署の各課の課長が出席してくれた。それと、役場の助役という人も出席した。助役と言えば街長の次にえらい人だ。


僕はこの街の発展のために尽力してくれる人だと署長から紹介された。


警察の各課の課長なのだが、例の署長に反抗した課長の顔はなかった。


噂どおりに左遷?され、何やら別のところに配属になったのだろうか?



披露宴も終わり、僕たちはタクシーで新婚旅行に向かった。



婚姻届は役場がやってくれるということであった。


婚姻届というものを書いたことがなかったので一度は書いてみたかったのだが、何の心配もないから早く旅行に行きなさいということであった。


タクシーの運転手は、二時間はかかりますと言う。美幸さんは疲れていたのであろうか、すぐに寝息をたてた。街の境界を出る。ここからは別の町だ。この街に来て一週間しか経過していない。何か他の町は新鮮に見えたのだが、僕の街よりも汚く感じた。今の街は、どこよりも綺麗であった。



タクシーは旅館に着いた。女将らしき人が出迎える。



「山田ご夫妻ですね。お待ちしておりました。さっ、お部屋に案内します。今日は山田様の貸切となっていますから、今夜はのんびりとして下さい」


貸切?・・・今夜の客は僕たちだけなのか?


こじんまりとした温泉宿だが、廊下に置いてある調度品は高級な感じがした。


部屋は全部で五部屋。全ての部屋は離れ部屋になっていて高級な懐石旅館の様相であった。


女将から一通りの説明をうけ、僕は温泉に入ろうかと美幸さんに言った。


「美幸さん、疲れたでしょう?温泉にでも行きませんか?」


「山田さん、美幸でいいです。私も茂さんと呼んでいいですか?」


「・・・では、これからそうしましょう」



二人は温泉に向かう。初春の夕陽の木漏れ日が廊下を照らし出している。


山中なので空気がひんやりとして気持ちがいい。


二人は男湯と女湯に別れて入った。



僕としては一緒に入りたいという欲望はあったのだが、あまりにも急だと嫌われるのではないかと思い、別々の風呂に入った。家族湯という風呂もあったのであるが・・・



湯船につかりながら、夜のことを考えてしまう自分がいる。



恥ずかしいという気持ちよりも、久しぶりに女を抱けるということの欲望のほうが強い。



女将の言うとおり美幸は初めてなのだろうか?


初めての女と関係を持ったことはないし、どのように接したならいいのかと少し不安になっていた。


風呂から上がると部屋には豪華な料理が並べられていた。高級懐石料理だ。こんなに豪華な料理は見たことがない。僕も料理人のはしくれであるから、どんな人が作っているのだろうかと知りたくなり、フロントに電話をかけてみた。



「山田様・・・何か?」


「料理長さんに会いたいのですが?」


「それは無理です。ここの料理長は誰とも会わないというルールです」


と、一方的に電話は切られた。



最初の接客とはうって変わって冷たい態度だ。このような両極端な態度は、この街に来てから不思議と慣れてしまっていた。そうなっていく自分が不自然な存在になるということだ。


美幸が部屋に戻ってきた。


「茂さん、今日から宜しくお願いします」と、正座をして頭を下げた。


何と可愛らしい態度なのだ。僕は豪華な料理よりも美幸を欲しくなっていた。



「キスしていいかな?」


「はい・・・」二人は長いキスを続けた。久しぶりのキスだ。男としての欲望が燃え上がるのを感じた。


美幸は過去にキスをしたことはあると直感した。唇と舌の使い方が慣れている。


そして、美幸の浴衣を脱がそうとした時のことである。













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「無理じゃないが・・・時間がかかるな。急にやったとしても周りの奴ら手前がある。俺が、そういうことをしたとなると街の治安は不安定になる。もう少しだ。辛抱してくれ。たまに会っているだけでいいだろう?」

「寂しいですけど・・・我慢します」


「一年だ。一年は辛抱してくれ。その代わりではないが俺の権限で何でもしてやる。安心しなさい」


「署長さん・・・待っています・・・」



一体何の話だ。この二人は愛人関係なのか?




愛人関係ということは理解できる話の内容であるが、それ以外のことは何一つとして分からない。



「女将・・・誰が外にいる?」


署長は突然ドアを開けた。



「あっ、すいません・・・お・・・おはようございます。・・・えっ、署長さん・・・」


「山田さんか?何をしている?」


「六時になったので一度アパートに帰ろうかと?着替えもしたいし・・・女将さんを探していたのです」


「そうか?女将・・・俺が山田さんを送っていく・・・」


「女将さん、お世話になりました。とても楽しい時間でした」


「えぇ、今日も店を宜しくね。明日は結婚式だから直接役場に来てもらうことになるから・・・」


「はい、それと署長さんが仲人をしていただけるということでありがとうございます。これからも宜しくお願いします」


と、僕は頭を下げた。僕が聞いていたことを知っているのであろうか?何もそのことについては聞いてこない。多分、丁度僕が階段を下りてきたのだと思う。



運のいいことに六時になっていた。六時を過ぎると外に出ることができる。



「さあ、送っていこう・・・」


僕は、署長の運転する高級な外車に乗った。


女将の車も国産としては高級車であったが署長の車は問題外に高級な車・・・ロールスロイスであった。


「山田さん、結婚のことは分かったかな?」


「はい、ありがとうございます。まだ、男として何も出来ないと思いますが、必死に働いて美幸さんを幸せにします。これからも宜しくお願いします」


「まぁ、力んでも仕方ない。のんびりと暮らしていけばいいんだ。君もいずれは街の有力者として頑張ってもらうことになる」


「有力者?」


「そうだ・・・街を運営していくことになる。一年たったなら議会の選挙があるが、それに出てもらう。いいな?間違いなく当選させてやる・・・」


「私が議員ですか?」


「そうだ・・・俺は君のことを信用している何があったとしても・・・だから、仲人をするんだ」


「こんな私でもいいのですか?」


「これから教育してやる。心配するな・・・それよりも美幸のことを頼むぞ」

「はい・・・」


車はアパートに着き部屋に入った。



何かがおかしい・・・その何かが分からない・・・


僕が議員・・・必ず当選・・・思いもよらぬ言葉であった。


こんな僕が街の議員になる。信じられないことが起ころうとしていた。


それと、署長は美幸さんのことをやけに頼むという・・・親でもないのに?

しかし、女将と署長が愛人関係・・・そして、もうすぐ結婚するかもしれない?


ということは署長は奥さんと離婚するということなのか?


さらに、街では現金が使えなくなるということも聞いた。


どういうことなのだろうか?現金を使うことで何の問題があるのだろうか?











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「そうね・・・またということで・・・それと、新婚旅行は街の指定の旅館にしてね。隣の県にある温泉施設がいいわ。どちらにしても無料だわ。新婚旅行ならタクシーも往復が無料よ・・・ねぇ、美幸」


「それがいいわ山田さん・・・あそこならゆっくりできるし何があっても安心よね」


「何があっても?」僕は、何か不思議な会話だと思った。


「何があっても・・・というよりも街が運営しているからなのよ。街の住民しか利用できないし変な人がいることもないわ。だからなのよ・・・山田さん」


「そういうことですか?でも、海外もいいなぁと思っているのですが?一度も行ったことがないし・・・」


「海外は駄目よ。それと、この街から海外に行くことはできないのよ。パスポートを発行していないの。誰も文句なんか言う人はいないし、海外は危ないわよ。最近、旅行者の事故が多いでしょう?」


女将は、少し強い口調になっていた。



「えっ、海外に行けない?ここの住民になったなら駄目なのですか?」


「役場のルールなのよ。海外なんかどうでもいいでしょ・・・美幸もそうよね?」


「うん、私は海外なんかに興味はないし、近くの温泉で十分よ。別に新婚旅行もなくてもいいと思っているし・・・山田さん・・・」


僕は、何も言えないでいた。結婚にしても式にしても、そして、新婚旅行にしても全ては前から決まっていたのだ。僕の考えは全く取り入れられていない。


それが、この街のルールなのだろうか?漠然とした不安と恐怖心のようなものを感じ始めていた。


全ては街のルールとして動かないといけない。そのルールの基で生活しないといけない。


そうしないとここでは生きていくことは出来ないのだろう?



毎日何かを体験することで街のルールというものがつきまとってくる。


個人の自由というものは存在しないのか?とも思う。


しかし反面、生活には何の不安もなく逆に天国のようだと感じることもある。


その夜は、女将の大きな家に泊まった。



明け方、トイレに行こうとして部屋の外に出た時のことだ。


一階のリビングのほうで何やら話し声がする。それも男の声だ。この家には女二人だけではないのか?


僕は、そおっと一階のリビングに足音をたてないように階段を下りた。


どこかで聞き覚えのある男の声・・・署長の声だ。何でこんな時間に署長がいるのだ?


女将の声がする。どうやら二人で話しているようだ。



ドアに耳をあて、会話を聞こうとした。



「女将・・・今回のことは美幸ということで落着させようと思うが?」


「いつも、すいません。感謝します。署長さんの配慮には感謝の言葉しかありません。美幸も喜んでいます。それと、山田のことは心配ないと思います。最初は誰でもそうですから・・・」


「あぁ、山田のことは女将に任せる。しかし、何かひっかかる男だよ。素性を調べてみても何もない・・・俺の思い過ごしのようだな。とにかく結婚させることが出来たのが一番だ。美幸のことは頼むぞ」


「はい、それと美幸のことで一つだけ心配なことがあります。この街にも慣れてきたのですが、まだ、不安があるようです。不安よりも幸せなことが多いのですが・・・若い娘は・・・」


「そうか・・・俺からも言っておく。これからは女房としての生活だからな。余計なことを言わないようにしてもらわないと困る。それと、警備課長からの報告があったのだが、潜入している可能性があるという。今日分かったのだが女将も店に来る客の監視は頼む。他の店にも連絡はしているが、街全体での支払いは住民カードにするということが明日決定する。不足していたなら現金でもいいが、まず、カードを出して住民かどうかの確認をすることになる。これは、明後日に通達として配布する。そういうことだ」


「そうなりましたか。それのほうが安心ですよ。住民全てを記憶することは出来ませんし、私としても安心です」


「そうだな・・・それと、女将は、これからどうするのかい?」


「・・・署長さんには奥様が・・・無理でしょう?」










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永井さんの遺体は、検死の結果、首吊り自殺だと断定された。


死後、十二時間が経過していたということを帰ってきた女将から聞いた。


つまり、昨夜の午後八時あたりに実行したということだ。何があったのだろうか?


しかし、女将も美幸さんも悲しんでいるという態度ではない。確かに、単なる店員として雇っていたのだし、それにしても・・・



その日は、永井さんの自殺の話は何もなかった。ただ、役場が葬儀をするということを聞いた。



永井さんは、ずっと一人身なので遺体を引き取る人もいない。


それで役場が火葬にして遺骨は、身元引き受けのない共同の墓に入ることになるという。


その夜は、今までになく店は混雑し結婚式の打ち合わせはできなかった



「山田さん、今夜は無理そうね。できたら、うちに来て相談したいのよ。うちに来ない?」


「えっ、女将さんの家?」


「早いほうがいいでしょう。うちに泊まっていけばいいのよ・・・」


「はぁ・・・いいんですか?」


「もうすぐ他人じゃなくなるし、一度うちに来てもいいんじゃないの?」


確かに、そうだ。結婚する女の家を見るのもいい。美幸さんは、どんなところに住んでいるのかという好奇心もあった。



僕は行きますと返事をした。



午後の八時になり、女将の運転する車で向かう。車のヘッドライトもいらないぐらいの明るい道。


歩いている人もいないし車も通っていない。


やけに大きな家が並んでいる地域に入った。三百坪ぐらいはあるような土地に豪邸が立ち並んでいる。


その一つの家の前で車は止まり、自動で門が開いた。そして、車は吸い込まれるように中に入っていく。


この家なのだ・・・こんなに大きな家なのだ。玄関前に車は止まり、僕に降りるように言う。


なんという豪邸なのだ。玄関周りは全て大理石で作られ、玄関のドアも高さが三メートルぐらいはある。


僕があっけにとられていると女将が「さっ、ここよ。入って・・・」と、木製の豪華なドアを開けた。


玄関の中で一人なら十分に暮らせる広さだ。こんな豪邸はテレビでしか見たことがない。


しかし、現実として僕の目の前にあるし、女将と美幸さんが暮らしている家なのだ。


こんな大きな家に二人だけ・・・リビングルームに行くように言う。



信じられない広さのリビングだ。



「お好きなところに座ってね」と、美幸さんが言う。


「ビールでいいかしら?」と、女将が言う。僕は頷いた。


「凄い家ですね?」それしか言葉にならない。


「うん、この街では大きいほうかもしれないわ。でも、もっともっと大きな家も沢山あるのよ。署長さんの家なんかはここの三倍ぐらいは・・・もっと大きいかもしれない・・・」


「とりあえず、乾杯しましょう。結婚祝いとしてね・・・」と、女将が笑った。



僕は、その時までは、普通の結婚式というものを想像していたのだが、それはこの街では普通ではなかったのだ。


「式は、署長ご夫妻さんが仲人するのよ。これは決定よ。それと、式は明後日。朝の十時から役場の中にあるホール。和式でいくからね。それと、披露宴も同じ場所。全て無料だから・・・料理は私の知り合いの割烹にお願いしたわ。それも無料だから一銭もかからないのよ。これでいいわよね?」


「えっ、もう決まっていたのですか?」


「決まっていたというよりも街のルールだから・・・それでいいわね、美幸も?」


「以前、友達の式に出たときと同じね・・・それでいいわ。山田さんもいいわよね?」


「いいというよりも決まっているし、変更はできないのでしょう?」


「変更って何?」


「あまりにも早くて・・・何も準備ができないと思うのですが?」


「何の準備なの?・・・何も要らないわよ。早く結婚するということが大事なのよ。山田さんが用意するものは何もないし・・・何の変更もしなくていいのよ・・・」


「・・・はい、それで、美幸さんと住むのは僕のアパートでいいんですか?」


「アパート?結婚したら、ここに住むのよ。あんなアパートだと美幸が嫌でしょう。ねえ?」


「うん、ここがいいわ。山田さんもそれでいいわよね?そうしようよ・・・」



ここの家。豪邸・・・僕は、今のアパートと比較していた。どう考えてもここの豪邸がいいに決まっている。しかし、新婚なら、しばらくは二人だけで生活したと思うのが当たり前だとも思う。


生活にも困らないし・・・至極当然だと思うが・・・



「うん、でも、最初は二人で生活するのも悪くないと思うけど・・・」


「それは駄目よ。こんなに大きな家だし、部屋も沢山あるし何の問題があるのよ?」


と、女将は少し苛立つような顔をした。



「分かりました・・・」と、言うしかなかった。


「そう、それで決まりね。どっちにしても、新婚さんの部屋を作らないといけないわ。あと少しでまとまったお金が入るし・・・それで、作ろうと思っているのよ・・・ねぇ、美幸?」



「・・・お母さん・・・その話は・・・今はしないほうが・・・」












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すると、タクシーの運転手が「乙女荘でいいですね?」と聞く。



僕は行き先を何も言っていない、ただ、駅のほうへと告げただけだ。




「そうですが?」



「分かりました。それでは乙女荘まで・・・」



「あのぅ、何で分かるのですか?」



「あなたのカードですよ。住民カード」



「カード?」



「カードを持っているでしょう?そのカードで分かるのです。そのカードを感知してデスブレィに表示されるのです。名前は山田茂さんです」



「・・・そうですか・・・」僕は無言になった。




そして、不気味さも感じた。完全に監視されている。



このカードは一体何なのだ。タクシーはアパートの前に着き五百円を払った。

何か疲れが出そうな感覚になっていた。



これから、店に行く。結婚するということが決まり、これからは二人の生活になる。



希望と不安とが交差している。何人かの女とは付き合ったことはあったが、結婚したいという気持ちになったことはなかった。それが、突然の結婚。愛という感情もないままの結婚だ。




しかし、美幸さんなら一緒に生活してもいいと思う。今まで付き合った他の女よりも綺麗だし・・・



そういうことを想像していると結婚ということが何となく素晴らしいのではないかと思うようになっていく、三日前にこの街に越してきて、今日は結婚するということになった。




まるで、時計が早く回っているような錯覚に陥っていた。




「おはよう。良かったわね」と、表に打ち水をしている女将が言う。



「何が何だか分からないままに結婚します。僕でいいのでしょうか?」



「山田さんがいいのよ。美幸も喜んでいるわ。幸せにしてやってね?」



「勿論です。必ず幸せにします」



「そうそう、結婚式の日取りについてだけど後で相談したいのよ?」



「はい、分かりました。では、ランチの準備に入ります」



「あっ、それとね、美幸のことだけど・・・男は初めてだと思うのよ。お願いね」



と、女将の声は小さくなっていた。




「・・・分かりました」



「お母さん・・・ちょっと大変なのよ・・・」と、美幸さんが表に出てきた。

「署長さんからだけど、永井さんが・・・永井さんが・・・自殺したらしいの?」



「自殺?」



「うん、部屋の中で首を吊って・・・」




どうやら、美幸さんが署長に会うということは永井さんのことだったのだ。



昨夜から連絡が取れないということで相談に来ていたのだ。




朝アパートに行っても鍵がかかっていて入れないということで警察にお願いしたということであった。



「署長さんが来てほしいと言っているのよ。お母さん行ってくれる?」



「それはいいけど、何故なの?昨日、役場で何があったのよ?分かったわ、すぐに行くから・・・それと、山田さん、そういうことだから店の準備はお願いするわ。二人で大丈夫よね?」



「分かりました。でも、とんでもないことになりましたね。店は任しておいて下さい」




女将は、身支度をして警察署に向かった。



何で自殺?それと、女将の一言が気になっていた。




役場で何があったの?・・・という意味深な言葉が?












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「ハハハハハ・・・そんなに甘いことはない。必ずバレル。最初はそんなことを考える奴もいるが、後で後悔する。一人だけ、そういうことをしようとした奴がいたが可哀相なことになった。君の考えているほど甘くはない。もし、信じられないのならやってみるがいい。別に止めはしない。警察としても罰金が入り経費が潤うことになる・・・ハハハ」



「尾行ですか?」



「そんなことはしない。まぁ、やってみるがいい。それで君の人生は終わるということだ」



「何が何だか分かりませんが、結婚については今返事しないといけないのでしょうか?」



「どういうことだ?・・・」



「僕の家族と相談しようかと?」



「嘘をつくんじゃない。君には両親はいないし兄弟もいない。いるのは叔父さんと叔母さんだけだ。それ以外の親戚はいない。相談する必要があるのか?」



僕の素性を完全に調べている。確かに、昨夜、幸福屋の女将と美幸さんには話した。



しかし、兄弟のことや他に親戚がいないということは話していない。



「明日では駄目ですか?」



「結婚するという返事ならいい。もし、結婚しないという返事なら、ここで暮らすことに不便なことになる。よく考えるように。そういうことで今日は帰っていい。明日の朝七時までに俺に電話するように」





何ということだ。この僕が結婚する。美幸さんなら問題もないと思うが、あまりにも性急過ぎる。





しかし、見合いをしたとしたなら・・・それもあるかもしれないと思い直した。





住民税のことも大きな問題だし、男としての処理のこともある。



一階に降り、受付前を通り抜けようとした時である。



「山田さん・・・」と、声をかけられた。



「えっ・・・」と振り向くと、そこには美幸さんがいた。



「署長からの話を聞きましたか?」



「聞きましたが、突然のことなので・・・」



「困っているようですね?」



「いえ、突然過ぎて・・・」



「私じゃ駄目でしょうか?」



「そんなことは・・・ないですが・・・」



「私は山田さんの妻になる気持ちはあります。最初に会った時に何かピーンとくるものがあったのです。こんな私ですが駄目でしょうか?母も賛成してくれていますし・・・」



「いえ、こんな僕でもいいのですか?本当にいいのですか?」



「あなたがいいのです」



「・・・分かりました。結婚しましょう。そして楽しい家庭を作りましょう。宜しくお願いします」



「こちらこそ、お願いします。結婚のことは私から署長さんに伝えておきます。それと、これから署長さんに別の件で話があるので・・・お店で・・・」



とうとう結婚することになった。しかし、美幸さんが僕に好意を持っていたとは信じられない。



会って二日しかたっていないのに・・・青天の霹靂というのだろうか?



しかし、何についても変な街だと思う。良いこともあるが不思議なことも多々ある。



帰りのタクシーの中でそんなことを考えていた。



学校の前を通り過ぎる、子供たちが整然と並んで登校している。



いずれ、僕の子供もこの学校に通うだろう。



突然携帯電話が鳴った。




「山田さん、署長の岡田だ。結婚のことは美幸から聞いた。それと、一つ言い忘れたことがある」



「何でしょうか?」



「昨夜、携帯電話で街以外の人と話したな?」



「はい。で何でしょうか?」



「街の外の人と話すと通話料金が一分間五万円になる。まぁ、知らなかったことだろうが、この街は独自のシステムで携帯電話を通話させている。今後は気をつけるように・・・」



「えっ・・・分かりました」



やはり、昨夜の携帯での通話も聞かれていたのだ。何ということだ。とてつもなく高い料金だ。



電話や携帯電話は街が支配しているのだ。そう思うしかない。



個人のプライバシーというものは何もないのだろうか?



僕の携帯電話番号も署長は知っていたし・・・



それと、あのアパートを契約した時には、電話も最初からついていた。



便利と不便が同居しているような街だと感じていた。













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