■勝汰章の著作刊行本
「笑顔になるための246のことば」
悲しみを乗り越える時に・・・
夫婦/恋愛/会社、仕事/子供/家族/友情、信頼/お金/病気、事故/生と死/挫折/セックス/男と女/今/
2030年までの運勢鑑定付
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住民カードを使うと言っていた・・・確かに便利かもしれないが?
一つ気になることは、美幸で決着させるということと潜入しているという何が何だか分からない会話であった。
潜入しているということでカードになるとは何なのだろう?
そんなことを考えていても何も始まらないことは知っている。
しかし、納得出来ないことばかりの街。常識が通用しない街。
僕は、その街で暮らすことになり、そして明日結婚する。
何も知らないままに・・・
結婚式は役場の中のホールで行われ、出席者は署長夫妻、女将だけであった。
神主が祝詞を読み上げる。僕は身の締まる思いがしていた。
その後、披露宴となったのであるが、予想していたものとは違い、警察署の各課の課長が出席してくれた。それと、役場の助役という人も出席した。助役と言えば街長の次にえらい人だ。
僕はこの街の発展のために尽力してくれる人だと署長から紹介された。
警察の各課の課長なのだが、例の署長に反抗した課長の顔はなかった。
噂どおりに左遷?され、何やら別のところに配属になったのだろうか?
披露宴も終わり、僕たちはタクシーで新婚旅行に向かった。
婚姻届は役場がやってくれるということであった。
婚姻届というものを書いたことがなかったので一度は書いてみたかったのだが、何の心配もないから早く旅行に行きなさいということであった。
タクシーの運転手は、二時間はかかりますと言う。美幸さんは疲れていたのであろうか、すぐに寝息をたてた。街の境界を出る。ここからは別の町だ。この街に来て一週間しか経過していない。何か他の町は新鮮に見えたのだが、僕の街よりも汚く感じた。今の街は、どこよりも綺麗であった。
タクシーは旅館に着いた。女将らしき人が出迎える。
「山田ご夫妻ですね。お待ちしておりました。さっ、お部屋に案内します。今日は山田様の貸切となっていますから、今夜はのんびりとして下さい」
貸切?・・・今夜の客は僕たちだけなのか?
こじんまりとした温泉宿だが、廊下に置いてある調度品は高級な感じがした。
部屋は全部で五部屋。全ての部屋は離れ部屋になっていて高級な懐石旅館の様相であった。
女将から一通りの説明をうけ、僕は温泉に入ろうかと美幸さんに言った。
「美幸さん、疲れたでしょう?温泉にでも行きませんか?」
「山田さん、美幸でいいです。私も茂さんと呼んでいいですか?」
「・・・では、これからそうしましょう」
二人は温泉に向かう。初春の夕陽の木漏れ日が廊下を照らし出している。
山中なので空気がひんやりとして気持ちがいい。
二人は男湯と女湯に別れて入った。
僕としては一緒に入りたいという欲望はあったのだが、あまりにも急だと嫌われるのではないかと思い、別々の風呂に入った。家族湯という風呂もあったのであるが・・・
湯船につかりながら、夜のことを考えてしまう自分がいる。
恥ずかしいという気持ちよりも、久しぶりに女を抱けるということの欲望のほうが強い。
女将の言うとおり美幸は初めてなのだろうか?
初めての女と関係を持ったことはないし、どのように接したならいいのかと少し不安になっていた。
風呂から上がると部屋には豪華な料理が並べられていた。高級懐石料理だ。こんなに豪華な料理は見たことがない。僕も料理人のはしくれであるから、どんな人が作っているのだろうかと知りたくなり、フロントに電話をかけてみた。
「山田様・・・何か?」
「料理長さんに会いたいのですが?」
「それは無理です。ここの料理長は誰とも会わないというルールです」
と、一方的に電話は切られた。
最初の接客とはうって変わって冷たい態度だ。このような両極端な態度は、この街に来てから不思議と慣れてしまっていた。そうなっていく自分が不自然な存在になるということだ。
美幸が部屋に戻ってきた。
「茂さん、今日から宜しくお願いします」と、正座をして頭を下げた。
何と可愛らしい態度なのだ。僕は豪華な料理よりも美幸を欲しくなっていた。
「キスしていいかな?」
「はい・・・」二人は長いキスを続けた。久しぶりのキスだ。男としての欲望が燃え上がるのを感じた。
美幸は過去にキスをしたことはあると直感した。唇と舌の使い方が慣れている。
そして、美幸の浴衣を脱がそうとした時のことである。
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