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前と違って、ラフな格好をしている。しかし、時計や指輪は高級なものであった。
時計は、ブレゲだし、指輪はブルガリだと思う・・・さらに、シャツは、エルメスのカシミアだ。
ズボンは、何か高級なものだと分かるが、どこのブランドかは知らない。
どちらにしても、上から下まで、数百万円というところだと思った。
金のない僕にとっては高値の花である。憧れでブランドの本を見ていたので、それが高級なものだと分かった。
「今度は何ですか? 今日は、休みなのでゆっくりしたいのですが?」
「ほんの少しだけです・・・南紀夫さんを知っていますよね?」
「南・・・紀夫・・・友人ですが・・・それが何か?」
「いえ、以前に安永恵理子さんと、一千万円を運んだということですよね?」
「一千万円・・・あぁ、あれですか・・・えぇ、一人では危険なので南にお願いしたのです。ただ、それだけですが・・・そんなことはよくあることです。すぐに金が欲しいという人も多くてね。振込みよりも現金をすぐに欲しいという人です。だからお持ちしただけですよ。それが何か?」
「いえ、それはいいのですが、南さんという人とは、どういう関係ですか?」
「変なことを聞きますね・・・南は、僕の友人ですよ。ただの友人です」
「ただの友人に、一千万円もの大金を運ぶことを手伝ってもらうのも?・・・普通じゃ・・・」
「ハハハ・・・大金? たかだか一千万円ですよ。しかし、何かあったなら困りますから南に頼んだのです。丁度、他の社員も忙しい時間帯でしたからね・・・そんなに不思議なことではありませんよ・・・大金といえば大金かもしれませんが、私たちの業界じゃ・・・普通なんですがね・・・ハハハ」
「そういうものですか? それで、南さんの居場所は知っていますか?」
「勿論、知っていますよ・・・今は、関西のほうへ行ってもらっています。大きな取引になるかもしれないという会社がありましてね、そこの調査に行ってもらっていますが、それが・・・何か?」
「調査?・・・」
「南は、私の外部調査員ですよ・・・もう、何年もやってもらっています。こちらも貸し付けるわけですから、調査するのは当たり前でしょう。個人や企業の調査機関は、いくつかありますが、それだけでは分からないこともあるのです。それで、実地調査をしているのです。この業界じゃあたり前ですよ・・・」
「そうですか・・・で、南さんは関西にいるということですが、ちなみにどちらでしょうか?」
「関西一円ということです。何社もありますからね・・・明後日には戻ってくると思いますよ・・・さっき連絡がありましたから・・・それが何か? 南に何かあるのですか?もういいでしょう・・・少し眠りたいのですが・・・何かの事件の捜査ですか・・・だったら、その事件のことを教えて下さい。まるで、私が犯人のような尋問じゃないですか?」
「いえ・・・ちょっと事件が・・・それで、南さんの携帯番号を教えてもらえませんかね?それと、野上さんの番号も?・・・」
「事件? 私には関係ないですよ・・・番号は・・・いいですよ。しかし、仕事中は電話に出ないことが多いから、何度もかけないと無理ですよ。それだけは言っておきますが・・・」
と、番号をメモした。
「お休みのところ・・・・」と、僕たちは部屋を出た。
受け答えといい、怪しいという雰囲気とは程遠い感じであった。
「南の電話番号から、南の素性が分かる。電話番号さえあれば何でも分かるよ・・・」
と、新開刑事は、少し微笑んだ。
そして、署に戻りその電話番号を職権で調べた。
ほどなくして南紀夫の住所は分かった。
宇都宮市大田中町五―四三一 大田マンション 二○五号
南 紀夫 33才
上記の住所から本籍を照合した。
本籍地 京都府京都市伏見区原石町一番通り三―十
南も野上と同じ京都の出身であった。年も同じである。
さらに、殺害された中川昭義も京都の出身である。
「今ちゃん、足首のことはお前に任せるよ。どうしても京都に行きたくなった。京都に何かあると思う。三人が京都の出身ということも気になる。京都に何かがあるとは思わないか?」
「・・・京都ですか? 偶然としては出来すぎのように思います・・・では、こちらは、安永と南の宇都宮での行動を徹底的に調査してみます。では、これから日光に戻ります・・・」
と、最終電車で日光へ戻った。
「新開さん、京都に何かこの事件の発端があるような気がしてきましたよ。野上は元暴走族・・・もしかしたなら、南もそうじゃないかと? さらに、中川も・・・そんな気がしますが・・・」
「あぁ、そうかもしれないな。しかし、三人が昔仲間としても、今回の事件とのつながりは何なんだ。中川は殺されている・・・何かの仲間割れということも推測できるが、そうなると、足首と手は一体何なのだ。もう一人、誰かを殺したということか?」
「いえ・・・そうなら、中川の殺害方法と死体の捨て方が、あまりにも乱雑すぎます。足首と手は、身元を分からなくするためだと思いますが、中川は、あまりにも無造作に捨てられています。同じ、犯人ということは考えにくいと思いますよ・・・仮に、中川の死体がこんなに簡単に発見されるということは、その線から警察が調べたなら、すぐにつながるということは子供でも分かりますよ。中川が殺害された時の野上のアリバイを調べる必要があると思います。それと、関西へ行っている南のアリバイも・・・」
「雪ちゃん・・・その通りだよ。野上のアリバイは、署の刑事が調べている。すぐに分かると思う。しかし、野上のような奴は、簡単には尻尾を出すことはないだろう・・・完全なアリバイを用意していると思うが?・・・」
「僕もそう思います。仮に野上が主犯だとしても、必ず、アリバイは用意しているでしょう。あの男なら・・・」
「あぁ、冷静な奴だよ。警察の質問にも動じることもなく答えていた。普通の奴なら、少しは緊張しているのが普通だ。その緊張感が何もない・・・かなり、場数を踏んできた奴だと思う。これは、簡単にはいかないような事件かもしれない。雲の中から暗闇へ入ったようだよ・・・雪ちゃん・・・京都へ行ってくるよ・・・必ず何かがある?」
「京都ですか? しばらく行っていませんね・・・確か、もうすぐ、※空也踊躍念仏ですよ・・・一度、見たいと思っていたのですが・・・東山の六波羅蜜寺で行われるのです・・・」
※ 空也踊躍念仏祭(くうやゆやくねんぶつ) かくれ念仏とも言われ、今年の罪を消滅させ、新年が良い年であるように祈る行事。
「雪ちゃんは、詳しいな・・・その名前を聞いたことがあるぞ・・・もう、そういう時期か・・・全ての罪が・・・犯罪がなくなるように祈ってくるか? そして、犯人を検挙するためにもな・・・」
「えぇ・・・僕も連れて行って下さい。京都にも知り合いがいますから、ちょっと顔でも出してみたいと思っています・・・」
ということで、京都へ行くことになった。
また、僕の悪い探偵癖が出てきたのかもしれない。
店は、新藤にまかせて、二~三日行ってくることになった。
僕たちが、京都へ行く日のことであった。
日光南署においても安永恵理子への任意聴取が再度行われることになった。
安永恵理子は、任意ということでも素直に従ったということであった。
「担当の今野と言います。今日は、ご足労です。少し伺いたいことがありますので答えていただけますか?」
「私の知っていることなら・・・」
「まず、最初に、南紀夫さんとのことについて聞きます。付き合いは長いのですか?」
「いえ、野上さんから紹介されました。二年ぐらい前だと思います。野上さんの友人ということで紹介してもらいました。それからの付き合いですが・・・調査員ということでした。色々な人の調査をしていると聞いています」
「何の調査員ということですか?」
「金融関係だと・・・詳しいことは知りません・・・色々な金融関係の借りる人の調査だと・・・」
「そうですか。それで、あの日、つまり、一千万円を運んだ日のことですが、どうして南さんに依頼したのですか?」
「野上さん・・・社長が、依頼したと思います。私ひとりだと危険だということでした。日光の郊外にある倉田製作所という工場へ運転資金を持っていったのです。それで・・・南さんが同行してくれました。その倉田製作所の社長さんも南さんが調査したということを聞いています。それで、南さんが・・・」
「なるほど、でも、おかしいですね。日光市内では、ベンツの中に安永さんの姿は、Nシステムに写っていましたが、中禅寺湖のNシステムには写っていませんでした。ということは、倉田製作所へ行った後に、あなたはベンツを降りたということですか? それにしても、倉田製作所と中禅寺湖とは反対の方角です?」
「はい、倉田製作所へお金を届けてから、私は、所用で降りました。その後は、南さんが運転して帰ったと思いますが、どこかに寄るようなことを言っていたのを記憶しています。何かの調査をするということでした・・・」
「どこでベンツを降りたのですか?」
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