レジェンド級のアクションスターたちの共演が話題となったコマンドアクションシリーズ最新作。

アメリカのニューオーリンズ。
『消耗品軍団(エクスペンダブルズ)』のリーダー、バーニーは仲間で相棒のリーの家を訪れる。恋人と絶賛口論中のリーは口汚く罵る彼女に辟易しながらもバーニーについて行く。

バーニーが向かったのはバイカーたちがたむろするバー。彼はそこで昨晩ジャンボ・シュリンプと賭け指相撲をして負け、自分のお気に入りである『幸運の指輪』を奪われてしまっていた。バーニーはリーにそれを取り返してほしいと頼み込む。
馬鹿馬鹿しい相談に気乗りのしないリーであったが、シュリンプをはじめ彼らの仲間を秒殺し、バーニーも掴みかかってきた巨体のバーテンダーを投げ飛ばす。指輪はそこまで高価なものではないのだが験を担ぐ彼にとっては大切なものであった。

そんな彼らにCIAから新たな任務が舞い込む。
バーニーはチームを召集。トールロードやガンナーたちのオリジナルメンバーに加え、この任務のために招聘したバーニーの旧友イージー・デイ、かつて共に戦ったガルゴの息子ガランが参加。そこにCIAのマーシュが登場し、今回の任務の内容が告げられる。

彼らにくだされた任務はリビアにある核ミサイルの起動装置を狙う武器商人ラフマトを阻止すること。さらに彼の背後には、バーニーやCIAが追う謎のテロリスト、オセロットが関与しているようだった。
バーニーは過去にオセロットの正体を探ったが、その際にチームは壊滅寸前の攻撃を受けた過去があり、まさに因縁の相手であった。

準備を整え、目的地へ向かう一向。
途中ガランの猥談やトールのつぶれた耳の話に辟易しながらも目的地近くに入り戦闘態勢に入るメンバーであったが、そこには多大な死体の山が。そしてバーニーの操縦する航空機にミサイルの攻撃が。
実は核ミサイルの起爆装置はすでにラフマトの手中にあった。
チームは逃亡を図るラフマトを追って、壮絶な追撃戦を仕掛けるのだが、その最中にバーニーの駆る航空機が被弾。
ラフマトを最後まで追っていたリーであったが、バーニーを救おうと彼を狙う高速ミサイル機の破壊していく。

だが、ラフマトの放ったランチャーライフルなよって航空機は爆撃され、墜落してしまう。
ラフマトは悠々と逃亡し、墜落した現場に駆けつけたリーたちは幸運の指輪をはめた無惨な焼死体を見つけ、リーをはじめとするメンバーたちは言葉を失い立ち尽くすのだった。

任務は失敗に終わり、帰ったメンバーたちは馴染みのバーでバーニーの弔い会を盛大に行うが、リーをはじめ悲しみに顔を曇らせるばかり。
そんな中マーシュがやってくる。
バーニーの敵討ちだと息巻くリーであったが、マーシュはそんなリーに任務失敗の原因はお前だと言われ、メンバーの総意だとしてリーはエクスペンダブルズからリストラされてしまう。

リーの目の前で新しいチームのリーダーはリーの元恋人であったジーナが任命される。
リーは憤慨してチームをあとにする。

職を失ったリーは炎上YouTuberのボディーガードなどをするも依頼主をぶん殴るなど性には合わず、ひとりバーニーの無念を晴らすためラフマトを追う決意を固める。

リーは新しく任務を引き継いだ元恋人ジーナの家に忍び込み、金庫から極秘任務と記された機密書類を発見。
それはバーニーたちが追っていたオセロットに関する情報とラフマトたちの狙いが記されていた。
帰ってきたジーナと激しく寄りを戻したリー。既に新しいチームを収集していてメンバーには入れないと言われたリーはせめてものと自分の愛用する巨大ナイフをジーナに託す。

数日後。マーシュによって新生エクスペンダブルズが召集される。
ジーナはガンナー、トールロード、ガラン、イージーデイのオリジナルメンバーに加え、自ら全身刺青の女性傭兵ラッシュを引き入れ、作戦に挑む。

ラフマトたちは巨大貨物船を強奪し、ロシア方面に航行していた。
既に核ミサイルをも手中におさめた彼らはロシア海域でミサイルを爆発させ、第三次世界大戦を引き起こそうと画策していた。政府が介入すれば国際問題となり、ロシアとの戦争は避けられない。そしてそこにはあのオセロットも関わっている。
秘密裏に終わらせるため全てはエクスペンダブルズに託されることとなった。
そしてその重大任務の総指揮にはマーシュ自ら参加するという。

一方、単身貨物船を追うリーはタイに渡っていた。
バーニーの旧友であり、かつてエクスペンダブルズの一員であったデーシャを探す彼は、貨物船を追うための船を借りるため掃除員風の男ともめるが、この男こそかつてバーニーをして『究極の殺人マシン』と言わしめたデーシャであった。
殺しからは引退したというデーシャであったが、バーニーが殺されたことを聞き、リーに貨物船までの道案内を買って出る。

ジーナ率いるチームの面々はミッションを開始。貨物船へと潜入するのだが、彼女らの行動は既にラフマトらに気づかれており、包囲されたジーナたちはそのまま捕まってしまい、機関室に閉じ込められてしまう。
ラフマトの部下たちは総指揮であるマーシュを連れ去る。
ラフマトはマーシュを人質にCIAと直接交渉し、彼らに証人として捕らえているバイの解放をせまる。CIAの幹部であるマーシュの命の保障のためCIAは要求を飲まざるを得なかった。

デーシャの案内で貨物船へと潜入したリーはジーナにあげたナイフに取り付けたGPSを頼りに彼らの救出とラフマトの殲滅を狙うが、多勢に無勢苦戦を強いられる。
その絶体絶命の危機を救ったのは殺人マシンとして復活したデーシャであった。
ナイフ一本で敵を殲滅していく彼の助けを得て、チームの救出にいったリーだが、ジーナたちは既に排出口から脱出していた。

チームとの合流を果たしたリーたちはラフマト軍への反撃を開始。
しかし既に核ミサイルの起動スイッチは入っておりカウントダウンが始まっていた。
チームは敵を殲滅しながらミサイルの阻止を狙い、リーは敵をなぎ倒しながら単身ラフマトととの最後の一騎討ちに挑む。

起爆装置をめぐる二人の生死をかけた死闘が繰り広げられるなか、チームは遂に真の黒幕であるオセロットの正体を知る。
果たしてリーたちは巨悪の野望を砕き、世界を核の危機から救うことができるのか……。

豪華なアクションスターたちが一同に介して活躍をみせる夢のアクション作品シリーズ最新作。

かつてハリウッド映画で一時代を築いてきたアクションスターたちが復活・再生するきっかけの作品としてアクション映画史上に残る功績を残した『エクスペンダブルズ』。
伝説のアクションスター、シルベスター・スタローンの企画・呼び掛けによって集まったスターたちは80年代、90年代のハリウッドアクションに夢中になった人々にとっては熱いものを感じざるを得ないものであった。

そんな人気シリーズもはや14年。
前作『ワールドミッション』から数えると約10年のブランクを経てようやく公開とあいまった。

この間にさまざまなレジェンドスターたちの動きがあり、看板のひとりであったアーノルド・シュワルツェネッガーはアクションからの前線から撤退。ブルース・ウィリスは認知症で映画界そのものから卒業と続編を取り巻く環境は二転三転していた。
スタローン自身も当初はシリーズの完全撤退を示唆していたが、共演や支持者の声をうけて復帰。出演者もヴァン・ダムが企画を売り込んで復活を再出演を狙ったり、ジャッキー・チェンにオファーがきたりと色々と噂と真実が錯綜する事態となり、コロナなどの影響もあってここまで公開が引き伸ばされることとなったようである。

本作の製作にあたり、コンセプトとなったキーワードは『世代交代』
前作でも新世代のケラン・ラッツやロンダー・ラウジーといったアクションスターたちとの世代交代感は描かれていたが、あくまで本筋は旧世代のスタローンであり、過去最大となったエクスペンダブルズメンバーの個々の活躍も散漫的な形となってしまっていた。
準主役たるジェイソン・ステイサムですら20分出てるかどうかの感じで、出演者は豪華ながら内容の消化不良感は否めなかった。

それから10年。
今回は真の意味でシリーズの世代交代を図る内容となっている。
まずは本作の主役はこれまでチームの二番手であったジェイソン・ステイサムとなった。オリジナルチームにおいては最も若手ではある(笑)。そしてこれまでリーダーであったスタローンは途中離脱し、本筋にはほとんど絡まなくなる。まぁ分かりやすい形で出てはくるのだが。

そして脇を固める出演陣も次世代スターたちが起用され、シリーズにおけるニューブラッドが投入された。
近年アクションに目覚めつつある女優ミーガン・フォックスをはじめ、アクションもこなすヒップホップアーティスト、カーティス・50セント・ジャクソン、アジアからはハリウッドでの活躍も目覚ましいムエタイ神トニー・ジャーとシラット王イコ・ウワイスが参戦。特にイコ・ウワイスは初の本格悪役としてジェイソン・ステイサムと死闘を繰り広げている。

ちなみにだが前作『ワールドミッション』のケラン・ラッツらを『新世代』と称したのは彼らが今回のトニー・ジャーやイコ・ウワイスらよりは若手になってくるため。
次世代とはいえトニー・ジャーも47歳だし、イコ・ウワイスも40歳でなかなかの中年なのである(笑)

ストーリー展開はシリーズ通してシンプルで、今回もその系譜は踏襲。
メンバーを失ったことによる復讐絵巻でブレはない(笑)
ただしステイサムが中心になったことにより、いつものステイサム作品のようにチームというよりは一匹狼モードの空気感がでて、新生チームとしての活躍は最後の最後までほぼなく、ステイサム無双アクションとなっている。

シリーズらしいガジェットアクションは前半の基地強襲シーンに比重をおいていて、後半からクライマックスに関してはワンショットワンキルの静かなアクションと肉弾戦がメインとなってくる。
格闘アクションファンとしては嬉しい方向性だが、シリーズファンとしては物足りなさが残るところでもあるだろう。

ステイサムが主役となったことから分かりやすくその傾向が強くなり、その最たるものがトニー・ジャーの存在である。
今回トニー・ジャーの役どころは銃器は一切使わず、ククリナイフとムエタイのみで敵を瞬殺していく。このキャラクター作りはジャー自らが監督に提案したもので、ジャーはムエタイアクションを世界に拡げる観点からもガンアクションには難色を示していたという。
まるでゲリラ部隊のような出で立ちで踊るように敵を殲滅する姿、そして九節鞭を操るアクション女優レヴィ・トランとのタッグ攻撃の妙は第一作のジェット・リー&ステイサム対ゲイリー・ダニエルズを彷彿させる。

そして本編最大の見所となるのがステイサム対イコ・ウワイスの一騎討ちだろう。
カメラワークの関係からステイサムにはダブルの可能性も否定できないが、この二人が繰り広げるハイスピードのバトルは必見。
ダブルナイフのステイサムに対して、先が刃物の特殊トンファーを使うウワイス。ステイサムの強さがわかる感じではあるが、ウワイスもシラット独特の連続打撃や飛び後ろ二段蹴りなど見せ場はたっぷり。
欲をいえばせっかくジャーが共演しているので彼との絡みも見たかったところではあるが、まぁ必要以上に絡ませると収拾もつかなくなるのでそこは致し方ないところだろう。

次世代についての話もだが、彼らを迎える旧世代の設定もまた面白い。
ヤク中でアル中だったドルフ・ラングレンは狙撃主なのに老眼が入って老眼鏡がないとライフルが当たらないといじられるほか、なんとマッチングアプリで見たことない相手と交際やり取りをしているという味付けまで。
ランディ・クートゥアはこれまでのナイーブな性格からさらにめんどくさいモードが追加。つぶれた耳に話題をふると酔ったジジイのように同じ話を繰り返す面倒臭さが加わった。
そしてスタローンとステイサムの仲良さそうな弄りあい。互いのジジイとハゲネタを弄りながらもユニークさは失わないのがシリーズ通しての魅力でもある。

本作を持ってスタローンはシリーズからの卒業を示唆しているので以降ステイサムとのオッサン同士の軽妙な弄りあいが見れないのは残念ではあるが、もしシリーズが継続するのならばほかのメンバーとの絡み合いがどうなるか期待したいところ。

作品自体はこれまでの豪華な出演スターの起用と比べるとやはり些かの小粒感は否めないところではあるが、紆余曲折した経緯を思えば、よくまとめあげたものと評価はしたい。
ただ感覚的にはシリーズ本編の続編というよりはリー・クリスマスのスピンオフ的な感じにも思えるので、これが更なるエクスペンダブルズユニバースみたいな感じになればまた面白いなぁと思った次第である。


評価…★★★★
(エクスペンダブルズの体をしたステイサムアクションを楽しむ作品。それを良しとするかどうかで評価は分かれるかも)

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