シルベスター・スタローンを始めとする新旧アクションスター勢揃いとなるアクションスターお祭り企画のコマンドアクション大作第3弾。

エクスペンダブルズ(消耗品軍団)のリーダー、バーニーはとある囚人護送列車を強襲しようとしていた。
そこに囚われているのはエクスペンダブルズのオリジナルメンバーであったドク。激しい重火器と破天荒な攻撃で収容所ごと爆破しドクを救出したバーニーたち。

ドクが現メンバーとの交流もそこそこに返す刀で次なるミッションにバーニーたちは挑む。
次なるミッションは武器商人ミンズの捕獲。
仲間のシーザーを偵察にし、メンバーはいつものごとくミンズが現れるとされる取引現場に向かい、攻撃を仕掛けるのだが、そこで見たのは信じられない光景であった。

かつてのエクスペンダブルズのオリジナルメンバーであり、反逆の末にバーニーによって殺されたはずの男、ストーンバンクスがそこにいたのだった。
動揺するバーニーは気づいたストーンバンクスの反撃にあいシーザーが被弾。瀕死の重傷を負ってしまう。

シーザーの敵討ちとはやるリー達を余所にバーニーは浮かない顔だった。
ストーンバンクスはエクスペンダブルズの手の内を知り尽くした男であり、狡猾で残忍な男だからである。
折しもバーニーはCIA のチャーチの後任というドラマーから改めてストーンバンクスの身柄確保のミッションを再度言い渡される。

だが、バーニーは仲間のこれ以上の犠牲を出さないようにと自らチームを解散させる。

改めてバーニーはストーンバンクスと対峙するためにかつての戦友と新たなチームのスカウトに出掛ける。
格闘技に秀でた女性戦士リサや強いリーダーシップをもつジョンなど新たに4名をスカウトしたバーニーは早速ストーンバンクスの確保に向かう。

旧メンバー並みにクセが強いながらも最新鋭のレーダー機器や情報操作などによって相手を翻弄し、見事ストーンバンクスを捕らえることに成功したかに見えたが、彼はチームの更に上をいく策略を仕組んでいた。
敵の逆襲にあい、ジョンたちはストーンバンクスの捕虜となり、バーニーは単独で命からがら脱出するのがやっとの状況であった。

ストーンバンクスの捜索隊を何とか撃退したバーニーであったが、ようやく戻った基地ではストーンバンクスの非情なるメッセージが送られていた。
囚われた仲間を救いたければバーニー一人で来いというもの。
絶体絶命の状況の中でバーニーは腕は立つがウザい押しかけ助っ人のガルゴを連れてストーンバンクスの待ち構えるアジトへ向かおうとする。
だが、そんな彼の前に待っていたのは解散したはずのリー達であった。

再びリー達を加えてエクスペンダブルズとしてストーンバンクスに挑む彼ら。
戦友であるトレンチやドラマーも救出作戦に加わり、史上最も困難な作戦に挑むのだが…

超豪華なアクションスター達が勢揃いして毎回話題となるオールスターコマンドアクションシリーズ第3弾。

ハリウッドのアクションスターのレジェンドであるシルベスター・スタローンの号令のもと始まった『エクスペンダブルズ』シリーズであるが、回を追うごとにその面々は豪華さを増していた。
味方、敵問わずその後の彼らの再ブレイクの起爆剤として本作はアクションスターの再生工場という役割を担っている。

見所となるのはやはり超豪華スターの共演であろう。
前回でもジャン・クロード・ヴァンダムやチャック・ノリスといったアクション界のレジェンド達が出演して話題となったが、本作では前作以上に豪華な面子が起用されている。

まず挙がるのはウェズリー・スナイプス。第1作からオファーはあったようだが、ようやく実現したメンバーである。折しも脱税で収監されてから出所後一発目の復帰作が本作。もちろんシリーズお馴染みの出演者弄りもちゃんとこの脱税事件に触れているのは流石(笑)

そして仮メンバーとして起用されてるのがアントニオ・バンデラス。今回の彼は本作におけるコメディリリーフを一手に引き受けている感じで、エクスペンダブルズが好きすぎるが故にウザがられるというキテレツな役所を演じている。
彼の見せ場も勿論あり、彼の大ヒット作『デスペラード』で見せたカッコつけた曲芸撃ちを披露している。

忘れてはならないのは新たにCIA 側の人間として前作までのブルース・ウィリスに代わり出演したのがハリソン・フォードである。
彼はクライマックスくらいしか活躍の場は無いが、そこではあの『スターウォーズ』のハン・ソロを思わす台詞などもあって映画好きを思わずニヤリとさせる演出がある。

そして本作一番の目玉起用と思われるのがメル・ギブソンであろう。
しかも彼は最強の敵としての起用である。狡猾で残忍な敵ボスということでバーニーの最大の強敵というのも納得な貫禄ぶり。クライマックスでは奇しくもスタローンとの一騎討ちもあり、ロッキー対マックスの夢の組み合わせが楽しめる。

この他にも若手アクションスターを大挙登用しているのが本作の見所のひとつで、女性総合格闘家のロンダー・ラウジーや注目の格闘アクション俳優ケラン・ラッツなどがエクスペンダブルズ入りを果たしている。

本作はこれまでにないほど豪華かつ大量にスターが新規採用されており、そのスケールも大きくなっている。

アクション的にもシリーズ最大ともいえるド派手な重火器アクションや爆破アクションは流石の迫力。その点に関しては申し分ない。
だが、シリーズもうひとつの売りである格闘アクションに関しては深刻な状況となっている。

主人公側のメンバーが大挙増えたためにそれぞれの見せ場を作る必要が出来たために必然的に個々のメンバーのアクションは少なくなってしまっている。
前作までは個人的に格闘シーンの見せ場があったジェイソン・ステイサムすら本作では中盤まるまる出番がなく、あろうことかクライマックスの見せ場である格闘シーンすらオマケ程度にしか活用されてない。

以前は1作目のスティーブ・オースチン&ゲイリー・ダニエルズ、2作目のスコット・アドキンスとラスボスに対応する中ボス的役割が存在し、彼らがエクスペンダブルズメンバーと肉弾戦を演じるのがシリーズ醍醐味のひとつであった。
今回は敵としては大ボスがメル・ギブソンで彼の一人舞台てある。
一応側近的なプロレスラーっぽい大男はいるが、それも一瞬で活躍の間もなく退場するので印象は薄い。

今回は格闘のできるメンバーがいながら格闘シーンが用意されているのはロンダー・ラウジーくらいであり、クライマックスの見所としてスタローン対メル・ギブソンはあるものの武骨な殴りあいが主体。回し蹴りの所は俯瞰図となっていてダブルを使っているのがまるわかりである。

準主役であるジェイソン・ステイサムですらそんな憂き目にあっているので他のメンバーであるドルフ・ラングレンやランディ・クートゥアなどはもはや台詞らしい台詞すらままならない状況であり、1作目では3番手であったジェット・リーに至っては最後しか出ておらず、格闘アクションはおろか銃乱射とラストでアーノルド・シュワルツェネッガーとのホモ疑惑的描写くらいしか目立ってない。

まさにアクションスターのインフレ状態で全体的には素材は豪華だけど出来上がりは薄味といった印象になっている。
特に新規採用されたウェズリー・スナイプスが蹴り一発くらいしか見せ場がないのはどうだろうか(^^;?

このシリーズはストーリー云々よりもいかに豪華スター達がインパクトあるアクションをするかというのが最大のウリとなると思われるのだが、その点でいうと本作はヤってしまった感がある。
平等な見せ場を作るというスタローンの優しさとは裏腹に作品としての味が薄まってしまうという皮肉な結果。
個々のクセの強いアクションスター達をオールスター作品で目立たせるという難しさが如実に痛感させられる作品である。

評価…★★★
(ドンパチだけ派手にしたってこの作品面白くなるわけじゃないことが判明しましたね(笑))