アメリカのとある山奥に外宇宙より隕石が飛来し、地上に落ちる。
その隕石には未知の生物『デッドリー・スポーン』の卵が付着していた。
墜落の衝撃で孵化した卵からは怪物の幼生体が生まれる。
近くでキャンプをしていた若者二人は隕石の落下した地点を見に行くのだが、そこにいた怪物に貪り喰われ、テントの中にいたひとりも幼生体に襲われ無惨に食べられてしまう。
二人を食べ成長した怪物はとある別荘地の家の地下へと潜り込み増殖を始めるのだった。
翌日。
猛烈な雨が降りしきるなかサムとバーバラ夫妻は釣りの準備をしていたが地下からの物音にサムが確認のため地下室へと降りていく。
薄暗い中でサムは足元を泳ぐトカゲのような生物を見つける。明かりをつけ見上げるとそこには巨大化した怪物が口を開けていた。
驚くサムはあえなく現れた怪物に丸かじりされて殺される。
一方、戻ってこないサムを心配したバーバラは地下室への扉が開いていることに気づき、降りていく。
サムを呼ぶバーバラの肩を彼の手が乗るがそれは喰いちぎられた彼の腕であった。
絶叫するバーバラの前にあの怪物が襲いかかり顔面に噛みつくとバーバラは顔の肉を削がれ、断末魔の悲鳴をあげながら食い散らかされていくのだった。
二人が怪物の犠牲になった頃、夫妻の末っ子であるチャールズは大好きなホラー映画を朝から大音量で鑑賞中。
煩さで目が覚めた叔父夫妻にたしなめられるもサム夫妻は釣りにいくと置き手紙をしているためその世話を余儀なくされていた。
一方兄のピートは彼女のエレンを家に招こうとするが、友人のフランキーも来ることになり勉強会と称して家に集まることに。
チャールズがホラーマスクをつけてふざけたり、ホラーに詳しい叔父と語り合ったりするもホームパーティーの準備に忙しい叔母たちは相手にしてくれず、部屋に閉じこもるしかない。
そんな中、叔母は故障気味の配電盤工事を電気屋に頼み、地下室への勝手口を開けると隣家のパーティーへ。
叔父は書斎で昼寝。
電気屋が地下室へと入っていくのをみたチャールズは彼を脅かそうとホラーマスクを被って彼のあとを追って地下室へと入っていく。
暗闇の中、チャールズは懐中電灯で辺りを照らすと壁や水浸しの床は鮮血に染まっており、さらに足下にはチョロチョロと泳ぎまくる大量のサンショウウオみたいな生物が。
その生き物が泳いでいく先を照らすと様々な大きさの口だけの怪物がうずくまっており、電気屋を貪り喰っていた。
そしてチャールズの足下に転がってきたのは母親のバーバラの生首。
大小の怪物によって喰われていく様子に出そうになる叫び声を必死に抑えてチャールズはその怪物の様子を観察し、彼らが音によって反応し、電気や炎に弱い性質を発見する。
その頃、ピートたちは地表に出てきた幼生体の死体を見つける。
解剖してみるも正体が分からず、博学な叔父に聞こうと部屋を開けると叔父は無数の幼生体に体の内部から食べられており、死んでしまっていた。
パニックに陥るピートたちは外に出ようとするが既にそこには大小の怪物が地表に出てきていた。急ぎ隠れるピートたちだったが遅れてきたキャシーが訪ねてきてしまい、逃げ遅れたエレンが怪物に頭を喰いちぎられ、首なしとなった遺体は外に投げられてしまう。
一方、隣家のパーティーにも地下水道を伝って出現した怪物によって参加者が次々と襲われ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
ひときわ巨大な怪物に襲われ万事休すとなったピートたちだったが、地下から逃げてきたチャールズが大声を出して注意を引く。
怪物はチャールズめがけて押し寄せてくるとチャールズはマスクに薬品と火薬を詰め込んでラジカセを大音量で流し一網打尽にしようとする。
大量増殖した怪物を相手にチャールズたちは果たして生き残れるのか…
低予算ながらも斬新なデザインのクリーチャーが話題となったSFスプラッターホラー
SFホラーの金字塔『エイリアン』のヒットにより数多くのSFホラーが製作されたが、合わせてこの時代は過激な血飛沫描写のスプラッター作品も隆盛しつつあり、特に残酷描写の際立ったSFクリーチャーものが作られていた。
本作もその中のひとつであるが、頭ひとつ抜きん出たカルト的人気をもつ作品である。
まず取り上げるべきはその斬新なクリーチャーデザイン。概ね『エイリアン』のハイライトである胸を喰い破って出てくる『チェストバスター』に幼生体は似てはいるものの幾重にも重なった牙だらけの口のみのデザインはシンプルでありながらなかなかに強烈なインパクトである。
低予算であるがゆえのチープな作りは致し方ないものの、水場を泳ぐ幼生体は本物のサンショウウオにマスクをつけて泳がせるなど古典的ながら効果的な方法で描いていて、チープさを逆手にとった巧さがめだつ。
そしてかなり過激なスプラッター描写にも注目で、前半顔面を噛られ、顔の肉がずる剥けになるバーバラやその後生首となった顔を何匹もの幼生が貪り骸骨が露になっていくなどおぞましさの残る残酷描写もかなり力が入っていてホラーとしても見応えがある。
ちゃんと『エイリアン』へのリスペクトも忘れておらず、目や口から飛び出る幼生だけでなく、胸を喰い破って出てくる幼生体はまさにまんまオマージュである。
意外にも重要な人物も死んでしまい、本作では兄の恋人で普段なら死ぬはずのないヒロイン的役どころも容赦なく首なしの死体となって放り投げられたりとあるあるにとらわれない姿勢も評価高いだろう。
B級ホラーならではのラストの展開も殲滅したかにみえた怪物がまさかの姿となって登場など低予算だからこその定番でないアイデアのよさが上手く功を奏した好例の作品といえる。
ちなみに続編シリーズも製作されたが、かえって突飛的な面白さが失われてしまい、凡作となってしまったのは残念なところである。
残酷度…★★★★
評価…★★★★
(低予算を逆手にとったアイデア勝利の秀作。残酷描写もなかなかに派手です)