
大規模な宇宙人による絶望的な襲来と人類の戦いを描いた『スカイライン』シリーズ続編。
ロサンゼルス市警の刑事マークは死別した妻との喪失感から酒に走る日々。
そんなある夜、同僚から呼び出された彼は息子トレントが警察に捕まったことを知る。
トレントも母を失くした喪失感からケンカ三昧でマークの頭を悩ませていた。
トレントを迎えにきたマークは彼が釈放されるとお金がないため、一緒に地下鉄に乗り家路へと向かっていた。
その途中、突然の轟音と激しい揺れに車内が襲われる。
パニックとなる観客の中でひとり状況を確認し、冷静に行動をしようと努めるマーク。
その頃外では恐ろしいことが起こっていた。
突如現れた巨大な宇宙船からおびただしい数のエイリアンや青白い光線が放たれていて、人々が次々と消えていったのである。
外部との連絡を取ろうと車掌のオードリーは無線を使うが、あちら側からはただ『光を見るな』とだけしか帰ってこなかった。
意を決してマークたちはオードリーの案内で地下鉄の西側出口に通じる地下道を抜けていくことにする。
ようやく出口までたどり着きそうになるのだがそこでトレントは謎の青白い光を発見し、乗客のひとりと共にその光を追っていく。
すると強烈な光を放つそれはみるみるうちに先にいた女性を吸い寄せてしまう。
そしてトレントも光に操られ連れ去られそうになるのだがすんでのところでマークに助けられるのだった。
外では次々に人々が巨大な宇宙船から放たれる青白い光に吸い込まれていった。
光を避けて地下道を抜けようとするマーク達はようやく警察署に辿り着くのだが、そこは同僚のガルシア達以外誰もいなくなっていた。
他の人々もあの青白い光に消えていったという。
合流したマーク達は軍が救助に向かうポイントというマリーナを目指し、地下鉄坑道を進んでいくのだが、そこでマークはアメリカの空軍が宇宙船と戦い、次々に撃墜されていく様を見てしまう。
切り札として相討ち狙いで核ミサイルを放つも宇宙船にダメージはなく、その爆風の衝撃によって地下鉄坑道は崩壊し犠牲者が出てしまう。
さらにその崩壊した坑道にエイリアンたちが侵入し襲いかかる。
ガルシアが囚われ、ガルシアの同僚がエイリアンの触手によって脳を引きずり取られてしまう。
マークは銃を乱射してなんとかエイリアンを倒すも、次から次に襲いかかるエイリアンたちにひとりまたひとりと犠牲に。
ガルシアもマーク達を逃がすため自分を囮にして命を落とす。
しかし逃げた先で救助に来ようとしていた軍の戦闘機が敵の宇宙船によって撃墜され全滅。
マーク達も現れた巨大エイリアンによって宇宙船内に吸い込まれていってしまうのだった。
気を失っていたマークが目覚めるとそこは宇宙船の中。
同じように吸い込まれた人々が粘液にまみれた室内に横たわっていた。
そこに突如触手のようなものが襲いかかり、横たわっていた人間達の脳を引きずりだし、残った遺体は宇宙船の下にある水槽に捨てていく。
マークは襲われているトレントを助けようとするのだが、別の触手に襲われ、その間にトレントはさらに宇宙船の上部へと連れ去られていってしまう。
トレントを取り戻そうと何とか触手をふりきったマークは船内を散策するとそこで巨大なプラントを発見。
なんとそこは引きずり出した人間の脳を宇宙人が作り出したサイボーグに移植させ、戦闘員を製造しているところであった。
その時、マークは精製されたエイリアンに見つかってしまう。
囲まれ万事休すかと思われたが、なんと一体のエイリアンが襲ってきたエイリアン達を倒していく。
他のエイリアンと違い赤い目をしたそのエイリアンはマークに敵意をもっておらず、マークはそのエイリアンのあとをついていく。
赤い目をしたエイリアンの正体は、脳を取られて移植させられたジャロッドであった。
人間としての理性を失わなかった彼はマークの怪我を治すと同じく囚われていた身重の恋人エレインをマークに引き合わせる。
宇宙船の光線を浴びてしまったエレインは予定よりも半年も早く臨月をむかえてしまっており、既に破水が始まっていた。
マークは出産の手伝いをし、女の子の赤ん坊を取り出すことに成功するが、エレインは直後に死亡してしまう。
マークはこの子を絶対に守り抜くことを約束にジャロッドにトレントを一緒に探してくれるよう協力を求めるとジャロッドはマークにエイリアン用の武器を装備させ、トレントが囚われている上部へとマークと赤ん坊を逃がしていく。
何とか生きながらえていたトレントたちと合流したマークは赤ん坊と共に脱出を試みるも敵のエイリアンに見つかり、激しい追跡を受ける。
敵の触手がマークらに襲いかかり、捕らわれたサージを助けようとしたトレントは赤ん坊をオードリーに託して脳を引きずり取られて死亡する。
さらに迫りくるエイリアンからマーク達を守ろうとしたサージがエイリアンにより刺され瀕死の重傷を負ってしまう
一方、裏切りに気づいたエイリアンのリーダーはジャロッドに襲いかかる
致命傷をおったジャロッドは自らの命と引き換えに時限爆弾で巨大宇宙船を破壊し、墜落させる
宇宙船が墜落したのは東南アジアラオスの国境付近のジャングル地帯であった。
そこでは政府軍と反政府ゲリラそして襲来してきた宇宙人たちとの三つ巴の戦いが繰り広げられていた。
ゲリラのリーダー、スアとその妹カーニャは政府軍に追われるもこれを撃退。
その際にカーニャは謎の白い卵のような物体を拾い密かに持ち帰る。
一方辛くも生き残ったマーク達は宇宙船から脱出。
すると赤ん坊だった女の子が急速に成長していることに二人は気づく。
宇宙人たちの追跡を免れるため川を渡り、湿原を抜けるも瀕死だったサージはここで息を引き取る。
その直後、居合わせたスアたちに銃を突きつけられたマーク達。
スア達は彼らを警戒し死にたくなければ従えと迫ってくる。
その頃墜落した宇宙船を修復させるためエイリアンリーダーは青い光を放ち始める。
プラント内ではトレントの脳を移植したサイボーグが誕生していた。
スア達に連れられたマークらはジャングルを移動していくが赤ん坊が体調を崩しているためスアに協力するから赤ん坊を医者のところに連れていってくれと求める。
あまり協力的でないカーニャに腹を立てたマークはスアとケンカになり、オードリーもカーニャともみ合いになるがそこに政府軍がやってくる。
ひとまず共闘することにした4人は警察隊を返り討ちにし、その中のひとりチーフを捕虜にする。
スア兄妹に連れられ辿り着いた先は神殿のような古代の遺跡。
実はスア達反政府ゲリラのアジトがここであった。
マーク達は反政府ゲリラに協力している元科学者で麻薬密売人のハーパーと面会。
既に三歳児くらいにまで成長してきている赤ん坊の血液を調べるとハーパーは彼女のDNAが変異して既に地球人のものではなくなっていること。そしてすぐに輸血の必要があることを告げられる。
脱出の際に宇宙人の武器を装着したマークは自ら彼女に血を提供する。
ハーパーはカーニャから白い卵のようなものを渡される。
卵から青い液体を抽出したハーパーは研究の結果からこのエイリアンは太古の昔から飛来しておりその度にこの青い液体の光を使って人類を搾取していたと推察。
赤ん坊のもつ血液には青い光の影響を無効にする成分があり、彼女の血清をつくることで人類を救うことになると彼女に話す。
エイリアンの襲撃に備え、マークやスア達は遺跡内に隠してあった銃火器で武装し、オードリーはカーニャと共に爆弾をしかけに遺跡の外へと向かうがそこで敵エイリアンと遭遇してしまう。
オードリーを守るためカーニャは囮となって呼び寄せるのだが、地雷地帯に入ってしまう。
応戦するが地雷を踏んでしまったカーニャはエイリアンを道連れにして自爆して果てる
その頃修復を終えたエイリアンは赤ん坊が遺跡にいるのを発見し、襲撃を開始。
マークはトレントの仇を討つため赤ん坊をオードリーに託し、スアに協力し共に戦闘態勢を整える。
遂に敵エイリアンのサイボーグたちが遺跡に襲撃を開始。
スア達は罠などを仕掛けて応戦するも次から次に襲いかかる敵を相手に劣勢を強いられる。
スアは捕らえていたチーフを解放し共にエイリアンと戦うよう命じる。
交戦が続くなかでマークは宇宙船に潜入し、武器を無効化させようとするがそこに敵サイボーグが立ちはだかる
激しい肉弾戦を繰り広げるが、その中でマークはこのサイボーグがトレントの脳を移植されたものであると気づく。
一方で敵エイリアンは巨大バイオスーツを駆使して襲撃を開始。
スア達は奮闘するもハーパーが犠牲になり、チーフも身体を千切られて戦闘不能に。
絶対的不利な状況の中で果たしてマーク達は宇宙人との最後の戦いに挑むのだが…
人類と強大なエイリアン軍の戦いを描いてきたSFアクションシリーズ第2弾。
エイリアン襲撃と人類との戦いなどを描いたSFアクションものはハリソン・フォードの代表作にもなった『ブレードランナー』やアーノルド・シュワルツェネッガーの『プレデター』シリーズ、B級界隈だとオリバー・グラナーが人類とサイボーグとの戦いに興じる『ネメシス』シリーズなど数々の名作とシリーズを産み出してきた。
『インディペンデンス・デイ』などのSF作品と違うのは低予算でありながらも意外にしっかりとしたアクションをみせられているところである。
本作を含む『スカイライン』シリーズは第1作は強大すぎるエイリアンたちの侵略による人類の絶望的な運命が主人公カップルの目線から描かれていたが、アクションというよりはディザスター系ムービーとしての感覚の方が強かった。
迎えての続編となる本作はほぼ同軸の話であるが、人類が侵略してくるエイリアンに対して立ち上がる様が描かれている。
主演陣をみてみると主人公にフランク・グリロ。共演陣には『ザ・レイド』でシラットアクションをハリウッドに見せつけたイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンが参戦。
これだけみても思いきり武闘派な面々が集まってきている。
前作『~征服』からの繋がりこそあるものの特に観ていなくても単体で楽しめる内容ではあるが、より本作のドラマ的な深みが欲しいなら前作の主人公カップルが本作でどうなっているか知る意味でも復習しておいてもいいだろう。
とかく前作のヒットによってよりスケールは大きくなり、マグロのように人類が蹂躙されていくのがメインな前作と比べると、アクションの幅も広がっている
意外にも今回はガンアクションよりも肉弾アクション系がメイン。
前作からアーマードスーツ的なものを着ているエイリアンや敵サイボーグがあまり銃が効きにくいこともあって、単調に陥りやすいガンアクションはおさえめ。
それもあってかエイリアン版ベアークローをつけてぶん殴るフランク・グリロをはじめ、サイボーグ相手に電光石火の連続攻撃をみせるイコ・ウワイス、果ては敵サイボーグも回し蹴りをみせるなどより格闘アクション色が濃く、それにともない良くも悪くもB級アクション作品感は増した感じ。
挙げ句の果てには敵エイリアンの巨大バイオスーツ対味方サイボーグの乗るロボットとの怪獣映画のような大味格闘シーンまであり、世の怪獣アクションファンにも訴えかけるような作りとなっている。
本作の見所となるのはもちろんエイリアンたちのビジュアルと脳を引きずり出すというホラー真っ青な描写。
敵サイボーグも含めその特撮怪人的なビジュアルは近年の日本製特撮アクションものの影響もうけているかと思われる。
そしてここに格闘アクション要素を強めたことで意識しているかどうかは分からないが本作がより日本の特撮アクションものに近づいた感じがある。
アクションの見所となるのはやはりイコ・ウワイスやヤヤン・ルヒアンのシラットコンビの導入だろう。
ヤヤンの出番こそ少ないが、イコ・ウワイスは大型ナイフ2本で敵サイボーグを無双する活躍ぶり。
主人公のフランク・グリロも霞むくらいのインパクトをみせている。
少しではあるがフランク・グリロ対イコ・ウワイスというエキシビション的な一騎討ちもあってシリーズの中では最もアクション濃度は濃い作品といえるだろう。
以降の続編への鍵となるエイリアンと人間とのハイブリッドハーフの描かれかたもあり、ざっとみているとその昔大ヒットしたビデオシリーズ『V(ビジター)』を彷彿させるような感じ。
昔この『V』にハマっていた人なら本作シリーズもすんなりハマってくると思われる。
しかもアクション濃度も高くなっているのでエンタメ性もアップしていることだし。
次作ではあの次世代ヴァンダム、ダニエル・バーンハードが出演しているほか、本作で死んだかに見えたヤヤン・ルヒアンが続投しているとのこと。
所々の大味な展開やまだまだ残る安い感じのSF描写はあるものの、SF映画にシラットアクションを導入し、意外にも見応えがあるという発見をしたのは拾い物。
これから飛び道具だけでなく、近接格闘によるSFアクションが隆盛するかもしれない希望を感じさせる作品といえる
評価…★★★
(ステイサム系ストリートファイトアクションのフランク・グリロもいいが今回はイコ・ウワイスの独り勝ち。巨大エイリアン同士の肉弾戦はゴジラ系のオマージュか(^^;)













