https://www.yuhikaku.co.jp/static_files/hougaku/pdf/2024E_minpou.pdf
本件において、CのBに対する100万円の請求が認められるかどうかは、以下の点を考慮して判断されます。
1. 債権譲渡担保の効力
- Aは、2023年6月分から2024年10月分までのBに対する売掛債権を、Cに譲渡担保として譲渡しています。
- 譲渡担保契約においては、譲渡担保権が実行されるまでは、AがBに対する売掛債権の取立てをすることができる旨の定めがあります。
- また、Aは、この債権譲渡にかかる通知についてCに代理権を付与しています。
- したがって、Cは、譲渡担保権を実行するまでは、Aに代わってBに売掛金の支払いを請求することはできません。
2. 譲渡担保権の実行
- AがCからの借入金を期日までに返済できなかったため、Cは、2024年5月26日に譲渡担保権を実行することを決定し、AおよびBに通知しています。
- この通知は、2024年5月27日にBに到達しています。
- したがって、Cは、2024年5月27日以降、譲渡担保権に基づき、Bに売掛金の支払いを請求することができます。
3. Dへの債権譲渡の効力
- Aは、2024年5月28日に、Bに対する同年5月分の売掛債権(債権α)をDに譲渡しています。
- この譲渡通知は、2024年5月30日にBに到達しています。
- しかし、Cの譲渡担保権実行の通知が、2024年5月27日にBに到達しているため、Dへの債権譲渡は、Cの譲渡担保権実行よりも後になります。
- したがって、Dは、Cに対して、債権αの支払いを請求することはできません。
4. Cの請求の可否
- Cは、譲渡担保権に基づき、Bに対して、2024年5月分の売掛債権(100万円)の支払いを請求することができます。
- Bは、Cの譲渡担保権実行の通知を受け取った後、Dに売掛金を支払うべきではありませんでした。
- したがって、CのBに対する100万円の請求は、認められると考えられます。
5. 重要な条文
- 民法466条(債権の譲渡性)
- 民法467条(指名債権譲渡の対抗要件)
- 民法541条(債務者の履行遅滞による解除権)