2024 年度演習 民法設問集 1月

 

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本件において、BはCおよびDに対して、以下の請求をすることができます。

1. Cに対する請求

  • 抵当権に基づく物上代位権の行使による賃料債権の請求:
    • Bは、Aに対する貸付金債権を担保するため、A所有の土地(甲)に抵当権を設定しています。
    • Aが期限の利益を喪失したため、Bは抵当権を実行し、甲から生じる賃料債権について物上代位権を行使することができます。
    • Bは、2024年9月25日に債権差押命令を申し立て、同年10月2日にCに送達されています。
    • したがって、Bは、2024年9月分以降の賃料債権について、Cに対して直接請求することができます。
    • ただし、Cは、2024年9月分と10月分の賃料をDに支払っているため、Bが請求できるのは、11月分以降の賃料となります。
  • Dへの弁済分の不当利得返還請求:
    • CがDに支払った9月分、10月分の賃料は、物上代位権の効力が及ぶ債権からの支払いとなるため、本来はBが受領すべきものでした。
    • CがDへ弁済したことは、Bへの弁済とみなされないため、CはBに対して、Dへ支払った40万円の不当利得返還義務を負う可能性があります。

2. Dに対する請求

  • 不当利得返還請求:
    • Dは、Aから賃料債権の譲渡を受けましたが、これはBの物上代位権の行使を妨げるものではありません。
    • Bの債権差押命令がCに送達された時点で、賃料債権はBに帰属するため、Dが受領した賃料は法律上の原因なく得たものとなります。
    • したがって、BはDに対して、Dが受領した40万円の不当利得返還を請求することができます。
    • ただし、Dが譲渡された債権を正当に受領したと信じており、信じることについて過失がない場合には、Dは現存利益のみを返還すれば足ります。

3. 請求の優先順位

  • Bの物上代位権は、Dの債権譲渡よりも優先します。
  • したがって、BはCに対して、11月分以降の賃料全額を請求できます。
  • また、BはDに対して、受領した40万円の不当利得返還を請求できます。

4. Cの弁済の効力

  • CがDに支払った賃料は、Bに対する弁済としては効力を生じません。
  • したがって、BはCに対して、改めて賃料の支払いを請求することができます。

5. 重要な条文

  • 民法372条(抵当権の効力)
  • 民法512条(相殺の要件)
  • 民法703条(不当利得の返還義務)
  • 民事執行法143条(債権差押命令)

上記は一般的な法的見解であり、実際の裁判では個別の事情によって判断が異なる場合があります。Bは、弁護士に相談し、適切な法的措置を講じることをお勧めします。