群ようこさんの『れんげ荘』シリーズの8作目



 

 

誰もが知る大手企業を早期退職し、「たおれ荘」とも呼ばれるほどのボロアパートの「れんげ荘」で一か月10万円で生活をしているキョウコの何気ない日々の生活を描いた、大好きなシリーズの1つ。

 

正月に甥のケイと姪のレイナが兄夫婦の家へ帰省するので、キョウコも実家で正月を過ごすこととなる。

母との関係が悪かったキョウコは実家とも疎遠になっていたのだが、母が亡くなったので、実家へ気兼ねなく行けるようだ。

実家には、母が亡くなってから突然住み着いたネコ一家の3匹と兄夫婦が生活している。

 

 


 

 

 

 

 

みんなが楽しそうにしているのを見るのが幸せ

 

おネコさま御一行に翻弄されている兄夫婦を見て、笑い転げる甥と姪。

十分に食事を与えられたうえに遊んでもらって満足そうなおネコさま御一行。

そんな幸せそうな兄一家とネコ一家を見て、キョウコも幸せな気持ちで正月を過ごしたのだ。

幸せな自分を見て、彼らも幸せと感じてもらえるのか、などと無粋な気持ちになるキョウコなのだが、それだけキョウコが満ち足りた生活を送っているということなのだろう。

キョウコ自身もみんなが楽しそうにしているのを見ている自分が幸せで、それだけでいいのだと思って満ち足りた気持ちになっている。

 

他者が幸せであれば自分も幸せ。

相手にも同じように自分をみて幸せと感じてほしいと思うのは、相手からの承認欲求だけでなく、自分の存在価値の確認などもあるのかもしれない。

 

キョウコ自身はとても優しい人のようで、お隣のチユキさんが、山でのご近所問題が解決すると一緒に喜び、会ったこともないチユキさんの顔見知りの人の悩みが解決すると、自分のことのように喜ぶ。

そんな自分自身のことを、歳を取ったせいだとキョウコは思うのだが、本当にそうだろうか。

 

歳を重ねても、意地悪な人は意地悪だし、歳を重ねるごとに意地悪になる人もいる。

自分がこうありたい、という理想の人間像がある人は、歳を重ねるごとに人間味が増していくような気がする。

 

キョウコのように常に周囲の人に感謝をする気持ちを忘れず、常に相手の良い所を見ようとする姿勢が、キョウコの人間としての優しさと愛情深さを作り上げているように思う。

 

50代になったキョウコと兄の生活は、幸せであることに違いはないのだけれど、兄妹揃っての悩みは腹回りが大きくなってきたこと。

歳を取ると丸くなるのは、性格だけでなく体も影響する。

キョウコの悩みは十分に理解できるのだが、私も性格だけが丸くなりたいと切実に願う。