群ようこさんの『れんげ荘』シリーズの9作目




2025年1月に第1版が発行されているので、おそらくこれが最新作。

 

キョウコは変わらずれんげ荘で生活をしていた。

お隣の面々も変わらず、クマガイさんもチユキさんもれんげ荘で暮らしている。

 

変化と言えば、キョウコは母親が亡くなってから、正月は兄夫婦が住む実家で過ごすことが定着したようだ。前回8作目では甥のケイと姪のレイナも一緒に正月を過ごしたが、今回はケイもレイナも帰省しないのだが、キョウコと兄夫婦の3人で正月を迎えていた。

家族形態は色々だが、仲の良い身内がいるというのは心強いのではないかと思う。

 

そして山に住むパートナーと事実婚だったチユキさんは、とうとう山での生活をやめることにした。

事実婚といっても籍をいれていないので、別れてしまえば「元カレ」「元カノ」といったところだろうか。

 

 


 

 

 

パートナーと山で暮らし始めた頃は、お互い干渉し合わない関係が良いと感じてチユキさんだが、だんだんとパートナーからのチユキさんへの欲求が増えていったことが別れるきっかけとなったらしい。

付き合い始めは色々なことが我慢して飲み込めても、そのうち許せなくなることはある。

ネットでは熟年離婚が話題になるが、やはり我慢の限界ということなのだろうか。

彼女の人柄として感じたのは、お人好しだけど我慢してしまうタイプ。

今回のストーリーの中でも、学生時代の友人たちから無償でモデルを頼まれるのだが、友人だからと引き受ける。実際、無償で引き受けた彼女に対し、友人たちは撮影場所まで車で北にもかかわらず、送迎をすることもなく、コーヒー代すら出してやらない。

おまけにチユキさんの前にも無償で頼んだ女性には、モデル代を請求されたから断ったという話までチユキさんにする始末。

人の好さから最初は引き受けるのだが、その不満が溜まって爆発してしまうタイプだと勝手に分析する。

 

最初の頃はお互いが譲り合っていても、いつか自我が出てきたときに関係性が壊れてしまうことはある。

相手を思いやるからこそ、我慢せずに適度に自分の意志を伝えることは大切だ。

でも相手に深い思いやりがあるからこそ、つい自分が我慢してしまうこともある。

 

 

彼との関係に悩むチユキさんに、れんげ荘最年長のクマガイさんの言葉

 

腐れ縁がいちばんいけない! 

あれは人間関係を成長させる要素がひとつもない!

 

簡潔だが深い。

 

 

 

「恋愛」と名の付くタイトルから、個人的にはキョウコにちょっと恋愛の要素が入るのを期待していたのだが、どうやらそうではないらしいのが残念でもあるが、このままれんげ荘のメンバーはおひとり様で支え合って生きてほしいという気持ちもある。