博多で女性薬師として腕を磨いてきた瑞蓮(すいれん)が京の都へやってきた。
平安時代が舞台となる物語。
時代背景は安倍晴明が生きていた時代。
学生時代は、日本史や古典が好きだったはずのだが、時代背景や漢字の難しさに四苦八苦した。
現代では考えられないような小さな病気が、奇病として扱われていたり、今では当たり前のように食べられているものが、当時では食べられていなかったり。
逆に今では食べることが少なくなっているものなどもあり。
そんな現代との違いは興味深く読み進められる。
薬師とて人間だ。家族でさえ見捨てるような横暴な者に無条件に善意の手を差し伸べられなくてもとうぜんではないか。
顔面の皮膚病に侵され、様々な呪術や薬を試しても治らない13歳の姫の治療を頼まれた瑞蓮は、初対面にも関わらず、姫からの暴言・暴力に出くわす。
姫の治療に当たった医官の1人樹雨(きう)は、
「身体が苦しいときに心が捻くれてしまうのは仕方がない」と言う。
そんな樹雨に対し、瑞蓮は逆に冷ややかな感情を抱いていた。
病院でもカスタマーハラスメントのポスターを見ることが増えた。
実際の医療現場では患者からの暴言や暴力で悩まされている医療者は多い。
実害が出ても、警察沙汰や出入り禁止になるようなことはあまりないのではないだろうか。
病気やケガで心がすさんでいくのは当然だ。
だが、何を言っても何をしてもいいわけではない。
医療者とて生身の人間であり、感情はある。
医療を受ける側としても、最低限、相手を思いやる気持ちは持ち続けたい。
とはいえ、自分の言いたいことが伝わらないと、イライラして言葉が強くなったり質問することを諦めてしまったりすることもある。
相手もまたイライラしているのが伝わると、こちらも同調してイライラしてしまうこともある。
近所のクリニックも大繁盛しているのだが、待ち時間とクリニックに来るまでの時間を考えると、1~2分で終わる診療時間はなんとも短く、これで何か見落としがあっても文句は言えないのではないかとも思える。
だからこそ、受診の時は、何を聞くのかをしっかりメモしていこうと思うのだった。
まだ13歳の姫が、治らない顔面の皮膚病に侵されると、家族や医者に当たりたくなるのも当然かもしれない。
姫の皮膚病とは何か?
答えがわかると、姫と瑞蓮、樹雨との関係も変わってくる。
心と身体は人間関係にも影響させることを改めて感じさせる。
こちらもシリーズ化されており、女性薬師の瑞蓮と医官である樹雨に加えて、あの安倍晴明もストーリー展開に加わっているので、今後も読むのが楽しみな作品だ。
