小川糸さんの短編小説集。

食にまつわる記憶は誰しもあるもの。記憶と食がセットで蘇ることも多い。

 

読んでいると、作品に出てくる食べ物が食べたくなる。

小川糸さんに限らないのだが、食の描写を文章で表現できるのはすごいと感じる。

 

 

 

 

 

かつて担当した30代後半の男性の方が、食へのこだわりがないと話したことがあった。

食いしん坊の私は驚いたのだが、要はお腹が満たされればいいのだそうだ。

ハンバーガーやポテトなども、たしかに買ったばかりの方がおいしいとは感じるが、冷めてパンがふにゃふにゃで、ポテトがシナシナになっていても気にならないのだそうだ。

 

その話を聞いてふと思ったのが、私もいつも食にこだわっている訳ではないということだ。

時間にも精神的にも余裕がある時は、少し凝った物を作るが、余裕がなければ空腹がしのげればいーや、となって適当に済ませていることも多い。

 

大好きな家族や友人と食べる食事や、特別な時に食べる食事や場所はおいしく感じ、楽しい記憶として残る。

そんな記憶があるからこそ、食へこだわれたり、食への満足感につながるのだろう。

 

美味しい記憶がある事は、幸せなことなんだと感じさせられる。