電波女と小さな世界 -59ページ目

今日ちゃんと大さん

わたしはわたし、あなたはあなた。
そんなことはわかっている。



「大さぁん」
と、語尾にハートマークを沢山つけたように、でもハートマークはつけられないから代わりに笑い声を沢山つけて、今日が俺の背中に頭突きをしてきた。
「痛ぇ」
「大さん大さんあのね、私今日、大さんにすごく会いたかったの」
「知ってるよそんなこと」
ぐりぐりぐりぐりと頭を背中になすりつけ、今日はくふふと笑う。嬉しくて嬉しくて死んでしまうわ、そんな調子で俺の腰をぎゅうと掴む。
「ここは寒いね」
「ああ」
11月の空は高く澄んで今日が俺を見上げた目がきらきらと光る。こいつの吐く息が白くて、俺は仕方がないから今日の顔に煙草の煙を吐いてやった。
目をしかめ、その後にばかと言う今日の頭を撫でる。小さくて俺の掌にすっぽり収まるこの頭は、本当に切ない。
撫でてもらって満足したのか、今日はようやく俺から離れる。俺達は歩きはじめる。
どちらともなく、手をつないで、家に帰る。


「今日すごく授業面白かったの」
「それは良かった」
「でもね、授業が面白くても、友達と楽しい話をしても、なんだかすごく渇くの。
渇いて渇いて渇いて、満たされないのよ。
どうしてかなあ、こんなに楽しいのになんでかなあ、って思ったら、大さんに会ってないからだったのね」
ふふ、と今日は笑い、俺を見上げる。その目はやっぱり、11月の空に反射してきらきらしていた。

「私、すごくおかしいと思うわ。依存という言葉は悪い言葉かもしれないけれど、私はやっぱり、あなたに依存している。
あなたがいないことが耐えられなくて、あなたといつもいつまでもいたいと思う。
あなたといて、私はようやく一人になれる」

ね、依存してるでしょう。
きらきらとした目でそんなことを言われては、俺はもうたまらなく切なくなって、でも抱きしめられなくて、今日の小さな切ない頭にそっと手を置いた。
「それを依存というのなら、俺もお前に依存している。それで異存ないか?」
そして、そう、小さな声で言った。


お互いが違う人間だなんてわかっている。
でも二人一緒じゃないと、人になれないんだ。



「清くも正しくも美しくもないその様のなんと愛しいことか」

お題…replaさまより

今日は眠たくてしょーがないので、リサイクル品で勘弁。

今日が何曜日かもわからない

色々あり、姫路に行くのは六月になりました。頑張ります。

でも今日で化粧品のセミナーは終わりました~ビックリマーク

ちょっとひと安心…と思ったら、「来月もよろしくお願いします」とのお言葉。




…わぁ~~~い!!来月もがんばりまぁ~~~~~~す(((((゚(゚(゚(((゚゚∀∀゚゚)))゚)゚)゚)))))

というわけで今日はもう寝ます。風呂とかしらん。明日だ。

明日は歯医者に行ってから仕事に行きます。五連勤です。


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              l!::!:!:iト:::!:i:j/代トト、l:ハ::升ト!:l::!:!lj   もういいや
              li::l::N{:ヾVヘ「 ̄` lハ ソr‐テハ!:l/
              !:l!:ト、l::l{`         !  j川/   ハハハハ
              ヾト辷N!      ‐ノ  !:l/
                 Yl:ト、    ヾ==r  ノ/
                iN \.  ` ニ′/}'
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              ノ ̄´"''‐ 、   `¨´¦
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髪のきれいな女の子は好きですか?

「ジーザス」と、あなたは言った。私の髪の毛の色を見てあなたは言った。あなたは日本人なのに、なぜかそんな言葉を呟いた。そう言いたい気分だったのだろうか。私は少し悲しくなった。

あなたに「似あうよ」って言われたくて、ちょっと期待してたのに、そんな言葉なんて、悲しいわ。


「なんでそんな色に染めたの?」

あなたは聞いた。私はそうっと、本を差し出した。グリーン・レクイエム、この間読んだ本の名前。あなたが好きな本の名前。あなたはもう立派な大人の男の人なのに、こんなメルヘンちっくなSFが好きだと知って、もっともっと好きになった。


「この本の主人公の女の子みたいになりたかったの?」

私は頷いた。だからそう、私の髪の毛は今、まるで五月の青葉みたいな綺麗な緑色。腰まである長い髪の毛を全て私は緑に染めた。鮮やかな緑、五月の色、木々の色、葉っぱの色、それはきっとあなたを優しく包んでくれるはずだったのに。


「どうして?」

あなたは尋ねた。私はあなたを抱きしめる。

私ね、もっともっと優しいものに本当は生まれたかった。人間なんかじゃなくて、植物みたいな、何も言わなくていい、優しいもの。木のように何百年も立ち続け、生き物に酸素と日陰を与える優しい生き物に生まれたかった。だからかしら?

それに、きっと。私は自分のもうひとつの気持ちを確認しながら、あなたの手を取る。あなたを見上げる。あなたは私の一番近くにいてくれる。あなただけが私の近くにいてくれる。あなたさえいればそれでいい。

そう、この物語の女の子みたいに、そうなのよ。

「ああ、俺と一緒に、逃げてほしかったの?」

あなたは何も言えない私の言葉を読み取ってくれる。私は頷く。

あなたに会う前から、私は植物のように喋ることを放棄した。全ての人に放棄された私を掬ってくれたのは、あなただけだった。

あなたと一緒なら、私はどこまでも逃げられる。きっと。精神的にも空間的にも肉体的にも、きっとどこまでも逃げられる。そんな気持ちを込めて、きっと私は髪の毛を緑色にしたの。


「そうか。分からなくてごめん」

あなたはそう言って私を抱きしめる。髪の毛をすくう。

「最初はびっくりしたけど、よく見たらこの色、綺麗だね。本当に葉っぱみたいだ」

その言葉を聞いて私はようやくにこりと笑った。私のこの葉っぱは、酸素も日陰も作れないけど、あなたに優しさを与えることができるはず。


だからお願い、いつか私をつれてどこまでも逃げてね。お願いよ。

その物語の最後が、どうなってもきっと赦すから。きっと、きっとよ。



「願って願って願って已まない」

お題…replaさま