唐突にまとめ。現在日本全国にいろいろな「武将隊」があります。といっても私もちゃんと知ったのは昨年なのですが。

きっかけは、App StoreでD2コミュニケーションズの戦国カードバトルゲームアプリ「関ヶ原演義」をダウンロードしようと思って検索したらこんなアプリがヒットしたことでした。あとこんなのもある。名古屋の武将隊「名古屋おもてなし武将隊」の公式アプリですが、正直初めて見たときは「これが有料アプリかよ?たっけーな!」と思ってしまいましたが、調べてみたらいろいろ面白いことが分かりました。以下Wikiより抜粋

名古屋おもてなし武将隊
名古屋おもてなし武将隊(なごやおもてなしぶしょうたい)は、「武将都市ナゴヤ」をPRするために結成された名古屋の観光PR部隊。別名「イケメン武将隊」とも呼ばれる。
名古屋開府400年に合わせ名古屋市のふるさと雇用対策事業の一環として結成されたPR部隊で、全国の武将ゆかりの地に結成されている各武将隊の先駆けとなる2009年(平成21年)11月3日に名古屋城内にて結成式が行われた。緊急雇用対策のためメンバーはハローワークで募集され、オーディションに合格した女性や外国人男性を含む10名で結成された。運営は名古屋市の広告代理店・三晃社が行なっている。
メンバーは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、前田利家、加藤清正、前田慶次の愛知県にゆかりのある6武将と陣笠隊(足軽)に扮し、毎日交代で名古屋城で観光案内などを行うほか、週末には演舞(殺陣)や寸劇、武将クイズ、甲冑ダンスなどのパフォーマンスを行っている。また、戦国武将ブームなどもあり歴女を初めとする女性ファンが多く、追っかけファンもでるなど人気を博しており、名古屋のローカル番組にレギュラー出演するほか、CM出演や写真集が出版されるなど活躍の場を広げている。2011年4月20日には『百花繚乱/祈り』でCDデビューを果たした。

以下WIkiを参照のこと

もともと各地方には草の根の市民で組織された手作り甲冑隊や鉄砲隊がありました。例えばひこにゃんが住んでいる滋賀県彦根市では着ぐるみサミットだけでなく「全国古式砲術鉄砲サミット」も開催されていたり。ゆるキャラだけの街じゃなかったんだ彦根。あと凄いのはこちら「南総里見手作り甲冑愛好会」。こちらの甲冑制作工程は鉄や革がボール紙に変わっただけで作り方自体は本物とほぼ変わらない本格的なもの。写真を見ているとだんだん自分でも作りたくなってきます。

しかし現在各地で流行っている甲冑隊がこれら草の根の鉄砲隊や手作り甲冑愛好会と違うのは、自治体が雇用対策事業または観光事業として行っている事例が多いということです。彼らの主な業務(?)は観光案内やイベント出演といった「観光客のおもてなし」。観光を施設や場所といった”箱モノ”任せにするのではなく、そこに武将の姿を借りた若者という”人”を介在させ、その土地の魅力を人を通して伝えるというもの。AKB48が秋葉原に会いに行けるアイドルならば武将隊は街に会いに行ける武将と言えます。ある意味真の意味で「アバター」です。戦国武将のアバター。さらに凄いのは、ブログの更新、TwitterのTweet、Youtubeへの動画投稿、Ustream配信といったソーシャルメディアを使用したプロモーションも多くの場合武将隊メンバー本人達がやっているということ。ある程度固定ファンが付けば、本人達が直接やっているというだけでアクセスが見込めます。もう一番最初にこの武将隊システムを考えた人は観光対策と人材活用の天才じゃないかと思います。

ちなみに上記の名古屋おもてなし武将隊のアプリの説明文によれば、
「2009年に国の「ふるさと雇用再生特別基金事業」の一環として、ハローワークで一般公募され、元モデル、元すし職人、元会社員などのメンバーによって結成。織田信長・豊臣秀吉などの6人の武将と4人の陣笠隊の計10名からなる彼らは、「会いにいける武将」として大ブレイク。 その経済効果は27億円にも上ります!」

27億って…で、この名古屋おもてなし武将隊の成功をきっかけにその後日本各地に様々な武将隊が生まれました。以下箇条書きでリストアップ。

奥州・仙台おもてなし集団 伊達武将隊(仙台)
2010年度に、国の緊急雇用対策としてハローワークなどで失業者を対象に公募し、オーディションと面接でメンバーを選出し結成。2011年度は、仙台市が「国のふるさと雇用再生特別基金」を利用して活動継続が決まり、総勢11人にパワーアップして、再結成された。
via http://suumo.jp/journal/2011/11/06/8764/

白石戦國武将隊 奥州片倉組(白石)
本市が取り組む「白石城主片倉小十郎によるまちづくり」に賛同し、趣味として甲冑武者の活動を行うメンバーから、白石市を拠点に白石市の観光大使的な役割を担い、趣味としての甲冑武者の活動を楽しみながら、白石市のために活動する白石戦國武将隊「奥州片倉組」を結成し、白石市の観光PRに協力したいとの申し出がありました。  本市では、この申し出を大いに歓迎し、白石戦國武将隊「奥州片倉組」を公的に認定し、活動を支援していくことにしました。
via http://www.city.shiroishi.miyagi.jp/machikado/10_09katakuragumi.html

山形おきたま【愛】の武将隊(米沢)
さて、この「山形おきたま【愛】の武将隊」の事業は、山形県の緊急雇用創出事業であり、昨年7月より第一期生として活動している前田慶次、楯岡光直、はな姫の3人は、今月で1年間の契約期間が満了となります。
via http://staff.oki-tama.jp/note.php?p=log&lid=243903

越後上越 上杉おもてなし武将隊(上越)
甲冑武者が上越市の観光PR等を行う「越後上越 上杉おもてなし武将隊」事業について、平成24年度も活動を継続します。 春日山城跡及び市内観光施設、イベント会場等において、観光客のおもてなしや上越市の観光PR活動を行います。
via http://www.city.joetsu.niigata.jp/site/kanko/kankou-omotenashibusyoutai2.html

忍城おもてなし甲冑隊(行田)
「忍城おもてなし甲冑隊」は、「のぼうの城」の映画化(※2)を契機に、埼玉県ふるさと雇用再生基金事業を活用し、一般から公募した12人のメンバーで編成されています。
via http://www.atpress.ne.jp/view/15878

グレート家康公「葵」武将隊(岡崎)
いずれも国が雇用対策の一環として実施する緊急雇用創出事業の補助金交付を受けて市が委託したもの。武将隊の事業費=約1,825万円、紙製甲冑製作費=約610万円。
via http://okazaki.keizai.biz/headline/297/

関ケ原東西武将隊(終了)
関ケ原交流舞台事務局です。本日、3月25日をもちまして関ケ原交流舞台事業を終了いたします。関ケ原東西武将隊の六ヶ月間及び、全事業期間八ヶ月の間ご支援いただき誠にありがとうございました。
via http://bushow.seesaa.net/article/260081835.html

岐阜城盛り上げ隊

土佐おもてなし勤王党


長久手歴史トラベラーズ

丸亀城バサラ京極隊

PRキャラバン隊「神戸・清盛隊」

板額弓人(cute)隊

金澤百万石武将隊

たぶんもっといろいろあるのでしょうがとりあえずこれくらいで。
ちなみに今私がいる秋田県にも現在3つ武将隊があります。

後三年合戦絵詞
この武将隊は2月の横手かまくらで実際に見たことがあります。
こちらのモチーフはその名のとおり「後三年の役」で、特徴はその時代背景から鎧が「大鎧」であること。そして本物の馬を所有していることです。母体となっているのは大仙市の非営利市民活動団体「ちっちゃいもの俱楽部」。元々馬の方が先だったんですね。ちなみにこの間Pixivを見たら後三年合戦絵詞のイラストを投稿しているユーザーがいました。今年2月にナゴヤドームで開催された「世界SAMURAIサミット」にも参加しているので秋田県外にも人気が広がっていると思われます。現在新メンバーを募集中とのこと。
関連記事
http://akita.keizai.biz/headline/1387/

戰國秋田
こちらは秋田県内の戦国武将をモチーフとした武将隊ですが、まだ本格始動はしていない様子。今月より甲冑制作を始めるそうで、私も一応参加メールを出してあります。
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http://akita.keizai.biz/headline/1317/

清原紅蓮隊
ついこの間誕生した武将隊で、横手市の公式サイトに掲載されていることからどうやら市の事業のようです。
"観光PRを担う横手市の新しいヒーローが誕生します。藤原清衡は横手の地での凄惨な戦いを経て、浄土を願い平泉に金色堂などを作りました。横手市には藤原清衡の足跡をたどる貴重な歴史遺産が残されています。横手市ではこうした横手の歴史を知ってもらおうと藤原清衡などに扮した観光案内人「武将パフォーマー清原紅蓮隊」を結成することになりました。"
via http://www.city.yokote.lg.jp/koho/movie000130.html

………って、後三年合戦絵詞とまるっきりネタかぶりしてんじゃね?…………県が違うならまだしも隣の街同士でネタかぶりって………事前にリサーチしなかったのかと。こりゃ大仙に喧嘩売ってると思われても文句は言えないw
関連記事
http://www.yomiuri.co.jp/otona/tripnews/02/akita/20120330-OYT8T00283.htm

こうして改めて調べて分かったのは、武将隊には大きく分けて3つの形式があるということ。1つは自治体の観光対策や雇用対策で行われる自治体発型。もう1つは草の根の地域住民から自然発生した市民発型。そして地域住民から自然発生した武将隊を自治体が「公認」する形で補助金を出す市民先行・自治体追認型です。もちろんどれにも一長一短があります。
自治体発型武将隊の長所はスタート時から予算があることですが、欠点はそれに期限があること。税金を投入しているので仕方無いことではありますが、期間終了に伴う解散やメンバー入れ替えはそれまで観光客と築き上げた絆まで切ってしまうことにもなり、観光の面からも自治体のイメージの面からもマイナスでしょう。またメンバーが更新し続けたブログやTwitter、Youtube、Ustreamのアーカイブなどソーシャルメディア上のデータはどうするのか?といった問題もあります。もちろんこれらも削除・停止は絆を断ち切ることを意味するので非常にまずい。あと武将隊に限らず自治体発のプロジェクトによくあるのは「何これダッッッセエ!!こっ恥ずかしいwwwww」という明後日の方向を向いた企画をやってしまうこと。まあ田舎のお役所なのだから仕方無い面もありますが。なので民間の広告会社やイベント会社が武将隊の事業を自治体から受託する形式で活動しているところもあります。
市民発型武将隊の長所はどうやるか?何をやるか?を自分達で自由に決めることができ、それを誰かに報告したり許可を取ったりしなくてもよいことです。なのでスピード感ある運営ができますが、欠点は金も時間もないこと。予算が無いのでまず武具・甲冑が用意できない。そして活動に割ける時間も無いので演舞、殺陣、接客も練習できない。プロモーションやリサーチ、マーケティングの知識も無い。基本素人集団です。その結果非常にクオリティが低くなる。また武将隊を打ち上げるもののそもそもプロジェクト自体が進まない。実際調べてみると「武将隊作ります!」と言ってるだけで全然進んでいない、ブログもTwitterも3日坊主で止まっているかbotで動かしているだけという「武将隊の残骸」が大量に出てきます。
そう考えると、草の根でコツコツ活動を続けている実績のある武将隊に自治体が補助金を出して資金面でサポートする市民先行・自治体追認型が一番良いのかもしれません。

しかしどの形式でも最も重要なのは「持続可能なシステムを作る」ということ。そして持続を可能にするのは何はともあれまず「金」です。そうするとやっぱりグッズ展開でマネタイズか…と思って調べてみたら

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