自宅の電話から転送されてきたらしいメッセージが、
私のケータイの留守録に残っていた。
「○○さま、本日は御誕生日おめでとうございますっ!!」
とあるジュエリーショップからの電話で、
バースデーギフトを用意しているのでぜひともご来店を、
というものだった。
おわっっっっ、
と私は思わずうめき声をあげた。
「○○」は、
亡くなった母の名前である。
その日3月14日は母の誕生日なのだった。
私はすっかり忘れていた。
彼女が死んでまだ3年も経たないというのに、
私はすっかり忘れてしまっていたのだった。
最近、
多忙をひとり口実に仏花を絶やしている。
折角ジュエリーショップのスタッフが思い出させてくれたのだ、
母の喜びそうな春らしい花と、
ステキなケーキを仏壇に供えよう―。
私はさくさくと仕事を終えデパートの地下食品売り場へ走る。
おわっっっっ、
と私は思わずうめき声をあげた。
忘れてたよ。
3月14日がホワイトデーだってこと―。
デパ地下のスイーツ売り場は男たちの行列。
花屋だって、
ブーケの仕上がりを待つ男たちと
スタッフにあれこれ長々と相談をもちかける男たちでいっぱいであった。
今夜ははやく帰ってお好み焼き作って食べて、
お風呂にゆっくり入って寝たいんだよっ――!
悩んだあげく、
ケーキはレモンのパイを『マミーズ』で、
そして待ったあげく、
花はレモンパイとカラーコーディネートしてミモザを2枝。
帰宅して解凍した豚バラを入れてお好み焼きを作り、
仏前に供えた花瓶いっぱいのミモザをつまみに、
おたふくソースをかけたお好み焼きを黙々と食べた。
仏壇には、
以前北村睦子さんからいただいた菜の花色のローソクを灯しパイを供えた。
亡きひとの誕生日を祝う。
私を生んだひとの存在を忘れてゆく後ろめたさについて、
なんとなくかなしく思いながら
お好み焼きを口にはこぶ。
咀嚼して味わっておいしいと思う。
御誕生日おめでとうと母につぶやく。
どうやっても画像を回転してアップロードできない・・・・。
で、そのまま貼り付け。
ゆっくり勉強しますのでお許しください。
「マミーズ」のレモンパイ。
このすっきり爽やかな酸味!
ただし、この子は買ったその日のうちに食べませう。
そうしないとパイ生地がグショグショになって、
レモンのフィリング部分もふやけた伊達巻みたいにふしょふしょになります。
(伊達巻をふやかしたことはありませんので、あくまでイメージです)