ご贔屓さんその3:ヒシアマゾン号 | 徒然むかしばなし

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蝦夷地のほぼど真ん中に棲むクイズとロックバンド好きの主婦による、昔の思い出話をまとめたブログ

このお話を書くことになるのはもう少し先になるだろうと思ったのですが、

とうとう来てしまったということで、思い出話をまとめようと思います。

今日のお話は、平成の一桁台の頃に中央競馬で活躍されていた競走馬の、

ヒシアマゾン号という牝の競走馬のお話です。

先程、繋養先のケンタッキー州の牧場にて老衰で亡くなったと知りました。

28歳という歳は、人間の年齢にすれば約80歳くらいとのことですが、

馬の平均年齢がだいたい24歳くらいということを思うと長生きでしたし、

現役時代も大きな病気や怪我をすることもなく元気に走られていたので、

きっと大きく苦しまず穏やかに最期を迎えたのかなあ、と思っております。

20歳代の真ん中くらいから若干いつか来るという覚悟はしていたのですが、

いざ来るとやはり色んな思い出が蘇って物凄く寂しいですね。

 

競走馬としての彼女はG1では阪神3歳牝馬ステークスとエリザベス女王杯の

2つの勝鞍がありましたが、彼女が活躍されていたのは外国で産まれた馬に

クラシックレースへの出走が開放されてなかった頃だったので、当然ながら

桜花賞にもオークスにも出られなかったということで、時代が時代ならば

牝馬三冠やあるいは天皇賞秋を取ったんじゃないかと信じて疑っていません。

クラシックに出られないということで同時期に出走していた数多の重賞では

並み居る牡馬を相手に性差を感じさせない強さを発揮されていましたが、

これが同い年の牝馬相手なら何馬身ちぎってただろうと思ったものでした。

 

ただ、そういった、環境に恵まれない中で能力を発揮されているお姿は、

学習環境に恵まれず育った中でクイズという趣味を始めたばかりの自分には

少なからず大きな勇気を与えてくれる存在でもありました。

クイズの業界は名門大学の出身の方が多く、私のような並の偏差値くらいの

高校までの学歴で止まっている人は非常に少ない存在であり、何度となく

学校のお話を周りがされる中で劣等感を抉られる思いをしたこともあったり

逆にそういう学歴や実力や実績などを跳ね除けてでも結果を残したいという

若干歪んだ闘争心をつい持ってしまったりなんかもあったりしたのですが、

彼女がそういった環境にどう思っていたかはさておき、並み居る強い馬を

直線でごぼう抜きしていく姿は、自分に何度となく勇気をくれたものでした。

彼女の競走スタイルである追い込み脚質というのもほんとうに凄く魅力的で、

最初はほぼほぼ一番後ろに控えめに位置していたのが、直線に入ってからで

決着するという強さが、淑女が刀で一閃していくようで素敵だったのです。

こんなふうに、あっと言わせる強さが欲しいなと思ったものでした。

 

個人的な思い出としては、初めて出場が叶ったアタック25の収録現場に、

半年前に初めて生で彼女を見に行けたレースでもある京都大賞典の記事を

掲載雑誌から切り抜いて持っていっていたということがありました。

事前に知らされていた座席の色と京都大賞典での彼女の枠の色が同じで、

なんだかこの記事を切り抜いて持っていけばお守りになってくれるかもと

ほんとにふとしたことを思って持参して行ってたのです。

京都大賞典での彼女は、少し小雨の降る中でやはり直線で一気に決着を

されており、しかも大外を走っての勝利だったので、ゴール板のところで

最前列を陣取っていた私にはあまりにもその強さが衝撃的でした。

雨露に濡れた馬体が物凄く綺麗だと思ったのを今でも鮮明に覚えています。

ちなみにYoutubeに当時の映像がありましたのでリンクを貼っておきます。

この時こんなに人が居たんだというのを今見るまで気づきませんでした。

昼の相当早い時間から陣取っていたので後とか全然見ていなかったですね。

https://www.youtube.com/watch?v=RBFWwCz4gIw

 

そして私の初出場のアタック25の結果も、アタックチャンス前までが

全然強い人についていけず23番の1枚だけの状態だったというところから

アタックチャンスを獲得し、その後2問連続で正解して形勢を逆転、

その後2問は自分の実力不足で他の方に答えられて取られたりしたのですが

最後の問題では自分以外が答えたら負け、自分が答えたら逆転勝ちという

今思うとプレッシャー半端ない状況になったりしていたわけなのですが、

最後の問題を点けて正解して逆転勝ちができたというのは、今思うと

懐に京都大賞典の勝利の記事の切り抜きをお守りに忍ばせていたのが

何かしらの原動力となっていたのかもしれないと思っています。

決着がついたあとのインタビューで、当時の司会者であった児玉清さんに

その切り抜きをちらっと見せたりしたのも記憶に残っているのですが、

確か、この時の枠の色と今日の席が同じだったのでお守りにしてたという

お話とか、追い込みの脚質の牝馬で格好良いんですというお話もしました。

放送ではその見せていた様子はカットされていて、アタックチャンスから

一気に逆転した様子をコメントして下さったりとか、児玉さんのお言葉で

「追い込み馬が勝ったとさっきちらっと仰っていましたが」のコメントが

映像には残っております。あと競馬好きってお話の様子も残っていました。

 

今、そのときの収録から24年と数日あまりの年月が経ったりしたのですが、

この時のアタックがきっかけで関東のクイズ大会に出向くようになったり

そして出向いた先の大会で何度か望外の良い成績を頂けたりしたことで、

アタックに出るまでの自分とは比べ物にならないくらいの交遊が広がったり、

実力の方も…いやそれは24年経ってもそんなに変わっては居ないのですが、

何にせよこの時の結果がきっかけで、クイズの世界に居る自分が少なからず

大きく変わるきっかけをくれたりしたので、勝手にお守りにしてたとはいえ

生で見た京都大賞典のヒシアマゾンの姿は一生忘れてはいけないと思います。

見に行った日には、その後24年も続けられて、しかもその当時にはただただ

遠い存在だなあとひたすら憧れるだけの存在だった数多の強豪の方々とも、

幾分か渡り合えるだけの地盤や環境や力を持つことが出来るようになるとは

あの日には全くもって想像もできませんでした。

 

アマゾンちゃん(と当時は呼んでいました)、長い間おつかれさまでした。

あなたのような強さが欲しい、と何となく願ったことが、あの頃より少しは

叶えられてるかな。きっと本当はまだまだ実力も足りちゃいないんだけど、

少なくともあなたにたった一度会うことが出来た京都大賞典の日の時よりは

今の私はたくさんのことを叶えられていて、幸せに過ごしています。

この世にたくさんいるあなたのファンの中では端っこの端っこの私だけど、

また何かピンチになったら、少しだけあなたを思い出させてくださいね。

どうかゆっくり、天国で楽しく過ごしてください。本当にありがとう。

 


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2019.04.17

くるび拝