都市間電車への脱皮 | 京阪大津線の復興研究所

京阪大津線の復興研究所

大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

かつての片町線の末端区間は4両編成までしか対応しておらず、京田辺(さらに以前は松井山手)で分割併合を行っていましたが、現在は全区間で7両編成が運行されています。これによって手間と時間が省かれた反面、同志社前-木津間の供給過剰が顕著になり、昼間時はまさに空気を運んでいるような状態です。

 

ここは、区間快速を長尾折り返しに変更し、4両編成で京橋―同志社前・奈良間を直通する「学研快速」(仮称)を別に設定して、輸送力のバランスをとるべきでしょう。「学研快速」を京橋―長尾間で放出と河内磐船のみに停車させて遠近分離を図れば、大阪側の混雑にも耐えられるはずです。

 

「学研快速」はJR東西線直通でなく京橋折り返しとすれば使用車両に制限がなくなるので、3扉クロスシート車の221系またはその後継車両を充当できます。京橋の島式ホームの1番線側に3扉車に合わせたホーム柵を設置し、右側の扉を開閉すれば京橋での下車に支障はなくなります。

 

「学研快速」を奈良に直通させるのは、阪奈間の都市間電車としての性格を持たせ、「片輸送」と「先細り」の問題を緩和するためです。現状では木津から大和路線の奈良に直通する列車が早朝深夜にごく少数存在しますが、ほとんどは木津折り返しであり、阪奈間の連絡機能は皆無といっていい状態です。

 

片町線の線路が奈良につながっていることは、沿線住民でさえ知らない人が多いのではないでしょうか。ここに「学研快速」を運転すれば、京橋や枚方市近辺から奈良への直通ルートが形成され、通勤通学一辺倒の片町線に観光色を持たせることができます。

 

その際に問題となるのが、単線である松井山手―木津間での列車交換です。現状の区間快速は京田辺とJR三山木で交換していますが、待ち時間に無駄が多いのが難点です。交換駅をJR三山木から祝園に変更したいところですが、そのためには京田辺―祝園間の7.3kmを7分30秒、表定速度58.4km/hで走破しなければなりません。これは、この区間を各駅に停車していたのでは出せない数字です。

 

そこで、「学研快速」は京田辺―祝園間で同志社前のみの停車とし、JR三山木と下狛は通過させます。JR三山木は交換可能駅ですが、上下列車がポイントの直線側を走行できる一線スルー方式の駅なので、高速で通過できます。

 

この場合、「学研快速」を運転する昼間時には、JR三山木と下狛は営業を休止することになりますが、この2駅は乗降人員が少なく、かつ近鉄京都線の三山木・狛田が隣接しているため、通過しても支障はありません。乗降人員からすれば西木津も通過すべきであり、約500m西にある近鉄の山田川に役割を譲るのが妥当です。

 

JR三山木・下狛・西木津は廃止しないまでも営業時間を限定し、昼間時のローカル輸送を近鉄京都線に任せ、片町線は都市間輸送に徹すべきです。拙著【関西私鉄王国の復興計画(中巻)】でも、神戸電鉄粟生線の一部の駅の昼間時営業休止を提案しましたが、片町線の末端区間は近鉄京都線という代替交通手段が存在する分、ハードルはさらに低いはずです。

 

これら一連の施策が実現すれば、「学研快速」は京橋―奈良間を52分で結ぶことができます。京橋―木津間では46分と、現状の区間快速より15分短縮され、「大和路快速」の天王寺―木津間42分とほぼ同等になります。また、京橋―河内磐船間は18分となり、京橋が始発駅であることも相まって、対京阪の競争力が向上します。

 

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