ぶらっくまーさん -190ページ目

投資のいろは

日本時間明日午前3時半からのFRB議長の会見は見物です。

 

その為にこの後一旦寝て、その時間に起床しようと思います。 さて、米中首脳が今月末の大阪で行われるG20で首脳会談を行うとのことです。 そして実務者協議が再開されたそうです。 これは少しこの先の情勢が分からなくなってきました。

 

投資のいろは、ではありますが、こういう株価が下落局面にあるときの私の手法の一部だけを披露しておきたいと思います。 もっとも配当まで考えた場合に、現在はあまり積極的に動く場面では全く無く(ただしあまりにも分かりやすい場面では少し動きました)、敢えて言うのなら将来的にここの読者の方々がそれなりに資金を投入し始められるようになったときに重層的に自分の資金を守る術の一端を紹介するということです。

 

証券会社に口座を開くと今はどうかは分かりませんが、かつては信用取引口座も開設できました。 信用取引というのはネットで調べれば分かりますがあまり良い話を聞かないかもしれません。 それは当然で、信用取引ではレバレッジ(梃子)を使って小さな金額で大きな取引を出来るために、稼ごうという意図で参加すると時によっては大変痛い目に遭い、時には1回で投資から退場させられることもあります。

 

もともとこれはある程度の金融資産を保有していたときに、それのヘッジとして使われるべきものだという前提で以下のことを書きますので安易に信用取引を行ったり、オプションを購入するのは控えるべきであるのは言うまでもありません。

 

あまり日本株だけにかかりきりになっているわけではありませんが、現状で円建て金融資産が本日の時価で1630万円ちょっと(購入時には総額で1720万円ほどなので-90万円ほどの評価損です、配当分を除いて)で、それよりも若干多く現金を円で口座に持っている状況です。 ここの部分は今年に入って増えていますが、いずれにせよ、口座全体での日本円での資産総額は1月に比べて若干増加しています。 そのからくりは次のようなものです。

 

ゴールデンウィークに米中の貿易協議が一旦決裂したということは以前のエントリーでも書きました。 あれはほとんどの市場関係者にとって青天の霹靂で、その後のボラティリティーの増大の仕方を見ても、その後短期的に市場が混乱するのは目に見えて分かりました。 そこで週明けにすでに価格が跳ね上がっていましたがプットオプションを若干と、日経平均先物をその日の価格で売り建てた次第です。

 

まずプットオプションについて説明すると、これは一種の保険の様なもので日経平均がある水準を下回った場合に利益を出せるものです。 正確に言うと、『日経平均に価格が連動した商品を、ある金額で売ることの出来る権利』のことです。 5月の上旬にこれをいくらか購入して、その後チャートを見れば分かるように日経平均は下落を続けています。 6月の上旬に急激に下落した、その翌週の段階でこの権利を行使して現物株の評価損分を少し超える利益を手にしたというわけです。

 

同時に日経先物を売り建てました。 これは同じくゴールデンウィーク明けに保有株の時価総額を若干上回る程度の金額を売り建てて、こちらは下落局面で断続的に決済を行いました。 日経先物はオプションに比べると色々な意味でヘッジのときに使い勝手がよく、現物株を保有していて将来的な下落を確信させるようなときには使うことの多い手法です。 日経先物は5月の中旬から下旬にかけて処分を完了して、それで現物株の評価損分よりも多めの利益を手にしています。

 

先物については、これを保険と見るかどうかは意見の分かれるところでしょう。 私はどんな局面でも損を出すこともあれば利益を出すこともあると分かっているので、先物を売り建てるときには必ず逆指値を入れて予想に反する動きをした場合には損失を拡大させないために、一定の水準で損失を確定させることに決めています。 それにそういう時には現物株が上昇していることが多いので、口座全体では損が発生していないことが多いですから。 今回は幸運にも損失を確定させるような場面は無く、上手く現物株の評価損分を上回る利益をヘッジしたものから得られました。

 

こういう話をすると信用取引を多用したくなるかもしれないのでこれまで書くかどうかを迷っていましたが、こういうことを行う場合には資金の余裕よりも資金管理の厳格なルールに自分を従わせることのほうが圧倒的に重要です。 現物株だと、配当が出るので長期で保有することに意味がありますが、オプションや先物は期限というものがあるので持ち続けるということは出来ませんし、レバレッジをかけてこれらを持つ場合には、損失も利益も増幅して現れるので慣れないとその衝撃に判断を誤るということが多いように思います。 そのためにも、仮にこれを使ってリスクをヘッジする場合には事前にルールを決めておいて、特に先物なら逆指値注文を入れておいて、判断が正しくなかったときに自動的に損失を確定させられるようにしておくべきでしょう。 経験がものを言うのは、長く投資を行っていると早い判断と迅速な行動は常に後で強いられて行動しなくてはならなくなる時よりも良い結果に至りやすいということを身を以って知っているというところなのかもしれません。

不動産投資について

不可抗力的に、マンションを賃貸に出すことになり受動的に大家と呼ばれる立場になってしまったので、不動産投資に関して若干の感想を述べておきたいと思います。

 

そこは自分で住もうと思って購入したので広さもそれなりにあり(独り身でありながら3LDKの77平方メートル)、東京まで最寄り駅から60分で、その駅まで徒歩5分の住宅街という、業界的にどうなのかは分かりませんが私個人的にはそれほど悪くないロケーションの家でした。 中古の物件をかなり破格の金額で購入して450万円ほどで内装を全て取り外し(水周り全てとドアなども全て)、調度品などを全て同一の色とデザインで統一してイメージとしてはホテルの部屋の様な形で全てを新規に入れました。 それでも総額で1200万円程度でした。 たまたま資金的に余裕があったので一括で支払うことも考えたのですが、色々うわさが立つのも嫌だったので逆に全額ローンを組んで銀行の応接室で登記簿の引渡しと金消契約までやって、ついでに最初の住宅ローン減税を受けた翌日にローンの残額を全額ネットから繰り上げ返済しました。 全体として落ち着いた感じの内装で窓は全てカーテンの代わりに木製のブラインドを入れて、それに合わせて居間のドアなどの色を決めていった次第です。

 

照明はすべてLEDに統一して、更に洋室と和室で2種類の照明に統一し、トイレと玄関はセンサー付きのLEDを入れました。 全体として統一感を重視して住み心地を考慮した内装に仕上げたつもりです。 壁紙やキッチン、浴室と洗面台などの色を統一するために3ヶ月ほど色々なところをまわり、かなりよい感じになったと思いました。

 

まぁ、もともと自分で住むつもりでしたからね。

 

ところで、ここは現在貸し出されていますが実際に貸し出しの募集をかけて入居が決まるまでに1ヶ月ですが空き家の状態でした。 その後は家賃収入を得ています。 まだ何かを語るには不十分だとは承知しつつ、この不動産投資(もちろん不可抗力でそうなったのはあるにせよ)についての雑感を述べたいと思います。

 

まず、これは余裕資金でやるのならそれほど悪くないでしょう。 ローンを組んでやるのなら止めた方がいいと思います。 私の場合は金融資産として米中日の株と債権を持っていて、その時たまたま日本円で自由に動かせる現金が多かったのもありローンを組む必要性が(うわさが立たないように擬装する以外に)無かったので貸し出すタイミングでは不動産に対する月々の支出は管理費と修繕積立金の計16000円程度のみでした。 後は若干の電気代。

 

そういう状況であるのなら、固定資産税と管理費等を除けば残りの家賃は全て手に出来るので、ここだけを切り取れば悪くない投資のように見えます。 ですが私はこれを積極的に手がけるかと聞かれれば手がけません。

 

ただ、その前に不動産投資をするのなら、安普請の家を作ってというような利益だけを考えるのは最終的に自身の利益を損なう考え方のようにも感じます。 この家はその地域のその広さと築年数の住宅の相場より若干高めの家賃設定です。 しかし割りと簡単に借主の方が見つかりました。 詳細は明かせませんが、当然その家賃の家を能動的に選んでいただいているわけですが、それだけの付加価値を付けることが出来たと考えたいです。

 

例えば1棟ものの賃貸物件を安普請で作って、そこに入居する人を考えた場合、長い目で見ると出入りが激しそうだとか、丁寧に使ってくれる人が来てくれるだろうかとか、色々考えることがあるわけです。

 

極端な話、作りのしっかりした中古のマンションを買って自分が住んでみたくなる程度に内装を完璧に仕上げれば、当然他の人もそこに住みたいと思うわけで、しかもそういう住宅ならそれなりの人が来てくれるだろうと思えますから、長期的に見た場合には有利に働くと思うのですよね。 今、新しい土地で色々な物件を見て回っていますが、思うのは住居というのはそこに住む人のパーソナリティーが見事に反映されるものだなぁ、ということです。 安普請の狭い部屋ばかりの集合住宅を見たときに、そこのオーナーの考え方が分かるというか、街を良くしようとか、住み心地の良さに気を配ることとか、そういうことに気が回っているのかなぁ、と思ってしまいます。 一方、築年数の深い一戸建てでも、古く感じるよりも趣を感じるという物件を目にすることがあります。 そういう家は郊外にあっても、よくよく調べると色々なアクセスが良かったり、居間から縁側に出て庭を見てみるとその向こうに広がる景色が良かったり、つまりまぁ、家ひとつ建てるのにもじっくり考えて住み心地を考えてこられたのだなぁ、としみじみ思います。 不動産を投資の対象と考えたことは無く、今回も自分で住むつもりで家を選んだことが結果として貸し出すときにも有利に働いたのですが、投資全般というのは結局こういう部分があると思うのです。

 

目先の利益を求めるのはとても重要です。 利益を求めないで投資を始めるというのは市場が持つ資源の配分の最適化という機能を否定することにもなり、それは投資を行う姿勢として間違っていると思います。 ですが、どう利益を得るか、何を以ってそれを判断するのかというのは人間一人ひとりの思想が絡んできます。 重要なのは、とにかく儲けられれば良い、というスタイルでそういう商品や銘柄を探り当てた場合、そこには当然同じように他人を出し抜いて金を稼ごうという人々が自分以外にも大勢群がっている。 つまり、自分がある判断で商品や銘柄を選択しているときに、同じような判断をした人間がそこに集まっているということです。

 

私は投資(投機?)を始めたころは歳も若く(19歳)、何も考えずに売り買いを繰り返していましたが、今はその頃に比べると少しだけ賢くなったのか売り買いはあまり頻繁にしなくなり、あまり大きな損失を抱えることもなくなりました。 今は数パーセントのキャピタルロスが生じてますけれどね。 最近の判断の基準は、株式でいえば最低10年の保有期間を考えていて、そうして選択した銘柄というのは当然同じような判断をした人たちが注目しているのじゃないかと思えます。 投資の極意っていうのは実はこういう部分じゃないでしょうか?

 

さて、話を元に戻して不動産投資を積極化しない理由です。 それはまさに“不”動産という言葉の意味どおりこれが簡単には売り買いできない、売り買いできても手数料が結構かかるということです。 それから1単位の金額が高いということでマーケットほどは参加者が多様でないということもあります。 それと日本に特有の構造的問題として人口減少という問題があります。 これは不動産に限らず日本にあるあらゆるものを保有することを私が敬遠する理由ですが、人口が減少するということは債権や株もそうですけれど、数十年の期間で保有するような不動産の場合、リスクが大きすぎて自分の資産の大半を日本の不動産で保有するというのは出来ない選択です。 定年を迎えた後で海外で悠々自適に暮らそうと思うときに為替が今と一変している可能性が高いので同じ不動産からの収入を当てにするにせよ、それは日本じゃない気がします。 もっとも海外の不動産を保有しようとするときには国籍とか色々障壁もあるでしょうけれど。

 

日本円で20万円位の家賃収入が月々あれば、将来為替が1ドル=180円位まで動いたとしても海外での生活の原資に若干はなるかなぁ、という意味で年金基金に積み立てるのと同じ感じで今回と同じくらいか、もう少し高価格帯の中古物件で東京近郊であと2部屋、あるいは大災害のリスクを勘案して1部屋東京近郊、もうひとつはこれから購買力が倍増して日本にも移住者として現れるかもしれない中国人の居住先として沖縄とか北九州に1部屋とか、そんな感じでしょうか。

 

それ以上になってくると、少なくとも日本でそこまで積極的に不動産を買い進める理由というのが全く見当たりません。 今、多くのサラリーマン大家の方々がいらっしゃるようですが、建てられている建造物をたまたま見させてもらって思うのは、あれは投資した金額を回収する遥か前に資産としての価値がゼロになるだろうということです。 気になるのは、その後固定資産税などを支払い続けられるのか、そういうことが全て不可能になった場合、自治体が建造物を取り壊して土地を更地にする費用などを負担するとするのなら、そういう建物が多く建っている自治体の将来の財政に与える影響が無視できないのではないかということです。 そうすると住民に対するサービスの質も低下し、負のスパイラルで悪くなるばかりと思えるのですよね。

 

不動産に投資をするぐらいの資金を持つなら、全面的に善行を行うという意思のみで行動せよとは言わないまでも、1%ぐらいは共同体のためを考えて行動したほうが、最終的に自らの利益にも繋がるような気がします。 今、日本人の多くに欠けているのはこういう視点じゃないでしょうか? いくら口で公共心という言葉を唱えたとしても、収入が少なくなり、それを方便として他人や共同体を気遣うゆとりが急速に消えて行っていることこそ、日本の病巣のように思えます。

危険信号

最近更新していなかったのは、ちょっと真剣に自分の全金融資産を調整していたからです。 あ~、疲れた(笑)。 その判断も含めてここで少し長めのエントリーを。

 

このブログで日本株を扱うときに書いたように昨年の夏にリーマンショック直前に購入したストリップス債が満期を迎えたため、それを再投資する先として日本株もターゲットにし、全体の一部を日本円に換金して、どうせやるなら投資に興味をお持ちの方々向けに、色々書いていこうというのがこれまでのシナリオでした。

 

今は米中の株を中心に現金化を進めており、今度はそれらをどういう風に差配するかを検討中です。 判断としてはキャッシュポジション(CP:金融資産内の現金の比率)を高める方向で動いています。 大体の米中の株は2010年ごろから買い始めており、これを割りと大規模に処分したので税金とかも色々大変なことになりそうです。 世界経済についていうと、5月上旬までは楽観的でしたが、あそこで米中に何か決定的な亀裂が生じたのだろうと判断しています。 そこから迅速に行動しました。

 

本来だと、トランプ大統領の訪日の前後に、中国も訪問するというシナリオがあったはずです。 そこで事務方が取りまとめた貿易協定を首脳会談で双方が批准する、きっとそういうシナリオがあったはずです、4月までは。

 

トランプ大統領も習主席も、譲る気は全く無いようです。 このままいくとG20でも進展がみられる可能性は限りなく小さいように思えます。 グローバル化を巻き戻す動きですが、おそらくこれだけの期間に亘って事態が好転しないと市場が動揺するだけではなく各企業は次の会計年度での戦略を根本的に見直すことになるはずです。 つまり市場的にも『詰んだ』状態が近づいている、というか本格的な経済の縮小に先駆けて市場が下落に転じたという蓋然性が非常に高いようです。 既にテクニカル的にもそれを示唆する数字が現れてきています。

 

今回の貿易戦争が実際の戦争に転換する可能性はゼロに近いと思いますが、経済的にはちょうど1920年代ごろのアメリカの政策と非常に似た状態をまずはアメリカが作っていて(その時には全世界の2000人以上の経済学者が連名で時の大統領に保護貿易を止めるように書簡を送った)、今回もそれに近いような状態が起こりそうです。 前回のときは、究極の公共事業、すなわち戦争によって経済が上向いたわけですが、今回はその手が封じられており、なおかつ先進諸国は既に財政的にかなり厳しい状況に追い込まれており、特に日本は今の政策のまま行くとするなら、つまり財政支出を抑えながらという方向で経済を運営していくつもりなら、今度は回復までにかなりの時間が必要になりそうです。

 

今のところは可能性があるというだけなので将来の予測なんてしませんけれど。 ただマーケットに激震が走るのは結構近い気がします。 本当に僅かですが、直感的に思うだけですが、実は今、かなり大きな変化の只中にいてそれを目の当たりにしているのじゃないかという気が少しします。

TYK(5363)の決算について

TYKの決算が出て、来期の業績予想を今期からマイナスにしたようです。 加えて減配を発表して本日はかなりの暴落となりました。 私もタイミングを見計らってこの銘柄を処分する予定です。 基本的に減配や無配に転落した銘柄は長期で保有することはなく問答無用で処分します。

 

タイミングとしては、さすがに今日の暴落は予想できましたが、これは信用買いが処分された影響もあるだろうと思えるのでもう少し落ち着いたタイミングで損切りを行う予定です。 あとは米中が貿易協議で妥結する前ですね。 そのタイミングで資金がかなり市場に還流することは確実で、その時に資金を動かしやすくしておきたいと考えています。 それにしても驚いたのは本日発表された日本の四半期成長率が年率換算で2.1%だったことです。 

 

米中貿易協議に関しては、両国の新聞などで仄聞する限りは強硬派がどちらにも存在していますが、同時に両国とも妥協に向けた大きなインセンティブが存在しており、特に中国では沿海州に居住する比較的高所得者、金融機関やIT産業で働く年収8~15万ドル程度の人々を中心に自由貿易圏へのアクセスがよりしやすくなる方向での妥協を強く支持する動きがあり、中央政府では面子や政治的駆け引きもあるでしょうが、交渉が決裂するリスクを考えた場合に、中国も交渉のテーブルから席を立つことはなかなか出来ないのではないかと思います。

 

80年代に日本がアメリカと貿易摩擦を起こしたときにも、特に農作物では日本国内の事情もあり政府自民党がかなり強硬に抵抗したのを記憶しています。 しかし結局日本が市場を開放したことで私たちは海外の安くて美味しい農産品を堪能できるようになったわけです。 しばしば混同されていることですが、経済のグローバル化と金融のグローバル化はきちんと分けて考える必要があると私は常に考えていて、経済のグローバル化は結論から先に言えば、世界の様々な国々が自国で全ての財をコストによらずに自給するという考え方を皆で放棄して、もっとも資本を効率よく運用できるような場所で財を生産し、それを自由貿易という枠組みで世界中でお互いに融通し合うというものです。

 

ですから徹底的に議論して、それが安全保障上本当にいかなるコストを払ってでも自給することが必要だという物を除いて、世界中から良いものを買い付けるというように行動するほうが合理的であるように思います。 例えば食料自給率が低下することを懸念することがありますが、農産物を生産する国々は、それを輸出して外貨を稼いで資本財を購入する必要があり、外交的に関係が悪化したからといって貿易に直ちに影響が出ることは考えにくいのです。 これは例えば中国がかつてレアアースをそうした戦略に使おうと試みたことがあった時にも、正当な理由無くある国にのみ輸出を行うことを規制するということが、この自由貿易のルールに反することになり結局WTOでも中国の輸出規制が取り上げられて、恣意的な輸出規制が出来なくなったという経緯は記憶に新しいところです。

 

私が考えるところ品質と価格が妥当なら、日本で既に農業が壊滅的な状態であることを考えれば、特に価格競争力がゼロである穀物などは全量輸入に頼ってもよく、国内では付加価値の高い果物などの生産に特化することで農業経営者を育てて、農産物を国際的に競争力のあるものに集中して育てていくという戦略もありだと思うのです(余談ですが私の母方の一族は戦前(正確には江戸前期の田沼時代)からの地主で、90年代に家業の農業を株式会社化して現在は米作も行っていますが高付加価値の果物を中心に栽培しています。 それは中国を中心とした東南アジアに輸出されています。 ちなみに六本木ヒルズにある果物店でもいくつかの商品を購入できますが、イチゴはひとつ400円です)。

 

こうしたことを考えると、中国についても既にその商品は価格が安いから世界で受け入れられているというレベルを超えていて(ちょうど80年代には日本の車が世界中でその品質の良さから飛ぶように売れていたのと似ています。 70年代前半までは日本車のイメージは坂を登ることすら出来ない車というものでした)、既に品質において世界との競争に十分対応できるだけの実力をつけているように思えます。 何よりも、これもちょうど80年代の日本人がそうであったように、今の中国の方々は自分達の作り出す物や、日の出の勢いの国力に対して自信を深めていて、それが中国国内でも米中貿易に対する評価が一枚岩とはいかない理由なのかと思います。

ベルーナ(9997)の決算について

本日はベルーナの決算が発表されました。 プロパティ事業(ホテル)の開業コストを含めて若干の利益を計上しているというのは意外なグッドニュースです。 私の個人的な印象だとホテル事業というのはイニシャルコストもかかるし、ランニングコストも人件費を始めとして固定費がかなり高く損益分岐点が高いという気がするのですが、その中でも健闘しているようで安心しました。

 

また、来期は若干ですが増配するようで嬉しいことですね。 こちらもそのうち水準訂正があるように思います。 もっともこのセグメントは全体的に配当利回りが低いという気もするので、それをどう考えるかです。

 

決算の概況にもありますが米中が貿易自由化で争っていることに対しての懸念が示されています。 これはひとつこの企業のみじゃなくどの企業も、もっと言えば世界のどの国のどの企業も先行きを懸念しているところで、逆に言えばこれが完全に円満な解決でないにせよ、決着がつくことで株価の重石が取れるのではないかということを感じます。 いずれにせよ、あと1ヶ月程度で収束することを期待したい。