ぶらっくまーさん -191ページ目

銀行の決算を見て思うこと

やや旧聞に属しますが、保有するりそな銀行の決算が金曜日の取引時間後に発表されました。 決算書を細かく理解する必要は無いにせよ、営業C/F、投資C/F、財務C/Fの大体の意味ぐらいまでは知っておくと良いかもしれません。

 

金融緩和の影響は結構大きいです。 元々これは短期間で行うという当初の目論見は破綻して、長いこと緩和を続けているわけですが短期金利と長期金利の差がここまで縮まると銀行の経営を圧迫しますね。 りそなホールディングスについては今期、配当を前期と同額にしていますが優先株の消却と自社株買いをして維持できている水準なのかもしれません。

 

最近、所謂メガバンクが将来的に人員を大規模に削減する計画を打ち出していますけれど、そういう金融機関の経営者が大勢で検討しても、この先しばらく金融緩和が続くというのが合理的判断ということなのでしょう。 長短金利の差が縮小している以上経費を削減するしかないという判断なのでしょう。

米中貿易協議の行方について(その2)

米中の貿易協議ですが、いったいこれはどうなることやら? 前回のエントリーで私は予想に反して協議が決裂したと書きました。 その後、両国政府の発表を難渋しながら読んでいくと双方とも本当にタフな協議をしているなとつくずく思いました。 そして、どうやら両国ともこの協議を本当に真剣に意味のあるものにしようとしているんだということも。 みなさんは情報をどこから仕入れるのでしょう? 私は基本的には政府発表のものなら政府が発表するステートメントを、企業については企業のIRを読むことにしています。 メディアの発表やSNSや匿名掲示板を読むことは一切ありません。 巷でどういう議論をされているのか、全然知らなくとも投資をする時に不自由したり不利に感じたことは一度も無いので。

 

今回、例えば最初のトランプ大統領のツイートだと、10日午前零時1分から関税を25%に引き上げるとあるんですね。 これが曲者で、実は実際に中国からの輸入品に対してこの率の関税がかかるのは何と驚く無かれ、この時間以降に中国の港を出た貨物からとなっているのですよ。 外国から商品を買ったりした人は知っていると思いますが、例えばアメリカの西海岸から日本までの船便は2週間以上かかります。 中国の港からだと20日前後はかかるのじゃないでしょうか?

 

これまでの米中貿易協議で、双方とも関税率の引き上げを声高に叫んでいる割には、何かで調べればすぐに分かることですが、実は運用上で、その関税率を科すのを双方とも延期したり交渉が継続している間は保留したり、つまり両国とも国内にいる強硬派と、それから日本でもそうでしょうけれど、130字以内でしか事象を理解できない多数の人々向けに分かりやすく善と悪、オールオアナッシング的に大見得を切ってはいます。 でも実は分かっている人たち向けには分かるように協議が決して決裂してはいないという、まぁ、なんというのかこの時代の地球上での2大強国の本当に凄い協議をこうして目の当たりに出来るというのはそれだけでも幸運だということです。 将来的に投資をして財産を築こうと考えている人なら、ここから多くを得られるんじゃないでしょうか。 少なくとも私はそうです。 前回のエントリーでかなり悲観的に書きましたが色々調べてみると両国の交渉担当者は、当然ですが私の様な単なる一庶民とは違って、それぞれの国で生活している大勢の人々の明日の生活がかかっているわけで、交渉でのひとつひとつのプロセスや一言一言が与える影響がどれだけ大きいか十分に分かっているんですね(それでなければそういう立場に立っていられないのはもちろんで、言わずもがなのことですけれど)。

 

これだけ双方とも徹底的に議論して妥協点に達して合意を形成できた場合、それは両国の色々な意味での紐帯というものが結果としてこれまで以上に強くなり、米中両国はお互いに仮想的な敵国ですらあるとしても、同時にお互いに話し合いで物事を進めていける手強い相手ということになるので、長い目で見るととても良い両国の関係が築かれるのじゃないかと思えるのです。

 

通常、このブログではあまり私個人の思いを書くことはありませんが、今回は非常に素晴らしいもの、それはしばしば起こっているという類のものではなく、数十年に一度あるような凄いものを、それをリアルタイムで経過を追える絶好の機会なので敢えてこうしてやや感情を込めてエントリーを書いた次第です。

 

最後に蛇足ならが、アメリカが実際に中国からの輸入品に25%の関税をかける、その荷がアメリカの港に着く日にちと、これからの両国の政治的な日程を以下に記しておきます。 そこから何を汲み取るか、汲み取らないかは皆さん自身の問題です。

 

5月25日~28日 トランプ大統領来日(その後他国を歴訪するかも・・・)

6月1日前後    中国から届く輸入品に実際に25%の関税がかかりはじめる

6月28日~29日 G20大阪サミット(米中首脳も出席します)

米中貿易協議の行方について

先日のトランプ米大統領の中国からの輸入品に対する関税の引き上げについて、私の情勢の読みは外れました。 ただ誤解を恐れずに言えば、アメリカ側の交渉担当者も含めて多くの人にとって青天の霹靂だったようです。

 

さらに私はこれに重ねてトランプ大統領がブラフとしてこれを発表したのだと考えていましたが事情はそれとも異なるようです。 色々調べてみると中国側から5月3日にこれまで米中で交渉して纏めていた150ページにも亘る協定案を大幅に修正して、ほぼ議論を振り出しに戻すような形でアメリカ側に手交し、それを読んだ米国側代表が大統領に報告。 トランプ大統領は激怒して5日にあの twitter の発表になったようです。 私は外交儀礼などについて詳しくは無いですが、今回の様な長期に亘る大変な協議を重ねて互いに譲るところは譲って出来た案をほぼ白紙に戻すような修正案を出すと言うのは、あまり聞いたことがありません。

 

中国国内で何かが起こっているのでしょうか? まず中国側について思ったのは、これで合意に達する可能性があると僅かでも政権の人間が思っているのかということです。 もし思っているとしたら、外交上のマナーとかそういうレベルではなく、ひとりの人間としてかなりおかしいと思えます。 決裂を望むのなら、このような侮辱的な修正案を出すよりも最終的に合意に達しなかったと協議の席を立つほうが、まだしも後腐れがない分、同じ決裂でもましに思えます。

 

もうひとつ思うのは、中国側の交渉の責任者は劉鶴『副首相』であって、この地位にいる人は4人で政府の中で首脳級なわけで、その人が纏めてきた案をこうも簡単に大幅修正するというのは、どこからか大きな力がかかったのかな、ということです。 調べてみるとまったく伏線が無かったわけではないようで実はこの貿易交渉で中国国内の強硬派から批難を受けていたということがあったようです。 そうするとこれは劉鶴副首相にとっては挽回不能なほどの政治的失点になるので次の人事で更迭ぐらいはあるだろうな、と思えます。 中国の政治のルールを知りませんが、この修正案を劉鶴副首相に持たせるというのは、どういう了見なのかと思います。 面目は完全に潰れますよね。 それが狙いなのかもしれませんけれど。

 

自分が仕事の場面で部下がいたとして、その部下が他の会社と何かの交渉をしていて半年かけて困難な交渉をようやく纏めるところまでやってきた。 最後の交渉と、後は両者の社長同士の調印を待つばかりというその直前の最後の調整と思っていた場で今までの交渉は全て白紙にして新しい提案を先方が持ってきたとします。 上司や社長としたら、交渉云々の前に信頼関係の問題でどう考えても激怒して当然だと思えます。 交渉担当者も投げやりになって、もはや妥協策ではなく、対抗上こちらの主張を全部通すか、決裂かで構わない、となっても仕方が無いでしょう。 このあたり、1941年ごろのどこかとどこかの国の交渉を思い出させなくもないです。

 

当事者の立場に立つと、劉鶴副首相も政治的に破滅することが分かっているわけだしアメリカ側も匙を投げて強硬に原案で行こう、乃至はそれに近い形で交渉の場に向うだろうと考えると、今回の交渉で最高に良い結果を期待したとして、ごく短期間だけ交渉のリミットを遅らせる程度しか期待できないです。 ほぼ決裂するという気がします。 貿易依存度において中国が非常に高く、日本がそれに続き、アメリカが小さいということを考えると私の資産の分配を再検討せざるを得ません。 ただ、どうあがいても無傷では済みませんが。

 

ただ、中国株も買い始めたのは数年以上前なので損失が発生するということを直ちに意味するわけではないです。 それでも現在口座に計上されている数字をそのまま現金として引き出せるというほど情勢は良くは無いでしょう、間違いなく。

seasons of settlement

あの名曲のタイトルをこれほど下手に借用して、その素晴らしい輝きに傷をつけてしまっているわけですけれども本邦企業の決算が出始めています。

 

私の現在保有する株式に関連して言うと、ソフトバンク(9434)とホンダ(7267)が本日決算を発表しました。 ソフトバンクについてはかなり良い着地点だったようです。 ホンダの業績も昨年度の世界経済の減速を考えたら健闘したと言えると思います。 私の場合は10年単位で保有するという考え方です。 キャピタルゲインを狙いに行く時には、もう少し別の作戦と戦術で取組むので、ここで紹介している手法は基本的に長期で配当を得ていくものです。 

 

おそらく経験者には言わずもがなでしょうが、大勢が参加している匿名掲示板などでは好決算で浮かれて、その人たちのその後の行動を予想したりはしませんが(興味すらない)、配当を確定させてキャピタルゲインを僅かに得て売ってしまうかもしれません。 そうでないかもしれません。 しかし長期で株を保有しようとするときに、その視点で今回の私のように銘柄を選んで、そして特に好業績の決算を発表した後の銘柄の値動きを少し長い目で見ることを強く勧めたいです。

 

長く投資を行って勝ち続けてきた、とは言えないまでも幸運に恵まれて幸いにも生き残ってこられた身からすると、書き込みに書かれたちょっとした文章でも相手の投資の上手い下手は分かるものです。 もちろん色々な資金の動かし方があり、上手い人はどうやっても上手い。 けれどもそうではなくてそれを真似しているようなだけの人は失敗からも成功からも何も学ばないもので、そういう学ばない姿勢はちょっとした書き込みにもすぐに現れるものです。

 

例えば、業績が良かったから株価が短期的に上昇して、そこで買値を上回ったから売ってしまったら? 通常その後のその株の値動きをずっとウォッチしたりはしないで次の銘柄を物色するのでしょう。 でも、好業績を挙げた銘柄を保有し続けて、ずっと値動きを見続けてみると良いです。 とても勉強になります。

 

多くを教訓じみた形で書きませんが、手堅く間違いのない銘柄を選んで長く保有することで、結果としてキャピタルゲインも多く得られるということは経験からも間違いないです。 それは日本株だけに言えることじゃありません。 また配当を出す銘柄だけに言えることでもありません。 しかし多くの銘柄について確実に言えることです。

中世のイベリア半島

歴史が好きで、かつてはルネサンスや市民革命、古代ローマなど歴史好きの定番の時代が好きでしたが、徐々に中世や辺境など、あまり大向こうを振り向かせるようなものではない時代と場所に魅かれていきます。 イベリア半島については西ゴート王国が成立してからピレネーの北側をフランク王国に奪われて、その後イスラーム勢力が進出する、このあたりの歴史をまとめた良い歴史書が邦訳されていなかったり、これまであまり多くの本が出版されていなかったりでウェブで海外のサイトを調べたりもしながら思いを馳せていたものです。 そうした中で最近手にした2008年に山川出版社が発行している、『世界歴史大系 スペイン史1 -古代~中世-』 はこれまで読んだ中では白眉です。

 

特に、タイファ諸国については大雑把な捉え方しかしていなくて、そこに不満はあるけれど、キリスト教国側をきちんとレオン・カスティーリャ王国側とアラゴン連合王国側のふたつの章に分類して記述しているところは嬉しいです。

 

考えてみると、スペイン自身がこの時代のイスラームの影響をイデオロギー的な問題で過少に捉えようとしたり、スペインが事実上統一したカトリック両王の下でのイスラム教徒やユダヤ教徒に対する弾圧などもあって、何を正当化するのかとか、まぁ、洋の東西を問わずにどこの国でも抱える歴史に対する問題があって中々評価が難しいのかも知れません。 それでも当時のカタルーニャ地方の行政文書がオリジナルの文書としてかなり残っていて、そういうのの分析や土地の名前や言語の中に現れるアラビア語やヘブライ語の語彙なども文化人類学からのアプローチで徐々に分かってきているので、歴史を純粋に楽しもうという人間にとってはとてもありがたいことになってきています。 封建制についても最近は以前とちょっと捉え方が変わってきたようです。 こういう場合、いうまでもなく当時の庶民の暮らしが思いの外自由だったというようなことがあるにせよ、あまりノスタルジックに理想を描くことは禁物ですけれどね。 それでも暗黒の時代ではなくて地中海貿易も中世を通じてそれなりに栄えていたようです。 イベリア半島との関係で言えば、カスティーリャ王国が勢力を拡大してからは、ビスケー湾からドーバー海峡までの制海権を掌中に納めて、イングランドや北欧との毛織物交易で栄えたということもあるのですね。