米中貿易協議の行方について | ぶらっくまーさん

米中貿易協議の行方について

先日のトランプ米大統領の中国からの輸入品に対する関税の引き上げについて、私の情勢の読みは外れました。 ただ誤解を恐れずに言えば、アメリカ側の交渉担当者も含めて多くの人にとって青天の霹靂だったようです。

 

さらに私はこれに重ねてトランプ大統領がブラフとしてこれを発表したのだと考えていましたが事情はそれとも異なるようです。 色々調べてみると中国側から5月3日にこれまで米中で交渉して纏めていた150ページにも亘る協定案を大幅に修正して、ほぼ議論を振り出しに戻すような形でアメリカ側に手交し、それを読んだ米国側代表が大統領に報告。 トランプ大統領は激怒して5日にあの twitter の発表になったようです。 私は外交儀礼などについて詳しくは無いですが、今回の様な長期に亘る大変な協議を重ねて互いに譲るところは譲って出来た案をほぼ白紙に戻すような修正案を出すと言うのは、あまり聞いたことがありません。

 

中国国内で何かが起こっているのでしょうか? まず中国側について思ったのは、これで合意に達する可能性があると僅かでも政権の人間が思っているのかということです。 もし思っているとしたら、外交上のマナーとかそういうレベルではなく、ひとりの人間としてかなりおかしいと思えます。 決裂を望むのなら、このような侮辱的な修正案を出すよりも最終的に合意に達しなかったと協議の席を立つほうが、まだしも後腐れがない分、同じ決裂でもましに思えます。

 

もうひとつ思うのは、中国側の交渉の責任者は劉鶴『副首相』であって、この地位にいる人は4人で政府の中で首脳級なわけで、その人が纏めてきた案をこうも簡単に大幅修正するというのは、どこからか大きな力がかかったのかな、ということです。 調べてみるとまったく伏線が無かったわけではないようで実はこの貿易交渉で中国国内の強硬派から批難を受けていたということがあったようです。 そうするとこれは劉鶴副首相にとっては挽回不能なほどの政治的失点になるので次の人事で更迭ぐらいはあるだろうな、と思えます。 中国の政治のルールを知りませんが、この修正案を劉鶴副首相に持たせるというのは、どういう了見なのかと思います。 面目は完全に潰れますよね。 それが狙いなのかもしれませんけれど。

 

自分が仕事の場面で部下がいたとして、その部下が他の会社と何かの交渉をしていて半年かけて困難な交渉をようやく纏めるところまでやってきた。 最後の交渉と、後は両者の社長同士の調印を待つばかりというその直前の最後の調整と思っていた場で今までの交渉は全て白紙にして新しい提案を先方が持ってきたとします。 上司や社長としたら、交渉云々の前に信頼関係の問題でどう考えても激怒して当然だと思えます。 交渉担当者も投げやりになって、もはや妥協策ではなく、対抗上こちらの主張を全部通すか、決裂かで構わない、となっても仕方が無いでしょう。 このあたり、1941年ごろのどこかとどこかの国の交渉を思い出させなくもないです。

 

当事者の立場に立つと、劉鶴副首相も政治的に破滅することが分かっているわけだしアメリカ側も匙を投げて強硬に原案で行こう、乃至はそれに近い形で交渉の場に向うだろうと考えると、今回の交渉で最高に良い結果を期待したとして、ごく短期間だけ交渉のリミットを遅らせる程度しか期待できないです。 ほぼ決裂するという気がします。 貿易依存度において中国が非常に高く、日本がそれに続き、アメリカが小さいということを考えると私の資産の分配を再検討せざるを得ません。 ただ、どうあがいても無傷では済みませんが。

 

ただ、中国株も買い始めたのは数年以上前なので損失が発生するということを直ちに意味するわけではないです。 それでも現在口座に計上されている数字をそのまま現金として引き出せるというほど情勢は良くは無いでしょう、間違いなく。