(大白蓮華、5月号、2022,「未来を開く対話」への道より)
帰国後、博士は学会に関する記事や出版物を読み、理解を深めた。また、先生の思想と実践に強い関心を抱いた。
そして、1969年、先生に対談を要請する書簡を送ったのである。
学会や先生に対して、博士はどのように理解していたがー それを物語るのが、英語版の小説『人間革命』に寄せた「序文」である。
「創価学会の戦後の見事な成功の原因は何であったか?
根本の原因は、宗祖・日蓮を源とする創価学会の信心、創価学会の指導者の信心にある。
日蓮の精神は、没後700年経た今もなお、大きな影響力がある」
「戦後の創価学会の興隆は、単に創価学会が創立された国(日本)だけの関心事ではない。
池田氏のこの著作が、フランス語や英語に翻訳されている事実が示すように、創価学会は、既に世界的出来事である」
博士の洞察通り、創価学会は、社会の無理解や敵視による非難中傷、また、迫害と戦いながら、民衆に蘇生の光を送り続けてきた平和勢力である。
新たな民衆勢力の台頭に恐れをなした権力者や既成宗教は、創価学会に猛反発した。
学会員への弾圧事件も各地で頻発した。学会は、その苦難を一つ一つ勝ち越えた。
学会への、いわれなき中傷も、当然、博士の耳にも届いていた。
「しかし、博士は、皮相的な論難は学会の本質と関係ないことを達観していた。
博士自身が、同時代の嫉妬の批判と戦ってきた信念の知性であった。
博士は、悪口罵詈を乗り越えて進む学会を通して、生々発展する東洋の『生きた宗教』の存在を感じ取り、
仏教の新たな可能性を見いだしていたにちがいない。
世界に冠たる、曇りなき歴史家の慧眼は、鋭く創価学会の未来を見つめていたのだ」