「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」。。。 | 怒りくまのブログ(仮)

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気が向いた時、だらだら書いてます
一部、ネタバレもあるのでご注意を

今回は楽しみにしていたコチラの作品を鑑賞

 

【クライムズ・オブ・ザ・フューチャー】

 

近未来、人類は人工的な環境に適応するため

"生物的構造"が大きく変容し痛覚は失われて

止まらない進化は新たな臓器をも生み出した

 

プラスチック製品を口にしそれを消化できる

幼い息子ブレッケンに恐怖を感じる母ジュナ

息子を"怪物"と呼んで思い悩んだ末に殺害!

ジュナからその事実を聞かされた元夫ラング

息子ブレッケンの死体を前にし悲しみ。。。

 

(これも特殊な臓器の影響?)

 

その頃、体内で新たな臓器が生成される奇病

"加速進化症候群"を患い悩まされるソールは

睡眠中に痛みを感じる特殊体質も持ち合わせ

痛みをコントロールするオーキッドベッドや

食事の介助をするブレックファスターチェア

"ライフフォームウェア社"の製品がなければ

日常生活を送る事さえもままならずにいたが

そのベッドや椅子のデザインがなんとも奇妙

。。。さすがはクローネンバーグ監督ですな

 

(天井から吊るされたベッド)

 

(背骨や肋骨のように寄り添う椅子)

 

一方でソールはパートナーの女性カプリースと

生成された臓器を切除する手術を見世物にする

前衛的なアートパフォーマンスを披露する事で

世間からアーティストとしての評価を得ていた

しかし未知の臓器が増えるのを危惧する政府は

警察が管轄する"登録所"への臓器登録を決定し

人類があらぬ方向に進化しないよう取り締まり

進化を推進する者たちと激しく対立していたが

それも全て人類が人類であり続けるため。。。

 

(怪物。。。という事か?)

 

今回も新たに生成された臓器を登録するために

カプリースに付き添われ登録所を訪れるソール

出迎えた所長のウィペット、職員ティムリンは

有名なソールの来所にどこか興奮気味で応対し

特にティムリンの方はソールに強い関心を示し

ソールは次のパフォーマンス公演に二人を招待

一方で登録した臓器にタトゥーを入れるという

政府の計画を耳にしたソールは不満を募らせる

臓器が形を乗っ取られてしまう"傍若無人"だと

 

(。。。はぁ?)

 

とはいえカプリースもソールの新しい臓器には

アートとしてタトゥーを施していて複雑な心境

そこにオーキッドベッドの調整を依頼していた

ライフフォームウェア社から技師が訪ねてくる

ベッドの調整をする技師のバースト、ラウター

ソールが所有している多くの自社の機器の中に

解剖モジュール"サーク"があると知って興奮!

それはパフォーマンスで使用するためのもので

社員たちでも実物を見たことが無い伝説の機器

 

(既に製造は終了してるとか)

 

そして臓器を切除するパフォーマンス公演当日

"痛み"がどんな感覚なのかを忘れた人々が集い

残酷なショーを楽しむため始まり待っていると

サークに収まっているソールをライトが照らし

その周囲をゆっくりと歩いているカプリースが

腹部に装着したパネルのような装置を操作する

すると操作によりサークが静かに蠢いて。。。

切り開いたソールの腹部から未知の臓器を切除

臓器切除の手術を繊細なアートとして表現する

 

(カプリースの操作で)

 

(この直後に腹が開き臓物が。。。)

 

術後のパーティーでくつろぐソールのところに

招待されたティムリンが近づいて寄り添い囁く

「これはセックスね、新しいセックスよ」

手術に性的興奮を感じている彼女の様子を見て

側にいたカプリースは不快感を感じているよう

会場にはバースト、ラウターの姿もある一方で

何故か冒頭で息子を亡くしたラングの姿もあり

エナジーバーのような物を口に運んでいる彼は

それをバーカウンターに置きソールを見つめて

 

(彼はどうしてここに?)

 

と、ラングが置いたエナジーバーを盗んだ男が

それを口にすると。。。突然!悶え苦しみ死亡

ラングは食べても大丈夫だったはずなのに何故

数日後、未知の臓器を取り締まるコープ刑事が

ソールたちのパフォーマンスを調査する一方で

口や目を糸で縫い閉じ全身に耳を移植した男の

パフォーマンスをこっそり鑑賞していたソール

その公演を担当する生体構造コーディネーター

エイドリアンという謎の女性に声を掛けられる

 

(痛々しいけど痛みは感じない)

 

(逆耳なし芳一w)

 

「内なる美は偶然には生まれない」

ソールが公演で口にした言葉を引用する彼女は

内なる美の専門家ナサティル博士と会うべきと

その場を後にし帰宅しようとしたソールの前に

今度はラングが現れてとんでもないことを提案

亡き息子ブレッケンの遺体をサークを使い解剖

それをパフォーマンスとして公演してほしいと

怪訝に思い返事をせず帰宅したソールだけれど

食事をしようとすると喉に違和感を感じ。。。

 

(彼の中で何かが変化してる?)

 

ともかくラングから提案された公演の話を聞き

カプリースも興味をもった?その準備のために

サークを"解剖用"の設定に改めて調整いようと

全裸になったカプリースがサークに横たわって

ソールが操作。。。彼女の皮膚に傷がつけられ

滴る血に興奮したのか?ソールも全裸になると

彼女と体を重ねそれをサークがメスで切り裂き

"痛みを感じない"ため自傷すらも快楽なのか?

傷を負ったソールは恍惚の表情を浮かべ。。。

 

(ティムリンの言葉は正解?)

 

その後、ソールは再び外出しコープ刑事と接触

実は警察と繋がりスパイ行為をしているソール

彼をもてはやす者は"人類の進化"を推進するが

苦しみしかもたらさない自分の肉体を彼は嫌い

それは全て"進化"のせいだと憎んでいるらしく

と、ソールはエイドリアンから名刺をもらった

ナサティル博士の話をコープ刑事にする一方で

ラングの元妻で服役中のジュナとの面会も手配

そしてコープ刑事と別れナサティル博士の元へ

 

(ソールの来訪を喜ぶナサティル博士)

 

進化や未知の臓器などに付随するアート作品を

"内なる美"と呼んで推進するナサティル博士は

内なる美の表現者であるソールとの対面に感激

間もなく開催されるコンテストに参加を促して

調査のため?違法だと承知で了承したソールは

ナサティル博士の勧めで腹部に臓物を覗き見る

ジッパーのような形をした"窓"を付けてもらう

その話を聞いたカプリースはどこか興奮気味で

ジッパーを開き臓物が見える窓に愛おしく触れ

 

(開くだけで臓物を拝める?)

 

(こぼれたらマズいだろw)

 

後日、刑務所を訪ねたソールと面会したジュナ

息子ブレッケンが異物を食べ消化していた事や

元夫ラングやその仲間たちも同じ体質だったと

息子が怪物になったのはラングの遺伝だと語り

その噂のラングはターや仲間たちが営む工場へ

工場ではラングたちが食料としている"異物"?

紫色のエナジーバーのような物を製造していて

そこでラングは息子ブレッケンを公の場で解剖

自分たちの存在をアピールできるとタ―に伝え

 

(ソイレント。。。パープル?)

 

(彼らなりの計画があるようで)

 

その頃、カプリースは友人オディールの公演へ

美しい自分の顔に傷をつけるパフォーマンスで

観衆を楽しませるオディールを見つめる中には

内なる美の虜となったウィペットの姿も。。。

と、友人の公演に予想以上の衝撃を受けたのか

額に複数の突起物を形成してもらうカプリース

更にはブレッケンの解剖とソールの臓器摘出を

同時に行うパフォーマンスをソールに提案する

難色を示すソールだがカプリースは訴え続けて

 

(まったく引かないカプリース)

 

コンテストでの構成について意見が分かれる中

登録所を訪ねたソールは驚きの事実を知る事に

例のコンテストの主催者は。。。ウィペット!

内なる美に衝撃を受けた彼は政府の職員ながら

それに反する思想の深みにはまったよう。。。

一方でティムリンもソールのカリスマ性に触れ

その魅力に魅入られた?積極的に彼にアピール

公演でソールに解剖されたいと異常な提案をし

それがダメならと彼に触れ関係をもとうとする

 

(口の中に指を這わせ。。。)

 

「肉体を介した古いセックスは苦手」

そうティムリンを拒んだソールは登録所を去り

周囲の人々に深く大きな影響を与え続ける中で

夜になりソールとカプリースはラングを訪ねる

ブレッケンの冷凍保存された遺体を確認。。。

と、体内に生成された臓器を"不要のもの"とし

切除するソールは間違えていると訴えるラング

「進化の流れに身を任せるべきだ」

そう二人のパフォーマンスを真っ向から否定し

 

(それが彼らの信じる進化?)

 

解剖の話も早々にラングの元を去ったソールは

ひとりコープ刑事と接触しこれまでの事を報告

話しを聞いたコープ刑事はラングと仲間たちを

捕らえて一網打尽にしたいと考えているようで

実はあの紫のエナジーバーは危険な有毒物質!

ラングと仲間はそれを消化できる器官を有して

ブレッケンもその器官を何故か持っているよう

彼らはそれを人類の進化だと考えいるけれども

もちろん政府は彼らを脅威と考えているようで

 

(進化を危惧するコープ刑事)

 

その頃、食事をしていたナサティス博士の元を

バーストとラウターが訪ねてきていきなり殺害

どうしてライフフォームウェア社員が殺しを?

一方でソールとカプリースはラングたちを訪ね

彼らの目的や何をするのか事情を問いただすと

あの紫のエナジーバーは"産業廃棄物"が原料で

ラングたちはそれを消化する器官を違法に移植

人類が環境に合わせる事で食糧問題を解決する

ブレッケンは遺伝で生まれつきその器官を持ち

 

(新しい人類。。。)

 

その事実を公開解剖により世間に知らしめたい

進化した人類がここに存在する事を示したいと

で、コンテストが開催され公開解剖開催の時が

会場には主催のウィペットやティムリンの姿や

カメラを構えて撮影するバースト、ラウターも

そしてブレッケンの死体が横たわったサークを

観衆が見守る中でソールが操作して解剖が進み

人類の進化の先にある美しい臓器がそこにある

そう信じるラングたちが目にしたものは。。。

 

(タトゥーが施された醜悪な器官)

 

サークの側で詩的に解説していたカプリースが

見て下さいこの世界の未熟さや絶望や醜さが

最も若く美しい者の中にまでしみ込んでいる

世界が子供たちを内側から殺しているのです

そう涙を浮かべながら観衆たちに訴えて。。。

思わず目を逸らしてしまい席を外すウィペット

まさかの結末にラングも会場を飛び出してゆき

その後を追ったバーストとラウターは背後から

ラングの後頭部に"電動ドリル"を突き立てる!

 

(この二人は。。。何者?)

 

動かないラングの死を二人は念入りに確認する

混乱の中でコンテストは中断され幕を下ろして

夜の闇に紛れてコープ刑事と合流したソールは

ブレッケンの器官が"偽物"だったと彼に伝える

と、実は先に我々が死体を手に入れ解剖したと

それも異物を消化できる器官は遺伝ではなくて

生まれつき備わっていたものだと知った政府は

やはり世間に知られては困ると器官を切除して

偽の器官を戻したとコープ刑事はソールに謝罪

 

(事情は分かるが。。。)

 

そのうえ器官の入れ替えにはティムリンも協力

登録所は政府の機関だから当然と言えば当然?

一方でラングを殺したバーストたちに関しては

コープ刑事さえ事情を知らず驚いている様子で

政府ともラングたちとも違う何かが動いたか?

 

そして。。。帰宅して眠りについたソールだが

何故か床に寝ている彼は痛みを感じ目を覚ます

彼に寄り添うカプリースは"夢"で見た話をする

ラング、ジュナ、ブレッケンがサークに収まり

三人が一緒に解剖される家族解剖の夢だったと

彼女の話と全く同じ夢を見ていたと話すソール

ソールとカプリースが二人でサークを操作した

夢の内容を確認した二人は身を寄せ合い。。。

 

-ラストシーン-

指輪型のカメラで撮影の準備をするカプリース

有毒物質を固めた"紫色のエナジーバー"を手に

介助されても食事ができないソールに近づいて

何を意味しているのか「どう思う?」と問うと

ソールは彼女の問いに「試してみよう」と答え

 

(紫のバーを口に運んで食べる)

 

と、ソールの反応をカプリースはカメラに収め

ここから彼女が撮影したモノクロ映像に代わり

紫のバーを飲み込んで静かに天を仰いだソール

その頬を一筋の涙がスーッと流れ落ちて。。。

目を見開いた彼が幸せそうに笑みを浮かべ暗転

そのまま。。。エンドロールへ

 

変化する環境に合わせ人類の生物的構造が進化

人々は痛覚を失い退廃的な暮らしを送る近未来

自分の幼い息子を母親が殺す事件をきっかけに

未知の臓器が体内で生み出される病気の男性が

進化の先を巡る事件に巻き込まれる姿を通して

"進化とは何か"を哲学的でエロティックに描き

途中から何がなんだか分からなくなるこの作品

ま、ワケが分からないのがクローネンバーグ!

そういう意味では彼らしい作品って事ですよね

 

ストーリーに関しては分からないことだらけで

謎が謎のままで終わってしまう部分もあったり

ラングや博士を殺した二人の目的は何なのか?

ラストにソールが紫のバーを口にした意味は?

最後に笑みを浮かべた彼の想いやその結末とか

とはいえ想像したり考察する余白はあるために

そういうのが好きな方は間違いなく喜びそう?

 

ただ、当然のように本作も残酷描写はバッチリ

手術のシーンや公演で披露されるショーなどは

どれも痛々しくて観てる方が悶絶しそうになり

臓物なんかもリアル過ぎてかなり嫌?(^▽^;)

そういうのも含めて妙に満足できちゃいました

ただ、登場人物が裸になるシーンがありますが

股間のところには不自然なボカシ加工がされて

いろいろ事情はあると思うけれど。。。邪魔?

もちろん丸見えになりそうなシーンもあるので

そこは仕方ないかな?なんて思うんですけどね

 

"考えるより感じろ!"な雰囲気が漂いながらも

しっかりと理解して読み解く事も必要な内容で

デヴィッド・クローネンバーグ監督らしい本作

これは人により評価は分かれる作品と思うけど

観ないと分からない事ってあるので( ̄▽ ̄;)

観た私もすぐには理解が追いつかないこの作品

気になった方はぜひ観てほしいところですね!