「シック・オブ・マイセルフ」。。。 | 怒りくまのブログ(仮)

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気が向いた時、だらだら書いてます
一部、ネタバレもあるのでご注意を

以前ちょっとだけ話題に出て気になってた

コチラの作品がレンタルになったので鑑賞

 

【シック・オブ・マイセルフ】

 

なんの取り柄もない"普通"の女性シグネは

彼氏トーマスと共に店頭の家具などを盗み

それを周囲に吹聴し皆の注目を集めていた

が、いつも彼だけが話題の中心にいる事に

言い知れない劣等感や嫉妬、怒りを感じて

ひとり悶々とした日々を過ごしてたけれど

シグネが働いてるカフェの前で事故が起き

周囲の人々が傍観しスマホで撮影する中で

大量に血を流す怪我人をシグネが応急処置

その勇敢な行動に周囲が彼女に注目。。。

 

(確かに立派な行動。。。)

 

思わぬ形で人々に認められシグネは有頂天

自ら手柄を自慢げに周囲の人々に吹聴して

賛辞を浴びる事に悦びを感じていたけれど

人の噂もなんとやら?すぐに忘れさられて

注目を浴びる快感の余韻だけが彼女に残り

一方でアーティストの一面も持つトーマス

盗んだ家具で作ったオブジェが話題となり

個展が大成功!お祝いの宴席が開かれるが

彼が注目を浴びる事に酷く嫉妬するシグネ

重篤なアレルギーのフリをし宴席は大混乱

 

(主役のトーマスよりも注目され)

 

台無しとなってしまった宴席から帰る途中

トーマスはシグネのウソを知りつつ責めず

注目を浴びたはずのシグネも複雑な表情で

しかしシグネの"承認欲求"は心を深く蝕み

重篤な副作用がある危険な薬の話を聞いて

旧友に頼み大量の薬を手に入れたシグネは

薬の副作用で注目を浴びようと薬を飲用!

ところが思ったほどの副作用は出ず。。。

強い倦怠感と激しい眠気だけが彼女を襲い

それでもシグネは薬を大量に服用し続けて

 

(危険を承知で飲み続け。。。)

 

するとシグネの皮膚にかゆみや発疹が出て

これでトーマスより世間に注目されるはず

あの快感をまた味わえるはずとほくそ笑み

医師の診療は受けないが病院へと行く事で

病気なのをトーマスにアピールしたけれど

彼は次の個展の準備で忙しくシグネを無視

何故?どうして?私に注目してくれない?

前にもまして飲む薬の量が増えてゆく中で

副作用が発症!皮膚がただれて腫れ出血し

トーマスが呼んだ救急車で病院へ搬送され

 

(薬物乱用の末路。。。)

 

病院で処置され即入院となったシグネだが

重篤な状態なのに気になるのは周囲の反応

心配している?噂になってる?話題には?

これからは寄り添うと献身的なトーマスが

自分が表紙の雑誌を持ってきたことに怒り

忙しくて見舞いに来れない友人にイライラ

"私がこんな状態なのに"と焦燥感を募らせ

と、治療の効果?薬物飲用をやめたから?

顔の包帯とマスクは外せないが無事に回復

退院の許可が出てトーマスと共に家へ戻る

 

(まだ気にしてる。。。)

 

その後、母に薦められたカウンセリングで

シグネはグループセラピーに参加する事に

"私は世界初の症例"と周囲にウソをついて

ここでも注目を浴びようとする彼女だけど

それが原因で他の参加者とぶつかり。。。

が、参加が功を奏した?カウンセラーから

顔を覆うマスクを外すべきと助言を受けて

シグネは傷だらけの素顔を見せると決意!

SNSに顔写真をあげた事で次第に注目され

友人の記者からの取材も受ける事となって

 

(あえて傷と病をアピール)

 

するとトーマスへの当てつけか?シグネは

彼が雑誌の表紙用に撮った写真と同じ部屋

トーマスが作品のため準備した椅子を使い

無事に撮影を終えてそれが地元紙の記事に

次はTV出演。。。なんて夢を見る一方で

病が悪化し顔が崩れてゆくような夢も見て

彼女の心の均衡が次第に崩れてゆき。。。

その頃、記者はシグネにあの薬を手配した

旧友に会って事の次第を聞かされることに

シグネがこれまでついた嘘が明るみとなり

 

(遂に暴かれた真実。。。)

 

一方で入院し副作用が回復し始めたシグネ

どうやらまた薬を飲み始めた?症状が悪化

その影響か?ここから現実なのか妄想かが

ハッキリとしないシーンが挟まれるように

あの薬を向精神薬と言って手配したために

知らずに飲んだ旧友が副作用を発症したり

そんな一方で雑誌で顔が知れたトーマスが

家具店で泥棒扱いされて追いかけられたり

と、これは現実か?障害を持つ人を集めた

モデル事務所からシグネにお誘いの連絡が

 

(これで確実に注目を浴びる)

 

日に日に悪化する症状をなんとかごまかし

吐血しながらも面接を終え契約したシグネ

やはり心のどこかで不安を抱えてるのか?

モデルで成功する自分と苦しむ旧友の姿を

まるで白昼夢のような妄想を目にし。。。

そして撮影当日になり体調が急変して悪化

飲み続けた薬の副作用が髪の毛を奪い去り

とはいえ仕事に行かねばと遅刻しながらも

現場に着いた彼女の姿に事務所社長は困惑

何かあっては困る?シグネの状態を心配し

 

(大丈夫には見えない。。。)

 

で、しばらく撮影を待つ事になったシグネ

ふと何かを思い立ちあの記者に会いに行き

これまでの真実を包み隠さずに話し聞かせ

正直に真相を明かしたシグネの勇気に感銘

記者はあらためて取材したいとここで依頼

すぐに自叙伝を出すべきとアドバイスされ

その下書きを読んだトーマスが絶賛。。。

という夢を見ていたシグネがハッと目覚め

撮影のため着替えてメイクをする彼女だが

遅刻が原因で彼女の撮影は残念ながら中止

 

(ここまで準備したのに)

 

しかし諦めきれないシグネは行動を起こし

トイレに入った他のモデルを閉じ込めると

監督や撮影スタッフにさりげなくアピール

うまく代役の座を射止めて撮影を開始する

リハーサルは完璧で監督たちも安堵する中

シグネの体がここで限界を迎え頭から出血

顔からも血を流しけいれんしながら倒れる

すぐに救急車を手配する周囲の人々だけど

"謎の病気"とシグネが吹聴していたためか

誰もができるだけ触れたくない様子。。。

 

(自業自得。。。)

 

その後、病院に搬送されたシグネは入院し

今回も一命は取り留めて退院できたけれど

寄り添うと言ってくれたトーマスだったが

彼女の前から去り窃盗の罪を償うため服役

真実を話して記事や自叙伝にしようと考え

あの記者を家に招いたシグネだったけれど

真相を聞きその異常性に呆れた記者も去り

部屋にひとりポツンと座っているシグネは

自叙伝が世間の話題となり注目される様子

トーマスとセレブ暮らしをする姿を妄想し

 

(タバコを吸いため息をつく)

 

-ラストシーン-

再びグループセラピーに参加するシグネは

今度こそ自ら本音を参加者たちの前で語る

情緒不安定なところがまだ残ってはいるが

これで周囲の参加者たちと打ち解けた彼女

同じような悩みや苦痛を抱える仲間たちと

本当の意味での回復を信じセラピーに参加

皆と床に寝転がり「生きたい」という姿や

楽しそうに森を散歩する様子が映し出され

で、エンドロールへ

 

(そう言って涙を流す)

 

誰かに認められたい、誰かに注目されたい

人と自分を比べて劣等感を抱いて焦燥する

多くの人が少なからず感じる"承認欲求"が

ひとりの女性を追い詰める様子を描く本作

 

いやぁ、これはキツイ作品ですよね(゚Д゚;)

気持ちが分からなくもないと言いますか?

こうしてブログやSNSを使う者としては

気にしないとはいえ人の評価は気になるし

ついつい比べてしまう事もありますからね

 

明日は我が身?の可能性も無きにしも非ず

もちろんウソを重ねた挙句に薬物の使用と

同乗する余地は一切無いのは分るけれども

現実と妄想がチグハグに交錯する演出から

のしかかる罪悪感と抑えきれない承認欲求

その狭間で苦しむ様子が映像からも伝わり

十分に本人も苦しんでいるのが分かるから

一方的にこの主人公を怖いとかサイコとか

異常とは断言できないと思うんですよねぇ

さすがに誇張された表現だとは思いますが

同じような人がいないとは言い切れない?

ま、家具を盗むのはダメですけどね(笑)

 

どこかソフトな映像が醸し出す雰囲気とか

かなり重いテーマを扱っていると思ったら

ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フランス

ある意味で?列強が居並ぶ制作国で納得?

疲れてる時に観たら心が折れちゃいそうな

今の時代だからこそな考えさせられる本作

気になった方はレンタルなどでぜひです!