「アミューズメント・パーク」。。。 | 怒りくまのブログ(仮)

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気が向いた時、だらだら書いてます
一部、ネタバレもあるのでご注意を

前々からぜひ観たいと思っていた作品が

アマプラにラインナップされたと聞いて

今観ないと二度と観れない?と急ぎ観賞

 

【アミューズメント・パーク】

 

冒頭、主演のリンカーン・マーゼル氏が

無人のさびれた遊園地の中を歩きながら

本作は年齢差別や高齢者虐待を描く事で

その問題を世間に認知させるのが目的と

作品に込められた"メッセージ"について

視聴者に語りかけるシーンで始まります

 

(当たり前の事ではあるが重いテーマ)

 

真っ白な部屋にたたずむ満身創痍の老人

傷だらけで杖をつきみすぼらしくも見え

そこに同一人物?小奇麗な老人が現れて

部屋の外に興味を示すような話をすると

満身創痍の老人は外には出るなと制止し

しかし警告を無視して外へ出てゆく老人

 

(老人に何が?)

 

と、出た先は老若男女で賑わう"遊園地"

老人は歩行器や杖をつく他の老人を一瞥

若者たちは希望に満ち楽しむその一方で

各アトラクションには入場の条件として

個人所得や健康状態などの制限が示され

そこはまるで"社会の縮図"のような場所

 

(人の死すらも無関心。。。)

 

バンパーカーで起きる事故やその処理は

高齢者運転や高額な保険料の問題を示唆

「高齢者はポニーを」

と、安全な公共交通の使用を促していて

一方で富裕層の高齢者は手厚く保護され

貧困層はどこまでも虐げられ差別される

 

(金を持つ者だけが勝者)

 

そのうえ富裕層の老人は貧しい人々から

目を逸らすようにテーブルの位置を移動

老人は自分の食べ物を貧しい人々に提供

しかし彼自身が困っても誰も手は貸さず

それどころか子供たちにお菓子を配れば

"変質者"扱いされて追い払われてしまい

 

(酷い言われよう。。。)

 

老人歓迎!と書かれたアトラクションは

中に入れば劣悪な環境の老人介護施設で

逃げるように飛び出た老人は占いの館へ

そこでは若いかップルが未来を見たいと

自分たちの老後を見たいと占い師に頼む

が、目にしたのは貧しい暮らしをする姿

 

(希望に満ちた未来などない)

 

社会保障も貧困層への救済もない社会で

病に倒れても病院に相手にされない未来

その結果に怒り出したカップルの男性は

近くで眺めていた老人を突飛ばし。。。

と、老人が起き上がると人々の姿は消え

驚く彼に突然現れた暴走族が襲い掛かる

 

(老人にも容赦なく迫り)

 

(怯える老人をボコボコに!)

 

激しい暴行を受けたうえに現金を奪われ

ボロボロになった老人は遊園地の病院へ

長い行列を並び治療の順番を待たされて

ところが肝心の治療は"応急処置"だけで

しっかりとした治療には手続きが必要と

また列に並ぶことになる老人だけれども

 

(書類の不備でまた。。。)

 

高額な治療費なうえ分かりにくい手続き

やっと治療を受け杖を渡され老人は外へ

と、老人は人気の見世物小屋へと向かう

舞台にあげられたのは。。。高齢者たち

「ふざけるな!」そう叫んだ観客たちは

老人も仲間だと言いがかりをつけ。。。

 

(捕まえようと追いかけてくる!)

 

身も心もボロボロになってしまった老人

杖をつく姿は遊園地に入ったばかりの時

一瞥した他の老人たちと変わりない姿に

と、そんな老人に少女が声をかけてくる

"絵本を読んでほしい"と頼まれた老人は

少女とその家族らの元へと近づいてゆき

 

(嬉しそうに絵本を手にする老人)

 

頼られた事を喜んで絵本を読む老人だが

少女もその家族もすぐにどこかへと去り

「いかないでくれ。。。」

何もかも失くしその場に泣き崩れる老人

ヨロヨロと賑わう遊園地の中を彷徨うと

ドアをくぐった先はあの"真っ白な部屋"

満身創痍の姿でひとりたたずんでいると

そこにかつての自分?老人が部屋に現れ

部屋の外に興味を示すような話をすると

満身創痍の老人は外には出るなと制止し

 

(あの時の老人は自分自身。。。)

 

しかし警告を無視して外へ出てゆく老人

-ラストシーン-

ここで再び現実の遊園地へと場面が移り

画面にはリンカーン・マーゼル氏が登場

若い頃は希望と未来に満ちた遊園地でも

様々な要因で未来への希望は失われると

孤独にうちひしがれ絶望するあの老人は

映し鏡に映るあなた自身の未来だと告げ

 

(動くなら今?)

 

今は行動を起こす助けになる制度もあり

より多くの高齢者たちを救う事ができる

人は誰もが年を取りいつかは老いるもの

だからこそ今のうちに行動を起こすべき

「いつか遊園地で会いましょう」

リンカーン・マーゼル氏のセリフと共に

静かに幕が下りて。。。エンドロールへ

 

高齢者だからと差別され搾取され騙され

貧しいからと社会保障すら受けられない

ただただ不条理で理不尽で不愉快。。。

エンタメ的な要素がある"映画"ではなく

年齢差別、高齢者虐待、貧困や人種問題

様々な社会問題を世間に認知させようと

教会の依頼で"1973年"に制作された本作

舞台を遊園地として描かれてはいるけど

あまりにも現実社会をリアルに表現して

風刺的すぎる内容にドン引きした教会は

半世紀近く未発表にした作品なんですよ

それも教会が制作を依頼した監督さんが

まさかの"ジョージ・A・ロメロ監督"!

うん、依頼した相手が悪かった?(゚Д゚;)

そりゃあ"こんな作品"になって当たり前

グロさや痛みなどは感じられないけれど

人間の嫌な部分や悪い部分を丁寧に描き

下手なゾンビ映画などよりも寒気がする

訴えるメッセージやテーマは別としても

胸くその悪さが後を引く?作品でしたよ

ま、あくまでも啓蒙?啓発?映画のため

淡々として面白さの欠片もないのですが

映画史に残る作品としては価値があるし

気になった方は一度観てみてはいかが?

 

おじいちゃんおばあちゃん