・「パスタ」はイタリア語だが、もともとはラテン語のpasta(パスタ、生地、練り物)の意味。これを手繰って行くと、いろんな単語が登場してくる。

 

・まずは、フランス語で、母音の「アクサンシルコンフレックス」(山形マーク)の後ろには、昔々は、「S」があったが、その痕跡を記すために、母音にマークを付ける。(ほかにも似た単語を区分するためにあえてつける場合とかもあるが・・)。これについては、https://ameblo.jp/89rid-4/entry-11470351644.html
と、 https://ameblo.jp/89rid-4/entry-11572610538.html で書いたことがある。

 

・そこで、フランス語のpâteは「パスタ」を意味するが、もともとpasteでラテン語のpastaに由来することがすぐわかる。ちなみに pâté(パテ)の語源も同じだ。パテの語源はパイ生地(pâte パート。イタリア語の pasta パスタと同語源)で、本来具材を小麦粉を使用した生地で包んだ料理の名称であったが、これが転じて生地の中に入れる具材を指すようになった。やがて、「練り物」一般をパテと呼称するようになり、現在では従来通りの生地で包んで食す他、スプレッドとしてパンやクラッカーなどに塗布して食したり、挽肉などを練り上げ、焼き上げてハンバーグとして食すなど、広く用いられる。」(Wikipedia)

 

・同様に、お菓子のパティスリー、パティシエも同じ語源の単語だ。「パティスリー (pâtisserie) は、フランスやベルギーにあるケーキや洋菓子を専門に扱うベーカリーの一種である。両国においては、パティシエの資格をもつ職人がいるベーカリーのみに、パティスリーの呼称が法的に認められる。英語のペイストリ―とは同語源。」とWikipediaにあるが、イタリア語ではパティスリーはpasticceria(パスティチェリア)、パティシエはpasticciere(パスティチエーレ)だ。

 

・英語でのpastryも同じ意味・・。まあ「練り粉菓子」。pasteだと、「ねりもの」で、「糊」の意味もあり、「貼り付ける」のもpaste。「コピぺ」の「ぺ」はpasteな訳だ・・。*glueという単語もある。「糊」はフランス語では、**(la) colle。糊で貼るのはcoller, 「パンスト」や「タイツ」もぴったりくっつくので(le) collant。「タイトスカート」は(la)jupe collante、「接着テープ」は(le)papier collant。イタリア語の「糊」は(la)colla,あるいは(il)collante。「糊付けする」は、incollare。

 

・「パスタ」で麺類がすべて包括されたしまうから凄い。ソバもうどんも広義のパスタだ。「餅」もそうだね。

 

・歯磨き粉も「練り物」なので「パスタ」だ。イタリア語:パスタ・デンティフリーチャ( pasta dentifricia, 練り歯磨き)。フランス語;(la) pâte dentifrice。英語では、tooth pasteだ。

 

(追記)

*glueの方の語源を追いかけても、「芋づる」式にいろんな言葉がひっかかってきて面白い。もともとはラテン語。「引っ付く」、「玉のようになって転がる」。フランス語だと、(la) glu (鳥もち)、gluant(粘着性の(形容詞))、(le) glutin (グルテン、麩質:穀物に含まれる粘性のあるたんぱく質)、(l’)agglutinationは、「密着、粘着」。agglutinerは動詞で、「くっつける、密着させる、凝固させる」。a~は「~させる」という接頭辞でたとえば、grave(重大)にくっつけると、aggraver(重くする、悪化させる),(l')aggravation(加重、悪化)。

 

・con~(「相互の、共同の」)の接頭辞をつけると、「互いに引っ付く」。conglutiner(粘りを付ける)、(la) conglutination (凝着、粘着)。

 

・glomusは、「玉のようになって固まる」ので、「解剖学」で使う用語の「グロムス、糸球」。(l')aggromérationは、「集積、人口集団、都市圏」。(le) conglomératは、玉をくっつけるので、「礫岩、異質のものの寄せ集め集団、コングロマリット(複合集団)。

 

**collerの方は、ギリシア語のkolla(ゴム糊)が語源とか。ラテン語ではcolla。こっちの語源では、日本語にもなっているコラージュ(collage)「画布などに様々な素材を切り貼りする手法、及びその作品」がある・・。なるほど!と思ったのは(le) protocole「外交儀典書、礼儀作法、公文書の書式集」。もともとは、ラテン語でprotocollumで、「証書、文書に張り付けてその内容を認証する紙片」の意味。(protoは、「原始の、原基の」を意味する接頭辞。)