産経新聞社が主要企業116社に行ったアンケートからは、国内景気の回復が遅れる中、海外展開に活路を描こうとする企業の姿がいっそう鮮明となった。
欧州危機が招いた急激な円高は、東日本大震災からの回復軌道の大きな妨げとなり、企業の景況感を急速に悪化させている。
成長が著しいアジアを有望市場ととらえ、新興国に吸い寄せられている企業は多い。
平成24年度の海外事業計画で「拡大する」との回答割合は7割近くにのぼり、海外進出の勢いは増している。
25年の採用も、海外人員を24年に比べて
「増やす」と回答した企業が24%、
「減らす」はゼロ%。
国内人員については
「増やす」が8%、
「横ばい」は39%、
「減らす」も2%あり、海外シフト重視がうかがえた。
企業はどういう国に関心があるのか。
今後3年間(24~26年度)で市場として有望な地域を複数回答で聞いたところ、中国やロシア、ブラジルといった「BRICS」だけでなく、東南アジア諸国の台頭が目立ったのが特徴だ。
トップの中国(65社)、
2位のインド(52社)に続いて多かったのは、
インドネシア(41社)、
ベトナム(37社)。
BRICSの一角を占めるブラジル(31社)と
ロシア(15社)を上回り、
日本企業にとって地理的にも近い東南アジア市場をターゲットに位置付けている様子が浮かんだ。
有望市場の判断理由については、「国内総生産の上昇」「消費意欲」「人口を背景にした需要」といった声があがり、人口規模と経済成長率が市場期待に直結していた。
2012(平成24)年の世界経済成長率の見通し(みずほ総研)は、
中国が8・8%、
インドが6・7%、
インドネシアが6・1%、
ベトナムが5・5%。
欧州危機の影響を受けながらも、底堅い成長力に企業はビジネスチャンスを見いだしている。
これに対して人口減少と長期デフレから抜けられない
日本について、有望市場に選んだ企業は11社にとどまり、
減速が見え始めた米国(20社)や、
債務危機にゆれる欧州(12社)を下回った。
このほか、今後3年間について、生産拠点として有望視している国がどこであるかを聞いたところ、
中国(17社)、
ベトナム(16社)と
タイ(16社)がほぼ拮抗。
生産拠点としてのベトナムの存在感の高まりと、深刻な洪水被害に見舞われてもなお高いタイの生産基盤としての信用力を示した形だ。
ベトナムの人口構成は、40歳以下が7割で、高度成長期の1960年代の日本と同様だ。
労働市場には毎年150万人規模が新規参入、
回答企業からは「労働力が豊富」「コストが安定している」との評価があり、
期待の高さが浮かび上がった。