[ベンガジ 30日 ロイター]
カダフィ
大佐の死亡を受けて全土解放が宣言されたリビア
で、内戦の混乱でリビア東部ベンガジの銀行金庫から略奪された大量の文化財が、国内市場で売買されたり、海外に持ち出されたりしている。
反カダフィ 派による蜂起が始まったベンガジでは今年2月、秘密警察の本部が放火された際、隣接する銀行のコンクリート製金庫が壊され、約8000点の文化財が盗まれた。蜂起に当たり、政治犯を解放するために政府関連ビルが襲われたが、住民によると、近くにあった刑務所が襲撃されたことで、犯罪者による銀行襲撃につながったという。
かつてヘスペリデスと呼ばれたベンガジは、古代ギリシャ人によって紀元前6世紀に建設された長い歴史を持つが、同市で文化財の責任者を務めるユスフ・ベンナスル氏は、文化財略奪について「惨事だ」と嘆く。
ロイターの記者が、市場で売られていた古銭の写真を見せると、同氏は「これらは値段が付けられない国の宝で、失われたわれわれの歴史の一部だ」とし、おそらく盗まれたものの一部だろうと語った。
盗まれた文化財の中には、イスラム文字が入った極めて珍しい金銀の古銭や古いコーランなどが含まれている。
専門家によると、リビア 国内の文化財のほとんどは、ベンナスル氏のような人物による献身と幸運のおかげで、9カ月にわたる内戦でも被害を受けなかったが、ベンガジの銀行は例外だった。
リビア の文化財を専門とする英国の考古学者、ポール・ベネット氏は「これは、私が知る限り最大の略奪だ」と明言。
ベンナスル氏によると、国際刑事警察機構(ICPO)などの捜査の結果、ベンガジで盗まれた一部の文化財は、既に海外に渡っていることが判明したという。