九十歳。何がめでたい | 噺新聞(874shimbun)

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15日(土)の NHKおはよう日本を観ていたら、女優、草笛光子さんのインタビューが取材されていた。

芸能生活74年目、今も第一線に立ち続けている。16歳で松竹歌劇団に入団、映画に舞台、テレビで活躍。

 

そのエネルギーはどこから来るのでしょうか、年をとることは楽しいことなのか辛いことなのか、という問いに、

「私は楽しいですよ、みつけるの、みつかるの、楽しいことを」と。

1960年代から70年代にはブロードウエイミュージカルを日本で上演する立役者に。でも突然舞台を降板させられるなど、逆風にさらされた。壁にぶつかった時どう乗りこえてきたのか、魔法のことばがあったという。

「よし、こんちくしょう  やってやるぞみたいな、自分に勝つことね、自分に勝とう、勝つぞって」

「こんちくしょうって言ったほうが楽しいじゃない」

 

今はトレードマークになっている白髪。年齢を感じさせることには抵抗はなかったのかという問いに、

「ありのままの姿をみせることで新たな魅力が生まれると考えている」と。

「やっぱり楽しもうという気持ちはすごくあります。それがなかったら今日から何日生きられるかな。楽しみます、楽しまなかったら、損」と。

 

このインタビュー中に21日から公開された映画「九十歳。何がめでたい」の映像も流れていた。

 

2024.6.18付け毎日新聞東京本社版朝刊掲載紙面より

 

 

2023年百歳を迎えた作家、佐藤愛子のエッセイを原作にした映画「九十歳。何がめでたい」。この主役は九十歳の草笛光子が演じ、21日から公開され、この映画を観に行った。

 

数年前、「九十歳。何がめでたい」の本は図書館から借り、読んでいた。

佐藤愛子の小説、直木賞をとった「戦いすんで日が暮れて」や「血脈」、作家人生最後の作品と位置づけた「晩鐘」など小説は読んでいないが、佐藤愛子が書くエッセイ集は面白く、図書館から借りては読みを続けていた時期があった。

 

映画では、北海道の別荘の前に捨てられていた子犬を狐がくわえ逃げようとするところを大きな声で叫び、狐は逃げてしまったので子犬は助かり、前に迷い犬タロを飼って亡くなってから犬は飼わないと決めていたが、この子犬を飼うことにし東京の自宅に連れ帰り、ハチと名付けた、毎日与えるエサは煮出した昆布にみそ汁の残りをかけたご飯の「ぐちゃぐちゃメシ」。その犬もやがて腎臓を悪くし、エサをまったく受けつけなくなり、亡くなってしまった。

 

孫、桃子と佐藤愛子は毎年テーマを決め、それにあわせて凝ったコスチュームで写真を撮り、それを年賀状に仕上げ、そんなことを10年近く続けた。こんな題材も映画のシーンで紹介されていた。

 

生きづらい世の中、人生百年時代とこの映画のチラシにもうたっている。

断筆宣言をした作家が、中年編集者に口説き落とされ再びペンをとりエッセイを書きだす。

なかなか楽しい99分間の映像だった。

(◉…5点満点、◯は0.5点)

観賞後の勝手な評価は、◉◉◉◉