ふんわりシフォン -74ページ目

FULL MOON 夜を駆ける 30

スポテッドフォーンは黒目がちな大きな目をしていた。目だけ見たら、少女のような光をうかべていて実際に幾つなのか、戸惑ってしまう。



大木のような印象を受けるので、実際の年齢は老境に差し掛かっているようだ。


好奇心を浮かべた目は、いつまでも心が若いことを表していた。きっと幾つ年を重ねても変わらないと思えるなにかが彼女にはあった。



『「さあて。そろそろ行かなくちゃね…会えてよかったワ」』

獣の皮で作られた靴は、足音を吸い取ってしまい、音がしない。

この世に存在していないみたい。

FULL MOON 森のはじまり 3

『森はいつ世代交代するのかわかってる。この姿を見るのもそう長くない』



しんとした森の木々も役割を担っている。人が生まれるよりずっと長く繰り返してきたサイクル。



『山火事だって人災もあるけど、世代交代のために木々がおこすこともあるんじゃない』



花を咲かせたら枯れる竹のように、木にも自分の終わりがわかるのかもしれない。



一年目の松ぼっくりも、百年二百年たった松ぼっくりも、山火事というスタートラインにつくのは一緒。

チャンスは平等に与えられる。



芽をだせるかどうかなんて、運まかせかもしれない。それでもたった一度なら精一杯かけるしかないだろう。





そのために眠る。

ころりとした松ぼっくりは眠りながら、森の夢を見ていた。





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寝ぼけながら書いた『森のはじまり2』がどうも気にいらなくて書き直すか、書き足すのか悩みましたが、書き足しにしてみました。
でもまだ直しを入れたい気がします(>_<)

まとまりませんでした。

FULL MOON 森のはじまり 2

森のなかは木々の出す成分が清浄な空間を作り出している。

とことこと道案内に立つ猫が、振り返らずに話しかけてきた。

『コノハナ、この森で気がつくことはない?』

「木が大きいね。どうして自然の森の木々なのに大きさが揃うんだろう」

黒猫は振り返って、ヒゲをぴくりと振るわせた。

『コノハナ、松ぼっくりを見て』


足元に落ちているのを手に取ってみる。松かさは開いていなくて、しっかりと閉じている。

『それ、いつ開くと思う?』


「さぁ…乾燥したら開くんじゃない」

『違う。それは熱を加えないと開かない』

「熱って…自然に熱があるわけないだろ。異常気象のこと」

『そんな訳ない40度以上の熱だよ』


そういえば、黒猫はなんて言ってた。地盤が活性化していて『噴火』が起こりやすくなってると言っていたっけ。

「噴火や山火事を言ってるのか」


しっぽがぴーんと立つ。さわさわと毛が逆立って少し大きく見える。

『そうね。噴火なんてそうそうあるものじゃないし、山火事かしらね。

山火事で焼け野原になったら、いっせいに松ぼっくりは種を飛ばして芽を出すの。

100年前の種だって、200年前の種だって、みんな一緒に芽吹くわけ』


だから、樹齢の揃った森が出来る。そうやって何年も何百年も森は息づいてきた。



はじまりは山火事。

乾燥した木々が枝をすり合わせ、火事をおこす。

燃え盛る熱は、松ぼっくりの笠を開き、種をまく。