FULL MOON 夜を駆ける 32
夢見心地でごろりと横たわると、ぎしりと寝台が軋む。ずいぶん派手な音をたてるのねぇ。
寝台が壊れちゃいそう。
目を閉じた感覚は、耳と鼻が鋭くなるので、遠く庭の枝に遊ぶ鳥のさえずりさえはっきりと聞き分けられる。
鳥の奥さんの井戸端会議が始まって、今日の餌についてあれこれとさえずっている。
あの家はケチだからだめ、今度はこの家にしなさいよだとか、どこの畑に芋虫がいるだのと話している。
鳥の世界も現実的ね。
くんくんと鼻をならすと、家の竃の湯気の匂いがした。父さんが、先に起きて朝餉の支度を始めたのかもしれない。
起きなくちゃだなぁ。
寝返りを打ち、思いきって目を開けると、獣の前足が目に入ったので、慌てて身を翻す。
ところが、獣の足はついてくる。自分の手を見ようとしたら、目の前で動いているのは獣の前足だった。
試しに握ってみたら、にゅっと鋭い爪がでた。
あたし、獣になっちゃってる。
寝台が壊れちゃいそう。
目を閉じた感覚は、耳と鼻が鋭くなるので、遠く庭の枝に遊ぶ鳥のさえずりさえはっきりと聞き分けられる。
鳥の奥さんの井戸端会議が始まって、今日の餌についてあれこれとさえずっている。
あの家はケチだからだめ、今度はこの家にしなさいよだとか、どこの畑に芋虫がいるだのと話している。
鳥の世界も現実的ね。
くんくんと鼻をならすと、家の竃の湯気の匂いがした。父さんが、先に起きて朝餉の支度を始めたのかもしれない。
起きなくちゃだなぁ。
寝返りを打ち、思いきって目を開けると、獣の前足が目に入ったので、慌てて身を翻す。
ところが、獣の足はついてくる。自分の手を見ようとしたら、目の前で動いているのは獣の前足だった。
試しに握ってみたら、にゅっと鋭い爪がでた。
あたし、獣になっちゃってる。
FULL MOON 夜を駆ける 31
席を立った彼女を見て、慌てて声をかけてしまう。
「また、会えますか」
いきなり会ったばかりの客人に聞くことではない、そう思い至って顔に朱がのぼる。
『「もちろん、ワタシが生きていたら、また会えるワ」』
『斑、すぐに呼び出されても困る』
黒い獣は眉間にしわを寄せている。
「じゃあ、また会えるんですね」
たくさん助けてもらったのに、黒い獣のことは何も知らない。黒い獣が斑と呼んだこの人も。
『「満月の夜に遊びにオイデ。迎えを寄越すカラ」』
確認を取るために父を見ると、頷いていたので安心する。なんのために、この二人はここに来たのだろう。
一番大きな疑問が残っている。
明るい月の下、遠ざかる二人を見送りながら、どこから来たのか疑問がわく。
玄関まで父と見送りに出て、質問を浴びせようと考えていたのに、体は休息を求めていて、頭がぼんやりしてきた。
起きたら聞こう。
安らげる自分の部屋で布団に包まれると、あっという間に眠りの波が押し寄せてきた。
「また、会えますか」
いきなり会ったばかりの客人に聞くことではない、そう思い至って顔に朱がのぼる。
『「もちろん、ワタシが生きていたら、また会えるワ」』
『斑、すぐに呼び出されても困る』
黒い獣は眉間にしわを寄せている。
「じゃあ、また会えるんですね」
たくさん助けてもらったのに、黒い獣のことは何も知らない。黒い獣が斑と呼んだこの人も。
『「満月の夜に遊びにオイデ。迎えを寄越すカラ」』
確認を取るために父を見ると、頷いていたので安心する。なんのために、この二人はここに来たのだろう。
一番大きな疑問が残っている。
明るい月の下、遠ざかる二人を見送りながら、どこから来たのか疑問がわく。
玄関まで父と見送りに出て、質問を浴びせようと考えていたのに、体は休息を求めていて、頭がぼんやりしてきた。
起きたら聞こう。
安らげる自分の部屋で布団に包まれると、あっという間に眠りの波が押し寄せてきた。
月夜
月の明るい こんな夜は
空を仰いで 光を受ける
さらさらと
さらさらと
光は地上に降りそそぎ
きらきらと
きらきらと
夜を照らす
夜の光に
息をひそめ
まどろむ木々たち
帰ろう 月と
月の作る
自分の影と
いつも見守る
月を連れて