猫とわたし
庭でコロコロ転がり日なたぼっこをしてる、ねこさん。
そばに寄ってみましょう。
体は埃まみれで、花粉症なのか鼻水を垂らしています。鼻水をふくので、前脚が茶色になっています!さらにはどこで触られたのか、しっぽがべたべたします。
なーんて残念な姿。
兄が洗って、乾かす時にドライヤーを使ったそうですが、ドライヤーにねこパンチを繰り出し、何度もドライヤーの先を飛ばしたそうです。
さて。ふかふかになった ねこさん。
でも、どんなに洗っても茶色く染まった前脚は白くならなかったそうで、もうこれは夏毛になるまで このままなのでは?
恐ろしい鼻水です。ねこも人と同じような病気にかかるよと会社で聞いてはいたのですが、まさかうちの ねこがかかるとは思いません。もしかしたら鼻炎かもしれませんが、年末から治ることなく鼻水を垂らしています。
鼻水をかんでやろうと顔を上に向けると、鼻水が喉の方に下がるのでゲッホゲッホします。そして、こっそり鼻水を飛ばしているのです。
ふくふくの ふかふかになったねこさん部屋から脱走するなり、また父に拉致監禁され加齢臭をつけられてしま ったそうです。
そばに寄ってみましょう。
体は埃まみれで、花粉症なのか鼻水を垂らしています。鼻水をふくので、前脚が茶色になっています!さらにはどこで触られたのか、しっぽがべたべたします。
なーんて残念な姿。
兄が洗って、乾かす時にドライヤーを使ったそうですが、ドライヤーにねこパンチを繰り出し、何度もドライヤーの先を飛ばしたそうです。
さて。ふかふかになった ねこさん。
でも、どんなに洗っても茶色く染まった前脚は白くならなかったそうで、もうこれは夏毛になるまで このままなのでは?
恐ろしい鼻水です。ねこも人と同じような病気にかかるよと会社で聞いてはいたのですが、まさかうちの ねこがかかるとは思いません。もしかしたら鼻炎かもしれませんが、年末から治ることなく鼻水を垂らしています。
鼻水をかんでやろうと顔を上に向けると、鼻水が喉の方に下がるのでゲッホゲッホします。そして、こっそり鼻水を飛ばしているのです。
ふくふくの ふかふかになったねこさん部屋から脱走するなり、また父に拉致監禁され加齢臭をつけられてしま ったそうです。
緑の指 1
初めて彼女を見たのは、研究室棟の玄関だった。
植木鉢の前に座り込み、なにやらじっと覗きこんでいたので、変な子がいるという印象だった。
よくよく考えてみたら、それは自分で種をまいた鉢だった。何かのイベントで貰った種を空いていた植木鉢にまいて、そのまま忘れていたのだ。
たまたま雨のかかる場所であったためか、種自体の生命力かその種が芽を出していた。
彼女が見ていたのは、その芽だった。
熱心に芽を見て、何を考えていたのだろう。ほんの少しの好奇心が湧く。それもわずかの間で、今までの付き合った女性とのやり取りが頭をよぎり、それ以上触れることなく流れていった。
ある朝、また彼女を見かけた。
にこにこと何やら楽しげに大きな袋を抱えていた。両手で大切に抱えていた物は、緑の棒らしく、なんでそんな物を楽しげに運んでいるのか興味が湧いた。
彼女は研究室棟の玄関につくと袋を広げ、中から輪の三つ付いた棒を取り出した。
手慣れた様子で輪についた支柱をスライドさせて、植木鉢に差し込んだ。
うんうんと頷きながら、支柱のバランスを見て、伸びてきた蔓を絡ませ始めた。
どうやら僕の貰った種というのは、蔓の伸びる種類だったらしい。
すっかり鉢の所有者のように世話をやく姿を見たら、口元に笑いが浮かんできた。
それからは、歩いていても彼女を目で探してしまうようになっていた。
視界の隅に彼女を見留めるだけで、なにかあたたかいものが胸に湧く気がした。
ふわりと髪をなびかせて歩いている姿を見るだけで、幸せな気持ちをもらえた。
彼女はいつも楽しげで、それは友達といても、独りであっても変わることはなかった。
そんな姿を見るだけで、僕は満足していた。手を伸ばして払われる辛さを、また味わうつもりはなかった。
「瀬波、お前、こいつら面倒見ろ」
生物学の渋沢教授は、どこにでもいそうな、いわゆるオジサンだ。薄手のチェックのシャツにプレスがへたっているスラックス、健康サンダルで校内を闊歩する。
教授から渡されたプラケースには、蛍の成虫が閉じ込められていて、なんだか窮屈そうだった。
「用水路の脇に、繁殖用の小屋があるから、そこを使え。鍵を渡しておくから。あと、歴代の観察ノートがあるから渡しておく」
そう言ってノートと鍵を押し付けられた。
「僕に断るという選択肢はないんですか?」
椅子に座った教授は、眼鏡の隙間から見上げるような視線をよこした。
「ない。お前にはそれが必要だからな」
キイッと椅子を軋ませてデスクに向き直ると、パソコンのキーを乱打し始めた。
これでこの話は終りだと言うように、すでに頭を切り替えてしまっている。
仕方なく肩を竦めて蛍を連れていくことにした。
ぱらぱらと見たノートには、大した記述もなく、教授に対しての感謝の言葉が大半だった。
『やって良かったー』
『蛍感謝!!』
などなど。半信半疑でしかない。
ジンクスを信じるなんて簡単に出来ることじゃない。
僕にとって好きなことは、他の人からしたら変わっていると言われかねない。
それでもどこかに僅かに期待していた。
植木鉢の前に座り込み、なにやらじっと覗きこんでいたので、変な子がいるという印象だった。
よくよく考えてみたら、それは自分で種をまいた鉢だった。何かのイベントで貰った種を空いていた植木鉢にまいて、そのまま忘れていたのだ。
たまたま雨のかかる場所であったためか、種自体の生命力かその種が芽を出していた。
彼女が見ていたのは、その芽だった。
熱心に芽を見て、何を考えていたのだろう。ほんの少しの好奇心が湧く。それもわずかの間で、今までの付き合った女性とのやり取りが頭をよぎり、それ以上触れることなく流れていった。
ある朝、また彼女を見かけた。
にこにこと何やら楽しげに大きな袋を抱えていた。両手で大切に抱えていた物は、緑の棒らしく、なんでそんな物を楽しげに運んでいるのか興味が湧いた。
彼女は研究室棟の玄関につくと袋を広げ、中から輪の三つ付いた棒を取り出した。
手慣れた様子で輪についた支柱をスライドさせて、植木鉢に差し込んだ。
うんうんと頷きながら、支柱のバランスを見て、伸びてきた蔓を絡ませ始めた。
どうやら僕の貰った種というのは、蔓の伸びる種類だったらしい。
すっかり鉢の所有者のように世話をやく姿を見たら、口元に笑いが浮かんできた。
それからは、歩いていても彼女を目で探してしまうようになっていた。
視界の隅に彼女を見留めるだけで、なにかあたたかいものが胸に湧く気がした。
ふわりと髪をなびかせて歩いている姿を見るだけで、幸せな気持ちをもらえた。
彼女はいつも楽しげで、それは友達といても、独りであっても変わることはなかった。
そんな姿を見るだけで、僕は満足していた。手を伸ばして払われる辛さを、また味わうつもりはなかった。
「瀬波、お前、こいつら面倒見ろ」
生物学の渋沢教授は、どこにでもいそうな、いわゆるオジサンだ。薄手のチェックのシャツにプレスがへたっているスラックス、健康サンダルで校内を闊歩する。
教授から渡されたプラケースには、蛍の成虫が閉じ込められていて、なんだか窮屈そうだった。
「用水路の脇に、繁殖用の小屋があるから、そこを使え。鍵を渡しておくから。あと、歴代の観察ノートがあるから渡しておく」
そう言ってノートと鍵を押し付けられた。
「僕に断るという選択肢はないんですか?」
椅子に座った教授は、眼鏡の隙間から見上げるような視線をよこした。
「ない。お前にはそれが必要だからな」
キイッと椅子を軋ませてデスクに向き直ると、パソコンのキーを乱打し始めた。
これでこの話は終りだと言うように、すでに頭を切り替えてしまっている。
仕方なく肩を竦めて蛍を連れていくことにした。
ぱらぱらと見たノートには、大した記述もなく、教授に対しての感謝の言葉が大半だった。
『やって良かったー』
『蛍感謝!!』
などなど。半信半疑でしかない。
ジンクスを信じるなんて簡単に出来ることじゃない。
僕にとって好きなことは、他の人からしたら変わっていると言われかねない。
それでもどこかに僅かに期待していた。
