今生
僕の唇に言葉があるかぎり
君を愛し続けるでしょう
僕の体に熱があるかぎり
君を思い続けるでしょう
それは
自然なことで
僕の意識と切り離すことのできない
魂からの記憶のように
僕と共にある
時が流れても
朽ち果てないように
魂に刻まれている
だから
僕達は出会ったのでしょう
だから
僕は君を知ったのでしょう
だから
今を選んで生きるのでしょう
君を愛し続けるでしょう
僕の体に熱があるかぎり
君を思い続けるでしょう
それは
自然なことで
僕の意識と切り離すことのできない
魂からの記憶のように
僕と共にある
時が流れても
朽ち果てないように
魂に刻まれている
だから
僕達は出会ったのでしょう
だから
僕は君を知ったのでしょう
だから
今を選んで生きるのでしょう
スピカ 5
「三番 大橋さん~」
「ちょっと弱いな。理由は?」
「お金ないっていつも言ってるでしょーが」
「残念。大橋は自宅だろう。食い物に困ってるとは思えない」
「そうっスね…」
耳に赤鉛筆を挟んだ高木くんは、競馬新聞よろしく一枚の紙を前に腕を組んでいた。
「なに、してるの」
お客様からは死角になる紳士服売場のスーツの影で、高木くんと宮地さんは顔を付き合わせていた。
「事情聴取」
宮地さんが、ひらっと手を振る。
「亜依も何か気がついたら言って」
「何か、ねぇ…」
二人の態度を見るとふざけているように見えるのだけど。
わたし達が、かたまっていたのを見つけて、里沙ちゃんも寄ってきた。
「高木ぃ~また亜依ちゃんにメーワクかけて!」
「向こうが寄ってくるんだってば。こっちだって困ってんの!」
ばん、と高木くんは試着室の壁を叩いた。大きな音がしたのに、亜依ちゃんも負けてはいない。怯むことなく口を開いた。
「亜依ちゃんが優しいからって図に乗らないでよね」
「誰が図に乗ったって?オレだってね亜依ちゃんが困ってたら、いの一番に助けるんだっつーの。こーゆーのはお互い様なの」
「あんたがハッキリしないのがワルイ!」
里沙ちゃんはビシッと人差し指を付きつけた。
「…オレはね、皆で仲良く仕事したいだけなの。むやみに事を荒立てたくないんだって」
首を傾げた高木くんが、こめかみを揉む。
「里沙ちゃんも高木くんも、落ち着いてよ。まだ村岡さんが告白するとかじゃないし、わたしなら大丈夫だから」
「もうっ亜依ちゃんは高木に甘いんだから」
膨れっ面をつくりながらも、里沙ちゃんはこの話題を終りにした。
「そろそろいいか」
宮地さんが、高木くんに先を促す。
「なにコソコソしてるの」
こそっと里沙ちゃんがわたしの耳に問いかけてきた。
「高木くんの夜食が無くなるそうなの。容疑者を絞りこんでいるみたいよ」
「まったく自分で処理出来ないことばかり、よく降りかかるものね」
里沙ちゃんの言葉に、高木くんの体は素早く反応してこちらに顔を向けた。
「それが、オレの、せいだ、とでも?」
「どこかで恨みでも買ってるんじゃないの」
バチリと火花の出る勢いで視線がぶつかる。
「………高木、容疑者の洗い直し。お前の選択基準は『金が無くて腹を空かせた奴』だったろ。『怨恨』も、だ」
ぱしっと紙を弾いた宮地さんが口を開いた。高木くんは恨めしそうに里沙ちゃんを見遣る。
「了解。でも本っ当、オレ恨まれたりとか有り得ない」
「お前が悪くなくても、恨む奴は居るってことだ」
きっと。わたし達の頭の上に吹き出しがあったなら、大文字で『村岡さん』と表示されたに違いない。
「ちょっと弱いな。理由は?」
「お金ないっていつも言ってるでしょーが」
「残念。大橋は自宅だろう。食い物に困ってるとは思えない」
「そうっスね…」
耳に赤鉛筆を挟んだ高木くんは、競馬新聞よろしく一枚の紙を前に腕を組んでいた。
「なに、してるの」
お客様からは死角になる紳士服売場のスーツの影で、高木くんと宮地さんは顔を付き合わせていた。
「事情聴取」
宮地さんが、ひらっと手を振る。
「亜依も何か気がついたら言って」
「何か、ねぇ…」
二人の態度を見るとふざけているように見えるのだけど。
わたし達が、かたまっていたのを見つけて、里沙ちゃんも寄ってきた。
「高木ぃ~また亜依ちゃんにメーワクかけて!」
「向こうが寄ってくるんだってば。こっちだって困ってんの!」
ばん、と高木くんは試着室の壁を叩いた。大きな音がしたのに、亜依ちゃんも負けてはいない。怯むことなく口を開いた。
「亜依ちゃんが優しいからって図に乗らないでよね」
「誰が図に乗ったって?オレだってね亜依ちゃんが困ってたら、いの一番に助けるんだっつーの。こーゆーのはお互い様なの」
「あんたがハッキリしないのがワルイ!」
里沙ちゃんはビシッと人差し指を付きつけた。
「…オレはね、皆で仲良く仕事したいだけなの。むやみに事を荒立てたくないんだって」
首を傾げた高木くんが、こめかみを揉む。
「里沙ちゃんも高木くんも、落ち着いてよ。まだ村岡さんが告白するとかじゃないし、わたしなら大丈夫だから」
「もうっ亜依ちゃんは高木に甘いんだから」
膨れっ面をつくりながらも、里沙ちゃんはこの話題を終りにした。
「そろそろいいか」
宮地さんが、高木くんに先を促す。
「なにコソコソしてるの」
こそっと里沙ちゃんがわたしの耳に問いかけてきた。
「高木くんの夜食が無くなるそうなの。容疑者を絞りこんでいるみたいよ」
「まったく自分で処理出来ないことばかり、よく降りかかるものね」
里沙ちゃんの言葉に、高木くんの体は素早く反応してこちらに顔を向けた。
「それが、オレの、せいだ、とでも?」
「どこかで恨みでも買ってるんじゃないの」
バチリと火花の出る勢いで視線がぶつかる。
「………高木、容疑者の洗い直し。お前の選択基準は『金が無くて腹を空かせた奴』だったろ。『怨恨』も、だ」
ぱしっと紙を弾いた宮地さんが口を開いた。高木くんは恨めしそうに里沙ちゃんを見遣る。
「了解。でも本っ当、オレ恨まれたりとか有り得ない」
「お前が悪くなくても、恨む奴は居るってことだ」
きっと。わたし達の頭の上に吹き出しがあったなら、大文字で『村岡さん』と表示されたに違いない。
