月が満ちるまで 君と僕 4
風花を誘わなくちゃね。
今まで、断られたことなんてない。
いつ見に行って、どこで食事をしよう。
風花の喜びそうな店を探しておかないと。
ちょっとしたカフェなんかもいい。お茶しながら見てきたばかりの展覧会の話をしよう。
「金井くん文化祭のことだけど…」
話かけてきたのは、小林。生徒会の会計だ。
真面目な優等生。成績も学年トップクラスだ。
「どうかした」
「なんだか疲れてるみたいね」
ちょんちょんとメガネを指す。
そういう自分もメガネをかけている。ただ、小林のメガネは似合っていた。
メガネ美人ているんだなって思わせる容姿。
メガネがなかったら平凡だったかもしれない。
「ちょっと寝不足。コンタクト入んなくて」
「これはこれで、いいんじゃない」
ちらりと視線をながすと、
「下級生が見とれてるじゃない」
渡り廊下だったから人目についていた。こっちを見ていたのは何人かのグループだった。
にっこりと笑顔を向けると歓声があがる。
「サービスいいのね」
飽きれたような声音。
「サービス業でしょ、僕ら。小林も愛想笑いくらいしたら」
「わたし、お愛想で生徒会に入った覚えはないから」
「確かに、内申書に生徒会の文字があったらいいよ。でも、それだけで入ったわけじゃないでしょ」
僕は覚えてる。
小林の立候補演説。
この学校の制服を変えようというものだった。この学校伝統だけは長くて、その伝統分だけ古めかしい制服になっている。
男子はブレザーにネクタイ。これはまあ、いい。
女子は悲惨だ。ブレザーにジャンパースカート。プリーツの入ったカワイイタイプじゃなくて、フレアスカート。
半端な丈で野暮ったい。
カワイイ制服を着たい子は丈を詰めて、フレアをたっぷりとったスカートを作る。
それはもちろん校則違反になるけれど、違反の制服なら、カワイイ。
「女子、味方につけたほうがいいでしょう」
「まぁ…ね」
くすり笑う。
笑うと小林もカワイイもんだな。
今まで、断られたことなんてない。
いつ見に行って、どこで食事をしよう。
風花の喜びそうな店を探しておかないと。
ちょっとしたカフェなんかもいい。お茶しながら見てきたばかりの展覧会の話をしよう。
「金井くん文化祭のことだけど…」
話かけてきたのは、小林。生徒会の会計だ。
真面目な優等生。成績も学年トップクラスだ。
「どうかした」
「なんだか疲れてるみたいね」
ちょんちょんとメガネを指す。
そういう自分もメガネをかけている。ただ、小林のメガネは似合っていた。
メガネ美人ているんだなって思わせる容姿。
メガネがなかったら平凡だったかもしれない。
「ちょっと寝不足。コンタクト入んなくて」
「これはこれで、いいんじゃない」
ちらりと視線をながすと、
「下級生が見とれてるじゃない」
渡り廊下だったから人目についていた。こっちを見ていたのは何人かのグループだった。
にっこりと笑顔を向けると歓声があがる。
「サービスいいのね」
飽きれたような声音。
「サービス業でしょ、僕ら。小林も愛想笑いくらいしたら」
「わたし、お愛想で生徒会に入った覚えはないから」
「確かに、内申書に生徒会の文字があったらいいよ。でも、それだけで入ったわけじゃないでしょ」
僕は覚えてる。
小林の立候補演説。
この学校の制服を変えようというものだった。この学校伝統だけは長くて、その伝統分だけ古めかしい制服になっている。
男子はブレザーにネクタイ。これはまあ、いい。
女子は悲惨だ。ブレザーにジャンパースカート。プリーツの入ったカワイイタイプじゃなくて、フレアスカート。
半端な丈で野暮ったい。
カワイイ制服を着たい子は丈を詰めて、フレアをたっぷりとったスカートを作る。
それはもちろん校則違反になるけれど、違反の制服なら、カワイイ。
「女子、味方につけたほうがいいでしょう」
「まぁ…ね」
くすり笑う。
笑うと小林もカワイイもんだな。
月が満ちるまで 君と僕 3
自分の弱い所を隠すために努力してる。
人から称賛されるために、頑張ってる。
僕が家で認められるために。
時々…本当はいつも嫌でしかたない。いつまで頑張ればいい……
だから風花やおばあちゃんに会うとほっとした。
ふたりはそのままの僕を受けいれてくれたから。
馬鹿なことをしたって、しょうがないなぁって笑ってくれた。
笑いながら、温かい涙を流してくれたことがある。
僕にとっては実の家族以上に大切だ。
メガネを外して目頭を押さえる。眼球が熱を持っているように熱い。
冷やしたら気持ちいいだろう
「金井先輩」
振り返ると新入生という言葉がぴったりした子がいた。
「わたし今度、生徒会、立候補します。先輩のお話、感動しました」
何を話したか思いだせない……
多分、半分本当で
半分嘘だ
いい生徒であるように
いい先輩であるように
努力してるのだから。
「覚えてもらって嬉しいよ。一緒に仕事ができたらいいね」
極上の笑顔を添える。
大概これに騙される。
頬をピンクに染めて
「そんなこと言ってもらえるなんて、嬉しい。わたし、頑張ってみます」
一息に言って走り去る。
夢を与えられたのか、僕は。
こんな僕でも。
たまには役にたつのかもね。
少し頭痛がやわらいだ気がした。
人から称賛されるために、頑張ってる。
僕が家で認められるために。
時々…本当はいつも嫌でしかたない。いつまで頑張ればいい……
だから風花やおばあちゃんに会うとほっとした。
ふたりはそのままの僕を受けいれてくれたから。
馬鹿なことをしたって、しょうがないなぁって笑ってくれた。
笑いながら、温かい涙を流してくれたことがある。
僕にとっては実の家族以上に大切だ。
メガネを外して目頭を押さえる。眼球が熱を持っているように熱い。
冷やしたら気持ちいいだろう
「金井先輩」
振り返ると新入生という言葉がぴったりした子がいた。
「わたし今度、生徒会、立候補します。先輩のお話、感動しました」
何を話したか思いだせない……
多分、半分本当で
半分嘘だ
いい生徒であるように
いい先輩であるように
努力してるのだから。
「覚えてもらって嬉しいよ。一緒に仕事ができたらいいね」
極上の笑顔を添える。
大概これに騙される。
頬をピンクに染めて
「そんなこと言ってもらえるなんて、嬉しい。わたし、頑張ってみます」
一息に言って走り去る。
夢を与えられたのか、僕は。
こんな僕でも。
たまには役にたつのかもね。
少し頭痛がやわらいだ気がした。
