ふんわりシフォン -272ページ目

君のそばに行けないなら

なんでこの足はあるのだろう

君を抱きしめられないなら

なんでこの腕はあるのだろう

君を見れないなら

なんでこの目はあるのだろう

君の声を聞けないなら

なんでこの耳はあるのだろう

君の香りを嗅げないなら

なんでこの鼻はあるのだろう


君に

君を好きだと言えないなら

なんでこの口はあるのだろう

重ねる言葉が

君に届かないなら

なぜ言葉があるのだろう



僕には なぜが多くて

君には 謎が多すぎる



君には 言葉があふれていて

僕には 想いがあふれてる

月が満ちるまで ナツのハナ 18

屋台の品定めは楽しい。

「やっぱり、やっぱりタコは普通の大きさがいいよね」

店先の氷に大盛りな、小さいタコを見てちはやが言った。

「なんだか分かる、それ」

大きな焼き型に一匹まるまる詰め込まれるタコ。ぴょこんと足が飛びだしたりしている……それは食べ物だけど、なんだか可哀相な気がしてくる。

タコ好きにはたまらないのかもしれないけれど、姿形がわかるので、なんだか酷いことをしているみたいで…。

「フツーのなら、銀だことかあったよ」

ハルくんがきびすを返しながら、来た方を指さす。

「いいよ、端まで行って帰るとき買うから」

「じゃ、みんな違うの買って分けっこしようか」

「あたしのが一番美味しいよ、きっと」

屋台をひやかして歩くのは楽しい。店のおじさんを見て、タコ焼きをひっくり返す真似をしたり、カップ売りのジュースは氷ばっかだとか、たわいない話になる。

それぞれ自信ありの品物を買って、土手に戻り縁石に腰掛ける。

ハルくんと渡辺くんはお好み焼き。ちはやとわたしはタコ焼きにした。

「渡辺くん、味見ていどでいいからね」

律儀に四等分されたお好み焼きが箸につままれている。

「えんりょしないで食べたら」

「タコ焼きもあるからいいよ、その半分でいい」

「そうだよ、この後クレープ食べるんだから」

ハルくんが、ちはやの声を真似て言う。

「違うよ、次はかき氷だよ」

笑い声がおきて、箸が行き交う。それぞれのパックの蓋に交換した物が置かれていく。




ふいにドンと地響きがおきる。
キュンと風切り音がして、見上げると花火が開いたところだった。

真上に近い、綺麗な球体の花火。

まるで流れ星のように火花が降り注ぐ。燃え尽きずに落ちてきそうなほど近い。

「たーーまやぁーー」

ハルくんが声を張りあげる。叫びたくなるくらい、綺麗。

つられてみんなで叫んだ。すごく綺麗だって。打ち上げの音に消されてしまってもいい。

対岸まで

花火師の人にまで届くように。

にゃお

にゃお にゃお にゃーお

僕の言葉がわかるのは

ご主人さま

あなただけ

にゃご にゃご

だっこして

ごはんちょうだい

僕といて

僕と遊んで