FULL MOON 3
「無理だな、明け星」
けしょん、けしょんとくしゃみを繰り返す黒い猫。目の前にはテイクアウトのエビチリがほかほかと湯気をたてている。
「おかしいなぁ…すごく好きだったはずなのに、なんか辛い」
水の容器に顔をすりつけそうなくらいに水を飲んでいる。
「体調が変わったんじゃねぇの」
カラカラといつものカリカリを器にあける。なんでも好きなものを食べさせてやれる訳じゃない。ただ…気まぐれがおきただけだった。猫や犬は甲殻類はダメだ。
「ほら、こっち喰えよ」
「あ、なんか苦い…葱か」
不快らしく鼻をしかめて顔を洗う。ひとしきり嘗めた後で、コリコリ、カリカリと餌にありつく。
「カツブシかけてやろうか」
「サービスいいじゃない」
ちくりと胸を刺す痛み。旨いメシを喰わせてやりたいさ。出来るなら。
でもこんな乾燥した固形餌を旨そうに喰うんだな。
少し冷めたエビチリを独りでつつく。べつに好物じゃないけど、一緒に食べた楽しい記憶を食べている。
「美味しかったぁ」
満足げな黒猫は、毛づくろいをはじめる。
「太るぞ明け星」
「有り得ない、そんなこと」
ぐるぐると喉をならす。あぁ、すぐに眠くなるんだろう。
今日は満月だ。
苦しくて切ない。撫でている毛並みが、やがてさらりとした髪に変わる。
腕がのび、足も胴ものびる。ふわりとした毛並みは無くなり、滑らかな肌が現れる。
この頭には、何が詰まってるんだよ。
思い出は忘れて無くなってしまうのか。この小さな頭には入りきらない情報に振り回されて、見つからなくなってしまっている。
無防備に眠る、心はどこへといくのだろう。ここにいて触れれば温かい。でも、本当に触れたいのはその心で、それは何処にあるのだろう。
けしょん、けしょんとくしゃみを繰り返す黒い猫。目の前にはテイクアウトのエビチリがほかほかと湯気をたてている。
「おかしいなぁ…すごく好きだったはずなのに、なんか辛い」
水の容器に顔をすりつけそうなくらいに水を飲んでいる。
「体調が変わったんじゃねぇの」
カラカラといつものカリカリを器にあける。なんでも好きなものを食べさせてやれる訳じゃない。ただ…気まぐれがおきただけだった。猫や犬は甲殻類はダメだ。
「ほら、こっち喰えよ」
「あ、なんか苦い…葱か」
不快らしく鼻をしかめて顔を洗う。ひとしきり嘗めた後で、コリコリ、カリカリと餌にありつく。
「カツブシかけてやろうか」
「サービスいいじゃない」
ちくりと胸を刺す痛み。旨いメシを喰わせてやりたいさ。出来るなら。
でもこんな乾燥した固形餌を旨そうに喰うんだな。
少し冷めたエビチリを独りでつつく。べつに好物じゃないけど、一緒に食べた楽しい記憶を食べている。
「美味しかったぁ」
満足げな黒猫は、毛づくろいをはじめる。
「太るぞ明け星」
「有り得ない、そんなこと」
ぐるぐると喉をならす。あぁ、すぐに眠くなるんだろう。
今日は満月だ。
苦しくて切ない。撫でている毛並みが、やがてさらりとした髪に変わる。
腕がのび、足も胴ものびる。ふわりとした毛並みは無くなり、滑らかな肌が現れる。
この頭には、何が詰まってるんだよ。
思い出は忘れて無くなってしまうのか。この小さな頭には入りきらない情報に振り回されて、見つからなくなってしまっている。
無防備に眠る、心はどこへといくのだろう。ここにいて触れれば温かい。でも、本当に触れたいのはその心で、それは何処にあるのだろう。

