震える家族
震える家族
あの子は、死んだはず
長男を亡くした夫妻が、養子として迎え入れた少年
家族団らんの時を切り裂く言葉
「あそこにいるのは誰―?」
少年が指を差す先には、何も見えなかった
STORY
牧師のソクホと妻のヒョヌは、教会で3人の子供たちと暮らしていた。夫妻にはもうひとりハンビョルという息子がいたが、池に落ちて溺れ死ぬという不慮の事故で亡くなっていた。そして、その哀しみから逃れるかのように、新たにイサクという少年を養子として迎え入れることにする。施設からイサクを連れて家に戻るが、3人の子供たちは全く打ち解けなかった。イサクは病によって視力が低下しているのだが、時折誰かの姿が見えるとつぶやく。ソクホやヒョヌ、そして子供たちは何かに怯えるようにその方向に目を向けるが、そこには何も見えなかった―。
アンニョン(^-^)ノ
いつも、ありがとうさんです~
早く書こうと思ってたのにすっかり遅くなりました。
6日でしたけど、『震える家族』を観ました…
韓国のホラー映画ですが、去年の秋…シネマート新宿さんでだけで公開されたのかなあ…
観に行った方、おられますか
とにかく私のチェックでは、ちょっと視野に入ってなかったんですけど、やはり韓国のホラーですので、観ておかなければって気持ちでした。
で、観たんですが、良かったんですよね~。
ジャンルとしてはクリスチャン・ホラーと定義してもいいのかな、教会の牧師さんご一家の話で…キリスト教の信仰も関連してるんですけど、だからそういった信仰についての前提は、私にはちょっと理解が難しかったと思います。
この映画、キリスト教の信者さんが観られたら、どうなんでしょうか。
韓国はキリスト教徒の方々日本と違って仏教徒よりも多いそうで、実際、韓国映画を観ていると日曜日に教会の礼拝に参加する場面もあるし、またキリスト教に関連する映画も多いですよね。
「敬虔な信者であることで周囲から尊敬されている」というような場面を目にしたこともあります。
だからホラー映画でも「キリスト教」系のホラーが少なくないんだけど…よく考えたら不謹慎じゃねーの
いや、教会の方から苦情が来そうな
真面目な信仰の映画だったらいいけど、あんまり迷信じみた変なホラー映画だったらやっぱりキリスト教徒の人たちが怒りはると思うんや
そこまで考えると、困ってしまいますけど、『震える家族』はどうなんでしょうね~
そこまで厳密に考えてしまうと映画を観るのもしんどいもんですけど、なんぼなんでも面白ければいいというわけにもいきませんし、批判的な視点も無視はできないでしょう。
私の考えでは、決して不謹慎な映画ではないように思いましたが…。
日本でのタイトル「震える家族」については…う~ん
観終えてベストなタイトルの選択には思えませんでしたけど
輝国山人の韓国映画様によると、原題は「미혹」で、「迷惑」=惑わすこと、眩惑(げんわく)だそうで、確かに惑わされる、眩惑される映画ですが…じゃあ「迷惑」って題だと日本ではちょっと変な感じになるし…難しいですね。
英語の題としては「The Other Child」ってことになってますので、その題がわかりやすいかなあ。
牧師ソクホとその妻ヒョヌには長女ジュウン、次女イェナ、長男ハンビョル、そして次男ハジュンの4人の子たちがありましたが、病に苦しめられていたハンビョルが池で溺死し、亡くなりました。
夫婦は長男の死を試練だと考え、イサクという少年を養子にし我が子として育てることにします。
イサクは眼の病を患っていて、いずれは視力を失ってしまうそうです。
しかしイサクは、家に来た夜から亡くなったハンビョルが見えるようで…そして他の3人の子どもたちもイサクが来たことで不審な行動を見せるようになり、ヒョヌはその状況に苦しめられていきます。
というような話です。
ホラー映画ではありますけど、そんなに怖くはないです。
むしろ「何が真実なのか」という謎をめぐるミステリー的な作品ですね。
この作品、私には非常に「合う」映画だったようで、とても面白かったですね。
映画とししては、登場人物の誰が「おかしい」のか、誰が「悪い」のかを考えながら観てましたけど、なかなか最後までそういった視点でのファクトの判明はなく…なんか迷路に迷い込んだ謎解きの趣がありました。
主人公はヒョヌだと思いますが、ヒョヌが必ずしも正しいのかはわかりません。
では夫ソクホが正気なのかと思ってると、後半、彼も取り乱したような行動をとりますなあ。
夫婦の新しい子になったイサクは感情を出さない子で…「見えて」いても慌てたりしないので、そこがちょっと怖い。
そして他の3人の子どもたちは、長女ジュウンがリーダーシップを取っていますが、やっぱり怪しかったりします
さらにソクホの教会の信者さんである、ヨンジュンもどこか精神的に不安定に見え、彼も「見える人」みたいですし、ヒョヌに不可解なことを告げたりもして、訝しい。
要するに登場人物全員が、なにか疑わしく、違和感があるんですね。
そういった中で、心霊的な現象が実体のあるものなのか、過去に何があったのか、ハンビョルはどういった境遇なのか、3人の姉弟たちは何かを隠しているのか…いろいろ謎を感じるんです。
その不可解さを楽しむ映画かもしれません。
だからやっぱりヒョヌの立場で、彼女が感じる判然としない不気味を追っていくような観方になるんじゃないかと思います。
幽霊 ―― がいたとして、彼らの欲求目的
もよくわからないんですが、「いない」と考えるのも無理があるのかなあ。
やはり幽霊はいたと考えるしかなさそうですが、そのことで「見える」人たちの言動や行動があり、それがあるからの結末なんだと思います。
誰も幽霊が「見え」なければ何も起こらなかった ―― のかもしれません。
それだと映画にならないけど。
では、誰が「悪かったのか」ですが、それは観客の感想に委ねられてると思うし、その上で最後にヒョヌが選んだ選択の是非も観客の気持ちに背負わされてるのかな、と思います。
私は、カタストロフィが起こる一歩手前でこれまでの家族を維持しようとしているのが怖いと思いました。
う~ん…でも現在の警察の力なら、殺人が起これば犯人は逮捕されると思いますが…この映画のケースではそれが明るみにならないのかなあ
ホラー映画としては…そりゃ怖いですけど、そこまでではありません。
よっぽど怖い映画が無理という方は観れないでしょうけど、私なんかもホラー映画好きですが、とてもいいと思いましたね。
ただ、最終的にバーッて真相が明白になり、「そうだったのか」ってオチでもないんですね。
全体的にクッキリした映画ではないと思います。
でもその不明瞭なモヤモヤ感が漂ってるのが私が好きでしたね。
詳しいストーリーですが、ありがたいことに怒りくまさんが今年2月にレビューしてくれてます。
もっと詳しく知りたい方は是非、怒りくまさんのレビューをどうぞ
「震える家族」。。。 怒りくまのブログ(仮)
怒りくまさん、いつもありがとうさんです☆⌒(*^-゜)v
監督さんのキム・ジニョン監督はこの『震える家族』が長編初監督作だそうです。
韓国「Daum」の監督のプロフィールによると、過去に短編映画を監督されてます。
2009年 好みの遺伝 Heredity Of Taste 短編映画 14分
2010年 私を信じて Believe in Me 短編映画 25分
韓国映画をこうして観ていると、その作品が監督の処女作である場合が多いんですけど、つまり韓国では次々と映画監督がデビューしているってことなんだろうか。
現在、韓国の映画監督の人数はわからないけど、これからも増え続けて、さらに映画が生み出されていくことになりそうです。
『震える家族』1作を観ただけではキム・ジニョン監督のこれからの作品を予想することはできないけど、丁寧に撮られるという印象を私は持ちましたので、次の作品はどんな映画を撮られるのだろうかと思い、期待しますね。
ヒョナ役のパク・ヒョジュさんは…『チェイサー』(2007年)の女性刑事、『ワンドゥギ』(2011年)のキム・サンホさんの妹の武侠小説家の役で印象的でしたが…主演としては『奴隷の島、消えた人々』(2015年)がありますね。
だいぶん痩せはったのかこれまでとは違うイメージです。
作品にはよく合っていて(子ども4人を育てるだけでも大変ですが)子どもたちの不可解な言動に悩まされナーバスになっていくお母さん役にぴったりでした。
夫ソクホ役はキム・ミンジェさんです。
この前の出演作が『事故物件 歪んだ家』(2022年)だったので、同じように家族の父親を演じるホラー映画が続いてどうなんだって思いますけど、『震える家族』と『歪んだ家』はそこまで似てないので、まあ大丈夫です。
キム・ミンジェさんの出演作もぎょうさん観てきましたよね~。
この方もおもろい役、イヤな役、怖い役、なんでもござれの方なのでずっと好きな俳優さんです。
子どもたちの演技もやっぱり良かったですね。
それから、実はいろいろとあるんですよ。
特に長女ジュウン…彼女はなかなかサプライズな行動を取る女の子で…教会で青年ヨンジュンが恐怖で引きつけのような状態になってしまった時、咄嗟に彼の額に手を当てて祈りを唱える場面が好きでしたし、また母親に反抗的な態度を取る場面も印象的でした…。
子どもたちはみんな可愛いんですが、映画ではそうは見えない演技がまた讃えたいところですね。
そういえば、私は『子供たちの時間』(レアード・ケイニッヒ、ピーター・L・ディクスン著、角川文庫)という本を読んだりして、自分がまだ子どもだった頃から「怖い子どもたち」が好きだったんですよね…。
『震える家族』の見どころには「大人たちの知らないところで怖いことをする子どもたち」ちゅうのもあります。
でもああゆうことは間違えてやるともっと大変なことになると思うんですが
ちなみに長女ジュウンを演じたキョン・ダウンも『事故物件 歪んだ家』に出てたりする。
お母さんを悲劇的な形で亡くして精神的に不安定な感じの青年ヨンジュンを演じるのはB1A4のメインラッパー、バロことチャ・ソヌくん。
調べるとドラマや映画によく出てるんですね。
映画の主演作として、去年、『Windmill』、『Annapurna』といった作品が公開されたそうです。
ヨンジュンはおとなしそうだけど神経質そうな青年で、彼が正気なのかどうか疑わしいところですが、「見えてしまう」人らしく、しかもヒョナたち家族のことについて何かを知っているようだ…。
どう…と言われると明確には言えないんだけど、たまらない味わいのある作品でした。
私がこれまでに好きになったホラー映画とはまた違うんですが、独特な味わいがあるんですね。
どの作品か思い出せないんですが…昔、読んだ海外の小説を思い出したような気がします。
後半、いかにもありきたりなホラー映画の流れに行かずに最後までどうなるって感じで観せてくれたのがホントに良かったですね。
そんなにお金をかけた映画ではないだろうし、ワ~キャ~
っちゅうような派手な驚かせもないんだけど、静かな中に謎、不可解が引っかかり、真相を知りたくて没頭してしまう、そんな作品でした。
ホラー映画好きさんに限らず、ちょっと怖めな作品を観ようという方に観ていただきたいと思います。
ってことで今日もありがとうさんです、おおきに…
アンニョン~(^.^/)))
原題:미혹 迷惑(惑わすこと、眩惑)
英語題:The Other Child
中国語題:鬼惑
2022年製作/114分/韓国
韓国封切:2022年10月19日
劇場公開日:2023年11月10日
配給:「震える家族」上映委員会
PD:ホ・ユンヨン、アン・ビョンレ
監督・脚本:キム・ジニョン [第1作]
助監督:シム・ミョンフン、チュ・ユンテ、パク・キュウン、ソン・イェスル
撮影:ヤン・ギュンサン
照明:ソ・チャンファン
編集:イ・ヨンジョン(ブラウンスタジオ)
音楽:Leevisa Joel Eel
美術:カク・ヘウン(ヤムジゲ)
武術:ソン・ウォンジョン(アクションスクール)
出演
パク・ヒョジュ → ヒョヌ 妻
キム・ミンジェ → ソッコ 夫 牧師 シンゴク教会
キョン・ダウン → チュウン 1番目の子供(娘)
パク・チェジュン → イサク 養子(息子)
アン・イェリム → イェナ 2番目の子供(娘)
キム・ラオン → ハジュン 4番目の子供(息子)
ソン・ハヒョン → ハンビョル 3番目の子供(息子)
チャ・ソヌ → ヨンジュン 隣家 ソッコの教会信徒
ヤン・フンジュ → ピョンモク 隣家 ヨンジュンの父 ソッコの教会信徒 農業
ハン・チョル → 機関の人 男 児童福祉会
ハン・ヘジ → 機関の人 女 児童福祉会
チャン・ウィドン → 医師
イ・ソンジュ → 院長
パク・ヨンジュン → 修理工
チェ・ピルサン → 精神病院 職員1
パク・チョング → 精神病院 職員2
ユ・スンシン → ヨンジュンの母
ハン・サンボン → 逐鬼牧師
チョン・ヘジョン → 保育教師 / ヒョヌ 代役
キム・ハヨン → 看護師
カク・ヘウン → 村のおばさん
チェ・ジョンファン → ヨンジュン代役
キム・ウォンソク → (声出演)修理工 / 村人 声
イム・スンミ → (声出演)口演童話
※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。