韓国映画 コンクリート・ユートピア (2023年) 公開中 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 

 

アンニョン…(^-^)ノ

いつも、ありがとうさんです…キスマーク

 

朝、自分のメモ用の意味合いも兼ねてサントラCDの記事を公開させていただきました。

お付き合い、おそれいりますm(_ _)m

 

 

 

 

 

それで ―― この作品を観てきました…カチンコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂気が目覚める

 

世界を襲った大災害

唯一残ったマンション

生存者たちの争いがはじまる――

 

イ・ビョンホン

パク・ソジュン

パク・ボヨン

 

 

 

 


コンクリート・ユートピア

 


映画『コンクリート・ユートピア』ご鑑賞予定の皆様へ

映画『コンクリート・ユートピア』が2024年1月5日(金)全国公開いたします。
本作では、災害による地盤隆起の描写がございます。
ご鑑賞にあたりまして予めご了承いただきます様、お願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画 『コンクリート・ユートピア』 オフィシャルサイト


INTRODUCTION


第48回トロント国際映画祭で「『パラサイト 半地下の家族』に続く傑作」(Screen Daily)と高く評価され、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表作品にも選出された『コンクリート・ユートピア』。大災害のなか唯一崩壊を免れたマンションを舞台に生存者たちの争いを描いた本作は、アジアをはじめヨーロッパ、南米と152か国で上映が決定。世界中から注目されたエンターテインメント大作が、遂に日本上陸する。

世界を襲った未曾有の大災害により一瞬で廃墟と化したソウル。唯一崩落しなかったマンションは、生存者たちで溢れかえっていた。無法地帯となったいま、マンション内でも不法侵入や殺傷、放火が発生。危機を感じた住民たちは主導者を立て、居住者以外を追放し、住民のためのルールを作って“ユートピア”を築き上げることに。住民代表となったのは、902号室のヨンタク。職業不明で冴えないその男は、権力者として君臨したことで次第に狂気を露わにする。そんなヨンタクに傾倒していくミンソンと不信感を抱くミョンファ。極限の状況下でヨンタクの支配が頂点に達したとき、思いもよらない争いが勃発する。そこで明らかになった、その男の本性。果たして男の正体とはー。

マンションの臨時住民代表・ヨンタクを演じるのは、『G.I.ジョー』などハリウッドでも活躍し、『非常宣言』『白頭山大噴火』などディザスター大作での名演も記憶に新しいイ・ビョンホン。何の取柄もない男が権力を手にしたことで狂気を放ち、豹変していくさまを体現する。「梨泰院クラス」や『ミッドナイト・ランナー』などで日本でも熱狂的な人気を誇り、『マーベルズ』でハリウッドデビューしたパク・ソジュンが誠実な公務員ミンソンを、ミンソンの妻ミョンファを映画にドラマに大活躍を見せるパク・ボヨンが演じる。

描かれるのは、極限状態に陥った人々の末路。世界規模の大災害によってソウルで残った1棟のマンションを舞台に、生き残りをかけた選択が想像も絶する闘乱を引き起こす。元凶となる代表に祭り上げられた一人の男。猛威を振るう、その男の狂気。ラストに待ち受けるのは、光か、闇か。崩壊が人間の本質をあぶり出す衝撃のパニックスリラーが、日本全土を震撼させる。

 



STORY


世界各地で起こった地盤隆起による大災害で一瞬にして壊滅したソウル。

唯一
崩落を逃れたファングンアパートには、居住者以外の生存者たちが押し寄せていた。救助隊が現れる気配は一向になく、街中であらゆる犯罪が横行し、マンション内でも不法侵入や殺傷、放火が起こりはじめる。危機感を抱いた住人たちは、生きるために主導者を決め、住人以外を遮断しマンション内を統制することに。臨時代表となったのは、902号室のヨンタク。職業不明で頼りなかったその男は、危険を顧みず放火された一室の消火にあたった姿勢を買われたのだった。

安全で平和な“ユートピア”になるにつれ、権勢を振るうヨンタクの狂気が浮かび上がる。そんなヨンタクに防衛隊長として指名されたのは、602号室のミンソン(パク・ソジュン)だ。妻のミョンファ(パク・ボヨン)はヨンタクに心服するミンソンに不安を覚え、閉鎖的で異様な環境に安堵しながら暮らす住民たちを傍目でみながら生活をしていた。

生存危機が続くなか、ヨンタクの支配力が強まったとき、予期せぬ争いが生じる。そこで目にしたのは、その男の本当の姿だった………。

 

 

『コンクリート・ユートピア』はキム・スン氏のウェブトゥーン《愉快ないじめ》の2部「愉快な隣人」を脚色した作品ですが、物語的には原作のプリクエルに該当するような脚色だそうです。

韓国映画お得意のウェブトゥーン映画化ものですね。

 

映画のジャンルとしては確かにパニックスリラーであると同時にSFでもあると思いますが、設定が難解な作品ではないと思います。

よっぽどSF映画自体が受け付けない方には向いてないかもしれないけど、普通に観るのには大丈夫でしょう。

 

しかしその上で本当に「怖い映画」だと思いますので、気分が悪くなる方もおられるかもしれない。

また公式サイトさんにありますように「災害による地盤隆起の描写」があるので、その点でもご不快になる方もおられるかもしれないのでご注意ください。

 

私の感想ですがまず、この映画はホントに観るのが楽しみでかなりワクワクしてましたが、観ている時には動揺しましたし、その上で「これだビックリマーク」というような映画への確信もありました。

すごく「怖い映画」だと思いますし、理知的で多角的な作品だと思います。

 

思い出したのは『パラサイト 半地下の家族』(2019年)を観た時の気分で、『コンクリート・ユートピア』は『パラサイト』同様、観る人の考えによって感想が変わるような作品だと思います。

 

 

私の感想ですが ―― かなり興奮したのでいろいろ書きたいんだけど我慢して ―― ネタバレはしませんが、何も知りたくない方はご注意ください。

 

読まない方がいいかもあせる

いえ、ホントにいきなり観ていただきたいんですっあせる


大地震でしょうか、何らかの災害、あるいは大規模な戦争により、廃虚と化したソウルで倒壊を免れたファングン(皇宮)アパート103棟。

生き残った外部の人々が暖と食を求めて助けを請いに集まるが、住民たちは彼らを排除し、自分たちだけで生き残ろうとさらに結束を固めていく ―― という内容です。

 

アパート内を統率するためのリーダーとして、行動力がありそうなキム・ヨンタクが選ばれ、確かにヨンタクはアパートの安全を守り、人々が暮らしていくための利益を獲得してくれる人として、住民たちの信頼を勝ち得ていくんですが、そのことでヨンタク自身も自分の立場を確固としたものにするため、後に引けなくなっていくんですよね。

 

もうこの映画は、アパートという場所とそれを守る人たちを描き、「国」「社会」の縮図を見せた映画だとまず思いました。

 

まさしく「国」「社会」の捉え方の映画ではないですか。

「国」や「社会」が人々から必要とされる理由、それを突き詰めていくような展開に思えましたね。

 

「国」や「社会」が共に生き、共存していくためのものならば、誰しもを受け入れねばならない。

しかし、自分たちは元からいた、「選ばれた」と考えると ―― 他者を過剰に排除し、攻撃することになるんですよね。

 

ですので、この映画は排外主義を描いた作品でもあるでしょう。

人、団体も排外主義という主義を自覚して人を排斥するわけではないかもしれないけど、思考として排外主義に陥っている人は日本にも少なくないかもしれない。

それらは特に、姑息に匿名のコメント欄などで影響力を保とうとしているように私には感じられます。

 

映画の中でファングン(皇宮)アパート103棟の住民たち自分たちが追い出した人たちのことを蔑んで「ゴキブリ」と呼びますが、非常に象徴的で、私は「あビックリマーク」と思いました。

私はまだまだ外国の排外主義を知りませんが、その「ゴキブリ」呼ばわりは日本の排外主義の光景に酷似していたのです。

 

具体的には日本における移民の話題、また日本の入国管理における事件の報道などの記事のコメント欄における排外のコメントですね。

それを書く人たちの言葉は、『コンクリート・ユートピア』のセリフに使えそうなものばかりではないですか。

 

【追記(1月15日)】これも書いておきたかったのですが ―― キム・ヨンタクの「実像」が明かされる時、〝「国籍」とは何なのか〟という問いかけもあると思います。

 

私は常々、前提としてそのような排外の思想、言葉にだけは異議を感じてきました。

それらの思想、言葉のベースには差別があり、差別が排外の主張を作ってきたからです。

 

『コンクリート・ユートピア』の物語は理想的なものではなく、「国」「社会」の最悪のありさまを描いたものだと思います。

観終える時、最終的になぜこうなったのか、観客は考え、自分ならこうするのに…と思うんですが、そこがこの映画の大事なところではないですか。

私は映画で起こったことは選択してはならないと考えますし、他の方々もそうじゃないかな。

監督はそれを意図されたと思います。

 

 

オム・テファ監督はご存知、オム・テグさんのお兄さんですね。

 

2002年から2012年まで短編映画を監督されてきたようで、2013年に『イントゥギ』で長編監督デビューされてます。

 

そして2016年の『隠された時間』。

 

 

 

 

 

美しくセンチメンタルなファンタジー…私も大好きな作品です。

この映画で描かれる愛…美しい…。

 

『コンクリート・ユートピア』とは全然違う作風なんですけど、この2本を観て、どっちがホントのオム・テファ監督か、なんて考えるのはやめておきます。

どっちもですね~。

でも確かに『隠された時間』にも気に入らない他者を排除する場面がありましたよ。

 

とにかく『コンクリート・ユートピア』という大作をこうまできっちりとした傑作に仕上げられたオム・テファ監督、やはりさすがです!!

 

 

キム・ヨンタク役はもちろんイ・ビョンホンさん。

 

オム・テファ監督やイ・ビョンホンさんが素晴らしいところは、決してヨンタクをわかりやすい悪人に描いていないところです。

実際、(目的があるとは言え)彼には認知症の「母親」を世話する優しさもあるのですよね。

 

ヨンタク自身も被害者ですし、またある集団の中で人々から期待され、リーダーシップを発揮していく人はヨンタクのような人である場合も少なくないと思うし、身近に彼のような人がいたら私だって信頼してしまうと思うんですよ。

私は彼のやっていることは間違いだと思っていたけど、最後まで彼を嫌いになりきれなかった。

 

イ・ビョンホンさんの演技はもはや最高峰ですね。

 

 

キム・ミンソン役はご存知パク・ソジュンくん。

 

ミンソンは早くに両親を亡くし、この異常事態の中でただ妻ミョンファを守りたい一心ですし、もともと協調に軸足を置く人柄。

しかしヨンタクが度を越して残酷に振舞う時、強く動揺します。

彼もまた普通の平凡な人です。

 

パク・ソジュンくんの演技はそこまで圧力の強いものではなく、イ・ビョンホンさんに比べると弱いんですが、それはキャラクターに忠実だからですね。

ミンソンは優柔不断で人に影響を受けやすい人なんですよ。

ホントは映画の中でパク・ソジュンくんがカッコよく活躍する場面があったら嬉しいんだけど、この映画はそういう映画じゃないですからね。

ともかくパク・ソジュンくんもやはり素晴らしい。

それにしても本当~っに背が高い。

 

 

キム・ミンソンの妻ミョンファは実質、この作品の主人公に思います。

ミョンファには自分の考えがあり、周囲の同調圧力をおかしいと考えている。

もちろん彼女一人では抵抗できないのだけれど、キム・ヨンタクの危険な振る舞いを止める手立てを得た時、それを行動に移すのですが ―― より悲劇的な状況に陥ります。

 

パク・ボヨンさんってただ可愛いだけでなく怖い映画も出ますしね~。

映画では割と挑戦的な作品選びですよね。

2015年の『恋するインターン 現場からは以上です!』なんかホント彼女の持ち味が発揮された作品でしたけど、『僕らの青春白書』(2014年)の「スケバン」も好きだし、『京城学校:消えた少女たち』(2014年)も私のお気に入り。

もう30代半ばなんですけど全然変わらないね~。

 


婦人会会長キム・グメさんを演じるのはキム・ソニョンさん。

もうね、最後の方はこんなキム・ソニョンさんを見ることになるのかあせる…って心にグサグサきましたけどあせる

やっぱり素晴らしい演技ですよね~。

あることでグメさんが「取り乱す」演技には私も呆然としました。

 

キム・グメはもともと女性の中でリーダーシップを取るような人なんですよね。

なんかとても似た人を自分の現実でも知ってます汗

う~ん…確かに任せておけばいいという面もあるんですが…「強引」なところもきっとあったんだんだと思う。

キム・ソニョンさんとイ・ビョンホンさんが険悪になる場面なんか「怖っ汗」って感じでした。

 

グメの息子ジヒョクも注目です。

『隠された時間』でドンちゃんの少年時代を演じたイ・ヒョジェくんですね。


 

途中から登場するムン・ヘウォンを演じるのはパク・ジフ。

 

そうです、『はちどり』(2018年)の主人公です。

いや~、パク・ジフが見れて値打ちがあったわ~。

 

ムン・ヘウォンはファングンアパートに到着するまでにいろいろ見てきたようですが、多くは語らなかったですね。

ただ、その時点で外の世界に可能性もあったと思うんです。

しかし「地獄」という表現には、外に出ていく気も失せますね。

 

途中で反抗的なムン・ヘウォンに対して年上のおばちゃんたちがイヤな感じで忠告する場面のセリフも良かったですわ~。

もうホント、現実にいかにもありそう。

 

キャストについて書くのはこのくらいにさせてもらいますが、大作にしてはそこまで派手なキャストではないです。

でも、その分、主要キャストの演技を堪能できますね。

 

それから、あとで調べてカメオ出演を知るのもいつもの楽しみでしょう。

 

 

パンフレット買っちゃいました。

900円(税込)です。

 

・ ファングンアパートの入居規制

・ イントロダクション

・ ストーリー

・ キャラクター

・ キャスト

  インタビュー ⇒ イ・ビョンホン パク・ソジュン パク・ボヨン

・ 監督・脚本 オム・テファ インタビュー

・ お写真2ページ分

・ コラム 人間の弱さや愚かさ、醜さを息苦しいほど徹底的に描くことで 人間ドラマとしての完成度を目指した近未来パニック・スペクタクル 江戸木純(映画評論家)

・ キーワード

・ プロダクション・ノート

・ コラム 韓国を代表する“アパート”とそこに住む人々 佐藤 結(映画ライター)

・ コラム ゆらぐリアリティの境界 松永 昂史(ディレクター/CGデザイナー)

・ お写真2ページ分

・ 作品データ

 

実は自分の感想に影響を受けたらアカンと思ってまだ読んでへんのどす。

これから読ましてもらいます。

 

大きさはチラシサイズですが、中身は薄くなく、イイと思います。

映画を観たら是非ビックリマーク

 



最初の方でファングンアパートよりも高級なドリームパレスから来た人たちへの住民の仕打ちからリアルに思えましたが、普通の平凡な人たちが人間の隠されていた本質をあらわにしていく怖さが凄いです。

私の想像では同じことが起こったら日本でもあそこまでいくかもしれません。

別に韓国だけの話じゃないですね。

そういう意味でアメリカの『ミスト』(2017年)も近いかもしれない。

注:でも「住まいへのこだわり」はかなり韓国特有のものであるとの見解もあります。

 

ホント、映画を観ながら自分だったらどうするのか、それをずっと考えてました。

私もきれいごとは書けますが ―― でもね、『コンクリート・ユートピア』を観終えて、確信しました。

やはり、それで自分が損をしようと、人と共存しようと。

そうでないと社会は成り立たないし、人同士が助け合うための国、社会ではないですか。

 

私の結論はともかく、この映画 ―― 本当にオススメです。

怖いし残酷な映画だけど、是非、観てください。

深い思慮のある作品です。


最後までおおきに、ありがとうさんでした…キスマーク
ってことでアンニョン☆⌒(*^-゜)v

 



コンクリート・ユートピア


原題:콘크리트 유토피아 コンクリート・ユートピア
英語題:Concrete Utopia


2023年製作/130分/ビスタ/5.1ch/G/韓国
韓国封切:2023年8月9日
日本公開:2024年1月5日
配給:クロックワークス
字幕翻訳:根本理恵


原作:キム・スンニュンのウェブトゥーン「愉快ないじめ」2部 <愉快な隣家>
PD:キム・チョルヨン、キム・ボラ
脚本:イ・シンジ
脚色:チョ・スレ
潤色:チョン・スンオ
監督・脚本:オム・テファ [第3作]
助監督:キム・ジョンウ
撮影:チョ・ヒョンネ
編集:イ・ギルギュ
編集:ハン・ミヨン
音楽:キム・ヘウォン
美術:チョ・ファソン、チェ・ヒョンソク
武術:イ・ゴンムン

出演
イ・ビョンホン → キム・ヨンタク モ・セボム 902号 ファングン(皇宮)アパート臨時住民代表
パク・ソジュン → キム・ミンソン 602号 防犯隊班長 義務警察出身の公務員
パク・ポヨン → チュ・ミョンファ 602号 医療隊 元看護師 キム・ミンソンの妻
キム・ソニョン → キム・グメ 207号 婦人会会長
キム・ドユン → トギュン 809号 家具デザイナー
パク・チフ → ムン・ヘウォン 903号
イ・ソファン → パク所長 アパート住民 背信者
カン・エシム → 本当のキム・ヨンタクの母
イ・ヒョジェ → チヒョク キム・グメの息子 青少年防犯隊
キム・シウン → チョンウ チヒョクの友だち 青少年防犯隊

友情出演
キム・ハクソン → 国会議員 ユ・ドゥヒョン
コン・ミンジョン → ヒョジン 地震でトラックの下敷きになった女性
オム・テグ → 路上生活者1
チョン・ヨンギ → 路上生活者2
オ・ヒジュン → 路上生活者3
キム・ジュンベ → 路上生活者4
オ・スジン → アナウンサー

 

※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。