新仁義なき戦い 組長最後の日 (1976年) | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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新仁義なき戦い 組長最後の日

 

 

 

 

いつも読んでくださり、ありがとうございます(^-^)ノ

 

今日は12月6日に観た『新仁義なき戦い 組長最後の日』について書かせていただきます。

 

『組長最後の日』は深作欣二監督による『仁義なき戦い』シリーズ全8作(1973~1976年)の最終作であり、また『新仁義なき戦い』シリーズ全3作(1974~1976年)の最終作でもありますね。

 

ファンの皆様はご存知の通り、『新』シリーズですが、『新仁義なき戦い』(1974年)はともかく、『新仁義なき戦い 組長の首』(1975年)と『組長最後の日』は「実録」作品ではなく、シリーズのタイトルを冠した創作の物語である・・・ってことでしょう。

 

まだ観てない方は、また詳しいことはファンの方のブログなどを読んでもらうこととして、うちの感想はまだ観てない方にはよくわからないものになっていると思います。

 

一つ、申し上げたいのは、『組長の首』と『組長最後の日』はシリーズの1作ではあるけど他の6作とは関連がなく、自立した物語なので、いきなり最初に観て問題ないってことです。

他の作品とつながってませんからね。

 

特に『組長最後の日』は物語の種類といいますか、形も他の作品とは違うのではないかと思います。

 

観始めて私も、あ、なんか違うぞ、と思いました。

しかし、ついに8作目ですので違った方が新鮮ですし、その違いがまた面白いと思うんですね。

 

あと、全体的に残酷度も高めになってるように感じました。

 

 

 

シリーズ8作を通しで観た私の感想と致しましては、まず私はやはりジャンルとしてのヤクザ映画を観ていなかったと思いましたね。

観ててもわかってなかったと言いますか、とにかく慣れてなかった。

 

前に書きました通り、1作目の『仁義なき戦い』(1973年)を早い段階で観ていましたが、結局は広能昌三を主人公として彼の物語として観ていたと思います。

つまり群像ドラマとしては把握してなかったでしょう。

『仁義なき~』のシリーズはやはり群像ドラマとしての面白みだと思います。

 

こうしてシリーズ8作を観てきましたが、結論として私はまだ群像ドラマとしての『仁義なき~』を完全には理解できなかったですね。

頭の中に人物相関図と物語の流れが描けないと、やっぱりあきませんよ。

そこまで行かないと『仁義なき~』シリーズの本質には迫れてないんでしょう。

 

 

 

そして、続けて観たこともあり、シリーズ8作、かなり私の中で混ざっています(^_^;)

1作目と『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)はともかく、3作目以降となると、あの場面、どの作品だったかはてなマークと困ってしまうことも多く、これを言ったら怒られるかもしれないけど、大勢で集まって議論したりしてる場面となると、完全に混乱しています。

どこで誰がどうなったかとかも記憶が危ないですね~。

 

そういったあたり、やはりジャンルとしてのヤクザ映画を観てこなかったことが大きいと思うんですね。

ご存知、『X-MEN』の映画シリーズ(2000年~)なんか私もほとんど観てますけど、ずっと整理して記憶されてますしね。

登場人物だってきっちり覚えてるし(好きなんでしょうね~)。

 

しかしこれが『アイアンマン』(2008年)から始まる『マーベル・シネマティック・ユニバース』になりますと『仁義なき~』シリーズよりもさらに記憶されてなく、完全に混乱してますので、どのシリーズもあまり複雑に広げられまくられると、ついていけなくなるんですよね。

 

でも、それは、そんな感じに複雑化、拡大化、膨張化して難化して行くことで楽しまれる方も多いと思うので、悪く言ってるわけじゃないですよ。

 

 

 

※ たいしたことは書いてませんが、内容に触れておりますので、お知りになりたくない方はご注意くださいね。

 

『組長最後の日』ですが、最初、ある殺人事件の発覚から始まるんですね。

ミステリー作品みたいに思えて、それがとてもいいと思いましたが、話しとしては親分さんを殺された野崎修一(菅原文太さん)の復讐の物語だと思いました。

 

『組長最後の日』ってタイトルであるからには、私としては山守のおやっさん(金子信雄さん)がついに最後の日を迎える、そんな映画であってほしいとも思ったんですが、そんな映画ではなく山守のおやっさんも金子信雄さんも出てきません、残念ながら。

 

野崎修一のターゲットとなる坂本組組長・坂本英光(小沢栄太郎さん)は、山守のおやっさんとはまた違う人物なのですが、『仁義なき~』シリーズとしては実録モノとしてどうしても山守のおやっさんだけは殺せなかったのでしょう。

 

 

 

物語としてはそこまで難解ではなかったはずなんですけど、なぜか前半、えらく難しく感じられてあせる

その上、私は次の日に続けて『その後に仁義なき戦い』(1979年)を観たので・・・また混ざってますあせる

 

東映ビデオ株式会社さんのHPにあるあらすじですが ―― 大阪にある日本最大組織・坂本組と、九州玄竜会を後盾とする尼ヶ崎の河原組との小さなモメ事は、両組から数人の死者を出す抗争事件へと発展。玄竜組にとっても坂本組の九州進攻を警戒する矢先だった。玄竜会系岩木組の若頭・野崎は、唯一の妹・麻美坂本組系米元組々員・中道の妻であったため微妙な立場に立たされるが、組長の岩木米元組の刺客に殺され、子分の寒川らを連れて大阪へ乗り込む!

 

この字ヅラだけ見ても私にはまたややこしいんですが汗

 

大まかに、九州 VS 大阪 でどうでしょう。

そこから、主人公・野崎の単独暴走になっていくんですけど。

 

 

 

北九州・岩木組の野崎修一の妹である麻美(松原智恵子)が大阪・米元組の中道努(和田浩治)と結婚していたために、野崎修一が板挟み的状況に陥るのが話しとしては大きいんじゃないですか。

 

この、「妹の夫が親しい人」にまつわる話しは『その後の仁義なき戦い』にもあり、また混ざるんですけど汗

 

菅原文太さんの野崎修一は、演じた役も広能とは違いますし、性格も行動も荒々しく、血の気の多い役になったと思いました。

 

ただ、妹思いであることは疑いなく、心に優しさもある人ですね。

 

野崎が手下に自分の性格を語るところ、屈指の名シーンですね。

私、大好きです。

 

 

 

で、過去の物語ですが、野崎は弟分だった中道と妹の麻美が相思相愛になったのに大激怒、中道の顔に傷を負わせて二人を九州から追い出したんですね。

 

気性の荒い野崎ですが、時間が経つと収まりますので、やっぱり妹は可愛いし、その夫も憎くはないんですけどね。

この、菅原文太さんがお兄ちゃんっていいんですけど、身寄りのない兄ひとり妹ひとりの二人だったからか、麻美さんのお兄ちゃんへの気持ちがすごく強くって、ちょっとビックリ。

深めに想像してしまいました(≧∇≦)

 

それで、野崎は普段は建設関係の仕事で働いてて、仕事のあと、岩木組長の家に行って将棋をするんですけど、すごく信頼されてて、あとを継いでほしいと言われてるんですね。

でも野崎はそれを丁重にお断りしていた。

 

岩木の親分さんは元気で陽気なおじいちゃんですね。

いかにもいそうな、現実的なキャラだと思いました。

親分さんだって人間ですものね。

 

 

 

抗争の原因は、今から思えばこうだったのかなあ、と思ってるんですけど、まだよくわかってません。

 

でも、両方の勢力の上の人たちが、攻撃的で敵に背を向けない人たちだったことで戦闘状態に陥っていったのではないでしょうか。

ちょっとどっちが悪いとかはないのですが、双方ともにやり方が卑怯なのはあったかもしれない。

 

『仁義なき戦い』シリーズでは珍しい殺し屋が出てきますね。

女性の按摩師なのですが、その正体は意外でした。

 

あの~、女が女を殺したのは、ちょっとわからないんですね~。

あのあたり、薬物中毒がらみの状況ですが、わからないな~。

 

ただ、落下した女性が「うう」とうなるのがインパクト大でした。

 

『新仁義なき戦い』シリーズ3作は、その前の5部作があくまでも男中心な世界だったのに、女の登場人物も際立ってますね・・・。

 

 

 

強烈なキャラとしては阪本組傘下の米元組組長・米元政夫(藤岡琢也さん)ですね。

私は藤岡琢也さんのヤクザ役どころか出演された映画もほぼ観てないと思うんですけど、なんか衝撃でした。

 

米元は悪い意味で「関西の最低おやじ」的に下品で(もちろん現実では関西は上品な紳士であふれかえっているわけですが)、ものすごくイヤな感じで不愉快極まりない。

が、それだからこそか異常に目を奪われる存在ビックリマーク

これは藤岡琢也さんの凄さでしょう。

 

観終えてもあとあと印象に残るは米元政夫ビックリマーク(>_<)

 

 

 

で、まさかの韓流的にはその米元政夫を殺害するため、わざわざ韓国からヒットマンの「ジョー」が呼ばれるんです。

 

「ジョー」って名前は、「조」とハングルで書く「チョ」姓のことかな、と私は思うんですけど。

チョ・ハンソンやチョ・ジョンソクの。

 

で、ジョーは日本語が理解できないので韓国語を話せる組の人が通訳してます。

セリフは一言もありません。

 

で、米元政夫の愛人女性の宅の床下に忍び込み、自分の機械で上の音を聴いて様子をうかがってる。

そんなもん日本語がわからへんのに大丈夫なんかと思うんですが、あれですわ、じっくり待機したあと、愛人女性の艷な声を聴き、これはてっきり米元の下品が来くさったかと、おもむろに床板から慎重に顔を出してごっついマシンガン片手に確認したら、予想通り、別人。

 

そしてわざわざ韓国から呼び寄せられた凄腕の殺し屋なのに、自分の間違いに唖然としたのか棒立ちのままでいたら相手に気づかれ、ビックリするほどの不手際に。

 

もちろんその後の活躍などなく、あまりにも残念な人でした。

 

ジョーを演じておられるのは日本人で郷鍈治さん。

宍戸錠さんの弟さんですが・・・だから「ジョー」はてなマーク(^_^;)

郷鍈治さんは55歳の若さで亡くなられたんですね・・・。

 

来日した韓国の殺し屋といえば、『龍が如く 劇場版』(2007年)でコン・ユが演じたパクですよね。

この映画のコン・ユは本当にかっこよかった。

床下からではなく屋上から狙うんですけどね。

 

 

 

 

 

で、『組長最後の日』ですけど中盤からの展開で思い出したのが『ターミネーター2』(1991年)ですね。

 

「サングラスをかけ顔を火傷した男が巨大なトラックでしつこく追い回してくる」から。

 

そういったカーチェイスは1976年の映画としてはかなりの迫力で、当時の観客たちは驚いたんでしょうね( ゚ー゚)( 。_。)

 

 

 

 

ところで・・・木屋町ですやんか~(≧∇≦)

 

 

もう半世紀くらい前の映像なのに木屋町は変わってませんな~。

 

『仁義なき戦い』シリーズは京都で撮影された場面も多いので、またそれもどこで撮影したか詳しく知りたいですね。

 

 

いや~、何とも言えませんわ~。

 

 

 

野崎修一は、当初から暴走気味で、上の人から止められてるんですが、それでも岩木の親分の仇討だけはせねばならない。

映画は彼がついに阪本組組長・坂本英光を狙う流れになりますね。

 

そうなるともう、野崎を応援したいところですが、彼が阪本さんを狙うことで妹の麻美と、その夫である中道を危険に陥れることになるジレンマもありますね。

中道は阪本組系米元組の構成員なので。

 

結果、中道は麻美と野崎の前で悲惨なことに・・・。

麻美との間にまだ幼い娘がいたにもかかわらず、です。

 

 

 

野崎が警察に捕まった時にはもうこれでどうしようもないなあ、と思ったんですけど、そう来たか~って感じです。

 

ま、ズバリ、妹が・・・いや~、言っていいんでしょうか。

いいでしょう・・・麻美がお兄さんのビビリの配下とエッチして、頑張るように仕向けて、お兄さんを脱走させますよね。

いや、これも凄い意外。

 

 

 

そんな感じでこの映画、後半はぜんぜん先が読めず、最後の最後まで驚きの連続で、どう終結するのかラストまで予想できずでした。

 

最後、野崎を刺した青年は大阪側の関係でしょうか。

坂本組若頭の松岡光治(成田三樹夫さん)が必死で野崎を制止したこと、野崎が刹那、躊躇したことも踏まえて、私は何とも重苦しい気分になりましたが、いいラストでした。

 

 

 

こうして深作欣二監督の『仁義なき戦い』シリーズ5作 + 『新』シリーズ3作 = 計8作を観てきました。

 

感慨深かったのは5作目の『完結編』ですが、『新』の3作も1作ごと楽しみましたよ。

 

『その後の仁義なき戦い』も観てるので、次の記事で書かさせてもらいます。

 

その次、阪本順治監督の『新・仁義なき戦い』(2000年)と橋本一監督の『新・仁義なき戦い 謀殺』(2003年)も観ていくんですが、それは来年になります。

その前に1作、『仁義なき戦い』とキャストが重なる1975年のヤクザ映画を年内に観ますね。

 

 

 

さんせんさん、背中を押していただき、ありがとうございました。

こうして観れましたよ~☆⌒(*^-゜)v

 

 

 

そんな感じで皆様も、今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます~(^.^/)))

 

 

 


新仁義なき戦い 組長最後の日
New Battles Without Honor and Humanity: Last Days of the Boss
신 의리없는 전쟁 - 조장 최후의 날
新無仁義之戰 組長最後之日


1976年製作/91分/日本

劇場公開日:1976年4月24日
配給:東映

スタッフ・キャスト

監督
深作欣二
脚本
高田宏治
企画
日下部五朗 橋本慶一 奈村協
撮影
中島徹
美術
雨森義允
音楽
津島利章
録音
中山茂二
照明
増田悦章
編集
市田勇
助監督
野田和男
スチール
中山健司

菅原文太 - 野崎修一
和田浩治 - 中道努
松原智恵子 - 麻美
桜木健一 - 西本明
尾藤イサオ - 加田伸吉
多々良純 - 岩木定春
中原早苗 - 久乃
梅津栄 - 山田東吉
西田良 - 重松秋良
地井武男 - 寒川松蔵
南条弘二 - 鹿田功男
名和宏 - 船田政男
八名信夫 - 根本鶴吉
木谷邦臣 - 松田国夫
汐路章 - 小坂市兵衛
織本順吉 - 本山孝夫
林彰太郎 - 潮見俊也
小沢栄太郎 - 坂本英光
成田三樹夫 - 松岡光治
笹木俊志 - 川崎進三
白川浩二郎 - 松岡若衆
福本清三 - 松岡若衆
秋山勝俊 - 松岡若衆
藤岡琢也 - 米元政夫
大木晤郎 - 藤沢徹次
有川正治 - 名和肇
曽根将之 - 庄司常雄
成瀬正孝 - 吉田春吉
山本麟一 - 栗原岩男
丘路千 - 前田政吉
岩尾正隆 - 中原保明
南道郎 - 河原玄次
阿波地大輔 - 古谷弥一
川谷拓三 - 津川一成
片桐竜次 - 田中好美
松本泰郎 - 隅田
中村錦司 - 桜井
横山リエ - 小中み鈴
衣笠恵子 - 初江
内村レナ - 宮本幸子
芦田鉄雄 - 山下捜査四課長
小林稔侍 - 柴田三郎刑事
疋田泰盛 - 朝海部長刑事
蓑和田良太 - 中野刑事蓑
唐沢民賢 - 安田刑事
江幡高志 - 杉本刑事
堀めぐみ - 奈美
三上寛 - ター坊
郷えい治 - ジョー
野口貴史 - パトカーの警官
酒井哲 - ナレーター

(映画.com)