アンニョン(^-^)ノ
いつもありがとうです
3月25日、この作品を観ました・・・
幼い依頼人
幼い依頼人
原題:어린 의뢰인
英語題:My First Client
2019年製作/114分/G/韓国
監督:チャン・ギュソン(第6作)
脚色:クォン・オワン、チャン・ギュソン
脚本:ミン・ギョンウン
PD:ト・ヨンフン
助監督:パク・チョンホン
撮影:チョ・ソンヒ
照明:キム・チャンホ
編集:チョン・ジウン
音楽:ヨン・リモク
美術:パク・ヘジョン
武術:パク・チンス
出演
イ・ドンフィ → ユン・ジョンヨプ 弁護士 未来児童福祉機関 環境調査チーム 調査官
ユソン → カン・ジスク 新しい母
チェ・ミョンビン → キム・ダビン
イ・ジュウォン → キム・ミンジュン タビンの弟
コ・スヒ → ユン・ミエ チョンヨプの姉
ソ・ジョンヨン → ソ・ムンジョン 弁護士 チョンヨプの友人
ウォン・ヒョンジュン → キム・ジョンナム タビンとミンジュンの父 クァヌンウォーターワールド 安全要員
イ・ナラ → イ・ソジョン 未来児童福祉機関
チョン・ジュノン → コヌ 薬剤師 チョンヨプの友人
イ・ヒョンギュン → ピョンジュ チョンヨプの友人
イ・ジフン → ヒョンソク ミエの夫
イ・ロウン → チャンホ タビンの同級生
イ・ボム → タビンの担任
チョン・ヒテ → トンチョル 未来児童福祉機関
キム・シヨン → 検事
ピョン・ジュヒョン → 班長 警察署
ペク・スンチョル → 国選弁護士
ホ・スン → 隣の家の男
ペ・ジナ → 隣の家の女
ジョセフ → 隣りの男
ヤン・ヒウォン → チュノ ヒョンソクとミエの息子
特別出演
キム・ボヨン → 判事 裁判長
チョ・ドッキョン → キョンジェ テジョンローファーム 代表
※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。
ユン・ジョンヨプ(イ・ドンフィ)はソウルの大きな法律事務所で弁護士として働きたかったのだが就職が上手くいかず、仕方なくイヤイヤながら地元の未来児童福祉館で働き始める。
彼は先輩(イ・ナラ)と交番に行き、虐待を訴えにきた10歳の少女、ダビン(チェ・ミョンビン)と出会う。
彼女は父親と結婚して彼女の母親となったジスク(ユソン)に叩かれ、首を絞められたのだという。
大人たちの誰もが少女の話に向き合わない中、暗い表情のダビンはジョンヨプたちにこう言った。
「悪いことが起きたら警察のおじさんに言えばいいって、そう教わったのに・・・私が間違ってますか」
ジョンヨプは先輩とダビンの家庭を訪問したが、 虐待の疑いのある母親、ジスクが上手く取り繕ったので福祉館としてはそれ以上のことはできない。
先輩は自分の仕事に不甲斐なさを感じ、それで退職するとのことだった。
後日、ダビンと彼女の7歳の弟、ミンジュン(イ・ジュウォン)の幼い姉弟は福祉館を訪ねてくる。
成り行き上、姉弟の話を聞き、(少なくとも形の上では)優しく接したジョンヨプだが、姉弟は彼になつき、それから毎日のように彼を訪ねてくるようになり、ジョンヨプはイヤイヤ彼らに付き合うのだった。
ジョンヨプは姉弟が新しい母親から虐待されていることに気づいていたが、それについては何もすることができず、その後ろめたさもあったのかもしれない。
その頃、ジョンヨプは夢にまで見たソウルの大手法律事務所に就職できることになった。
大喜びのジョンヨプだが、ソウルで働く準備をしている時、ダビンが耳をケガしたと彼女の学校の担任の先生から連絡を受ける。
病院にダビンを見舞ったジョンヨプは、さすがに彼女のことを何とかしようと考えるがダビンの親たちはにべもなく、福祉館を辞めた彼にできることはなさそうに思えた。
彼はソウルでのやりがいのある日々に没頭していく。
そんなある日、彼はダビンが弟のミンジュンを殺害したと知り、衝撃を受ける。
イ・ドンフィさんの初主演映画ってことで、劇場公開時、とても観たかった作品です。
まず、非常に優れたエモーショナルな脚本で、それだけではないんですが、すごく「泣ける映画」でした。
もう、前半から泣けました。
そうまでとは思ってなかったので、あ・・・こんな映画なのか、と思いました。
私は「泣ける映画」が好きなので、その観方では最高の映画だと思いました。
イ・ドンフィさんと幼い姉弟を演じたチェ・ミョンビンとイ・ジュウォンのコラボがホントに良くってね~、素晴らしいんです。
イ・ドンフィさんの俗っぽいとぼけた演技、そして姉妹の可愛さ、ちょっと薄っぺらい感じの大人が可愛い姉弟に振り回されてるのがホントに笑えるんだけど、しかし、その姉弟の今の切実な境遇が念頭にあるので、何とも言えない気分になって心動かされるんですね。
前半はその良さがよう出てました。
そして後半は(韓国映画ではよくあるパターンですが)正義に目覚めた人が頑張る展開。
これはもう、涙なくしては観られない感動的な映画なのは間違いないです。
※ ここから内容に触れて書くので、何も知りたくない方はご注意ください、よろしく
しかし、虐待の問題を扱った映画としてはどうなのだろうか。
そこは私、少し引っかかったんですね。
この映画は2013年8月、韓国の慶尚北道(キョンサンプクト)で起こった「漆谷(チルゴク)継母児童虐待死亡事件」を「もとに」映画化されたってことなのだけど、少し調べてみると、映画は事実の完全な映画化ではないと思います。
それは映画とはそういったものなのですが、特にこの映画では実際の事件の残酷さ、凄惨さを低減させて表現していると思います。
それは、ある種の限度が映画にはあるからだと思います。
この映画で描かれる虐待の残酷はその限度の範囲内だったと思います。
映画としても、それは十分に残酷なのものなのですが、表現そのものはとても映画的で、おそらく、実際の事件を目の当たりにする、あるいは事件について知るのとはまた違うと思います。
実際の事件は映画よりもさらに長期的に暴力を受け亡くなった子どもが傷ついていった惨たらしいものだったようです。
映画よりも、私はそれについて書かれた文章の方に衝撃と恐怖を受けました。
現実に、テレビのニュースなどで報道される虐待の事件も、報道では表現を控えめにしてあるのに、必ず衝撃を受けるのものです。
私はこの映画は映画としては傑作だけど、虐待の問題を扱う作品としては、やや、甘いと思ってしまいました。
私自身は虐待の問題を扱った映画作品を、観ることを恐れて避けているようなところがあります。
平山秀幸監督の『愛を乞うひと』(1998年)や是枝裕和監督の『誰も知らない』(2004年)、緒方貴臣監督の『子宮に沈める』(2013年)といった作品を観たいと思いつつ、いつも観れないでいます。
『幼い依頼人』は韓国映画ってことなどもあって観たんですが、私にも「観れる」映画でしたし、「観て良かった」と思える作品だったんだけど、だから甘いと感じたのかもしれないですね。
途中で観ることができなくなっていたら ―― 本当に凄いと思ったんじゃないですか。
韓国の社会問題を扱った映画をたくさん観てきましたし、その中で子どもが虐待される場面も幾度か目にしてきました。
だから私が悪い形で「慣れて」しまったのかもしれません。
しかし、「慣れて」ない人にはこの映画、普通に観てて辛いのではないでしょうか。
観終えて結果として、私が姉弟を虐待していた継母、ジスクのことをそこまで単純に悪人だと思えなかった。
これは誤解されたらイヤなんだけど、観ている途中、特に事件が世に知られる前には、怒りや不快感も感じましたし、姉弟を救うためにも罪が判明して捕まってほしいと思っていました。
またやったことに相応しい罰も受けるべきだと思いました
映画は裁判の場面に移り、そして映画としての結末を迎えますが、その時、ユン・ジョンヨプに問われ、ジスクはあることを言いますね。
「いないのに知るわけがない バカなことを聞くな」と。
それを聞いた時、心が痛みました。
ジスクは、姉弟の父と結婚する前に人生で失敗し、服役もしています。
慌てて幸せになろうとして、成功へ向かって無理に近道をして、失敗してきたイメージです。
そういった人生を歩むのにも理由があったんだと思います。
私にはジスクが幸せな子ども時代を送ったのだろうとは思えませんでした。
「母親がいない」と言ったのはもしかしたら、自分も虐待を受けていて母親の記憶を消し去ろうとしていたのではないか、そんなふうにも考えました。
前半の方でジョンヨプは大手法律事務所の代表から、『正義論』って本の内容について問われますよね。
「親の地位や周囲の環境により格差が生じる社会は公正とは言えず課題がある」というものです。
だから優れた脚本だと思うんですが、私は虐待の結果も、その人の資質もあるのだろうけど、格差など社会問題も影響してると思えて仕方がないんですね。
人って、仕事や人間関係とかでイヤな目に遭えば家庭で暴力を振るいもするでしょうし。
罪を犯したからといって一概に虐待する人だけを罵り、断罪するだけでは完全には解決しないように思うんです。
私は虐待した親たちを正義感から罵倒してただ代償を払わせるだけで解決するとは思えない。
それは虐待ととても似た何かなのかもしれない、と思う。
私は単純な正義が嫌いなのだ。
美人ではありますが、ジスクの容貌はまるで『サイコ』(1960年)の「ノーマ・ベイツ」のようで・・・かなりあからさまに悪役だったと思う。
その点も残念なところで、自分の住まいの中以外では本当に人当たりのいい人で、事件が判明した時、意外に感じられるような普通な平凡な人の方が現実的なんじゃないかと思う。
人って見た目だけで判断できないところもありますしね。
ジスクと、彼の夫のキャラ造形がいかにも「悪人」なことは残念に感じられました。
ホントにどこにでもいる善人そうな顔のまま、虐待をするような人物なら、それってかなり怖い。
でも実際、そうなのかもしれない。
虐待っていっても貧乏人が憂さ晴らしに子どもを殴ってるだけじゃないでしょ。
社会的地位の高い立派な仕事の金持ちが、言葉で子どもを責めさいなむのだって虐待でしょう。
『幼い依頼人』で描かれた形の虐待以外の虐待も映画にするべきでしょうね。
それと、加害者が実の親ではない事件の映画化も大事だけど、「やっぱり血のつながりがないとこんなことなる」なんて偏見もあるだろうし、実の親による事件の映画化も絶対にまたやるべきですよね。
そして虐待される子どもの演技ですが、日本と韓国、お国柄の違いもあるかもしれないけど、子どもはああいった虐待の中で、あまり大人の顔を見ないように思えました。
私もそういった光景を目にしたことがあるので・・・恐れて顔を伏せている印象があるのです。
恐怖して攻撃してくる対象を見ていられるのは、まだそれに抵抗したりする力が残っている子どものように思えて、本当に抵抗できず、ただ責めさいなまれるだけの子は大人たちの顔が見れなくなるように思うんです。
現実の話ですが、昔、ある男性が自分の息子を怒る時、私はそれをやり過ぎだと見てたんだけど、子どもはただ顔を伏せて、父親の怒りが収まるのを待っていました。
とても怖がっているように見えました。
その後、その子は大人になったけどいつも自信なさげで、自分の思い通りの人生を送ってはいないようです。
私は小さなことでも激怒して息子を罵倒し、絶えず屈服させようとしていた父親が原因ではないかと思っています。
私はその親子の関係がいつも思い浮かびます。
イ・ドンフィさんを初めて見たのは『監視者たち』(2013年)なんですが、その時には気づいてなく、あとで気づいたんですよね~。
『ベテラン』(2014年)や『花、香る歌』(2015年)を観た頃もまだまだで・・・でも、お名前とお顔は一致してたんじゃないかなあ~
とにかく、ドカンと来たのは『コンフィデンシャル 共助』(2017年)だったと思いますよー。
あの街中でヒョンビンから逃げ回る役ですよね。
お~、この人、こんなに動けるのか~って劇場で思ったことを覚えております。
そして、いろいろ観てきて、『エクストリーム・ジョブ』(2019年)を観るあたりではもうそうとう好きになってたんですが、この『幼い依頼人』を観て、メチャクチャ好きになりました~ヾ( 〃∇〃)ツ
主演ってこともあるけどこの映画のイ・ドンフィさん、素晴らしいです
ジョンヨプのヌナ(お姉さん)を演じるのはコ・スヒさん。
あまりにも似てない姉弟だと思いますが、コ・スヒさんの温かさが作品的に嬉しいですよね・・・。
姉のキム・ダビンを演じるチェ・ミョンビンと、弟のミンジョンを演じるイ・ジュウォンも素晴らしい演技でした。
子どもではあるけどプロの俳優ですよね。
二人とも比重が高いので大人の俳優よりも荷が重かったのではないかな・・・。
だって、自分たちと同じ年頃の女の子たちがモデルですからね。
そういったあたり、どれくらい教えてもらっているのか・・・と考えると複雑な気分になります。
姉弟の新しい母親ジスクを演じたユソン。
調べてみるとこれで15本、出演した映画を観たんですが、これまで私にはそこまでインパクトのある女優さんではなかったんです。
詳しくは知らないけど、ドラマの方でいい作品が多いのかもしれないですね。
しかし、この映画は強い印象が残りました。
前述の通り、人物の造形には私は異議もあるんですけど、それでも私に多くを考えさせる深みのある演技だったと思うのです。
2012年のこの作品では娘が犯罪被害者となっていたことを知り、復讐を決意するお母さん役だったんですよね。
『母なる復讐』もすごく気分悪い映画です・・・ご注意。
姉弟の父親、ジスクの夫を演じたウォン・ヒョンジュンさんですが・・・なんかの映画ででっかい包丁を持って人の手を切り落とそうと狙ってましたな~(^_^;)
今回も人相悪く、悪役的に演じてましたけど、やっぱりもっと平凡な方が怖いように思うんですけどね。
『幼い依頼人』は映画としてホントに惹きつけられたし、私も大好きになりましたけど、それもそのはず
チャン・ギュソン監督(向かって一番左の方)はこれまでに、『ぼくらの落第先生』(2003年)、『ラブリー・ライバル』(2004年)、そして『私は王である!』(2012年)といった作品を監督しれてこられたんだから。
そりゃ、私の好きな映画を作らはるはずですわ。
ええ~映画~、作りはりますよね~( ゚ー゚)( 。_。)
共通点は「最初はヤル気のなかった主人公が後半、本気を出す」ってヤツですね
この映画、公式サイトさんで「実録サスペンス」って書かれてますけど、そうなんだと思います。
いろいろ批判的に書きましたけど、映画としてはとても面白いし、感動的です。
後半の裁判のシーンでもドラマチックな仕掛けがあります。
そして「本気出した時のイ・ドンフィさんの熱演」と「子役たちの名演技」ですよね、それがもう涙なくしては見れませんよね。
映画としてはケチはつけません。
完璧な傑作だと思いますし、私も本当に気に入りました。
DVDが欲しいな~。
でも、もしも、今現在、虐待されている子がこの映画を観たら・・・それはどうなんだろう。
やはり、虐待されている子が大人たちに救いを求められる社会が実現されていることの方が先決でしょうね。
この映画は観た人たちに強く訴えかけ、虐待の存在しない未来を目指すための指標となってくれるでしょう。
オススメ致します。
もしもまだなら絶対に観てくださいね。
でわ、今日も最後まで読んでくださり、ありがとうさんでした
アンニョン(^.^/)))