「はぁ～～～」
大きくてわかりやすい溜息。
２２歳の長女が私のそばに寄ってきて
「もう私イヤやわぁ」と言い出した。
そう聞いたとき私は内心
「よしよしいいぞ」と思った。
何がイヤなのかはまだわからないし
「よしよしいいぞ」なんて口に出した日にゃ
「何がいいんよ！何にもまだ言うてへんやん！」と怒鳴られるので
「どしたん？」とだけ返事をしたのだが
これから続くであろう彼女の長話しを聞く面倒な気持ちとは別に
「よしよしいいぞ」と私は思っていた。
勝ち負けをおいて心をひらく
心理カウンセラーで看護師の
あきねぇこと池田あきです。
長女が言った「イヤやわぁ」の中身は
焼き鳥屋さんのバイトに行くのがイヤというもので
聞けば
ホールスタッフとして接客していたんだけれど
注文を聞いても厨房に通すのを忘れることが何度もあって
気をつけていたんだけれど
やっぱりその後も忘れたもんだから
とうとう店長さんに洗い場担当になれと言われ
もうホールには出られなくなったというものだった。
何度も注意をされて委縮していたところに
それでも忘れて怒られて
店長もみんなも絶対私のこと嫌いだと思い込み
誰も話しかけてくれないし
みんなにどう話しかけたらいいのかもわからないし
ホールを手伝おうとすると止められるしで
「もう。。。辞めたい。。。」
となったようだ。
もともと長女はそんなに器用では方ではないし
まぁ辞めるのも結論としてはいいのかもしれない。
でももうちょっと詳しく話を聞いてみると
厨房への通し忘れを防ぐ方法は、まだやりようがあるっぽい。
ただ居場所がないと感じている
彼女の辛い気持ちは汲んであげたいと思って（その日の私が余裕があったんだな）
彼女の
「もうアカンねん」
「行きたくないーーー！」
「どうせ私なんて誰も話してくれへんねん」
「もういや！！！」
というグチやら文句やらを、右耳から左耳へ通しながら
頭では「よしよしいいぞ」と思っていた。
私は自分が長女を妊娠した頃から
子育てというのは
「子供が一人で生きていける術（すべ）を教えることだ」と思っていた。
子供というのは早かれ遅かれ親から離れていく。
それがいつ来てもいいように
社会のマナーを教え
礼儀作法を教え
料理や掃除や洗濯のような生活の基本的なハウツーを教えることが
子育ての目標だと思っていた。
そうやって二人の子供を育てていけば
元気に大きくなって
普通に学校に通って
普通に社会人になると思っていたのに
娘たちは
いじめられたり
心を守るために記憶を封印したり
学校に通えなくなったり
学校を退学したりした。
私が心理学を学ぼうと思ったのは
子供がきっかけではなく
自分が生きづらかったからなんだけど
心屋塾で学んで自分に試して
学んだことを体感していく中で
いつしか子育てへの考え方も変わっていった。
子育てとは
「子供が一人で生きていける術（すべ）を教えること」だというのは
実は今も変わってないのだけれど（意味は若干変わった
そこにもうひとつ追加するようになった。
「つらい」と「助けて」を、人に言えること
だから長女が「もう私イヤやわぁ」と言ったとき
私は「よしよしいいぞ」と思ったのだ。
「もうアカンねん」
「行きたくないーーー！」
「どうせ私なんて誰も話してくれへんねん」
「もういや！！！」
と彼女が言うことは
私にとってええことで順調で成功なのだ。
高校生まで集団生活に合わせてきて
部屋もキレイで余分なものもなくて
親に文句も言わずにいた長女は
今ではすべて正反対に暮らしているけれども(笑)
どうしてそうなったのか
特に大きな出来事はなく
私がただ
「助けて」と口に出すことを自分に許可して
「辛い」と口に出すことを自分に許可して
文句やグチを子供に言ったり、聞いてもらうことを自分に許可しただけだ。
それは子供のためにではなく自分のために。
何度も何度も
口ごもりながら
汗をかきながら
言えなかったり
あとで謝ったり
そんな試行錯誤をしていたら
自分以外の人がそれをすることも許可できるようになって
子供たちが少しづつ変わっていったという感じ。
長女はとても自由になったと私は感じている。
きっと彼女はそれで良くて、それが順調で、とても幸せなのかもしれないと私は思っている。
グチと文句が長いけどもな！笑笑
そういえば
グチと文句を聞き流したあと
ちょっとした具体策を彼女に伝えた。
う～んという感じで、行動するのが難しい様子だったけど
私は彼女がそれをしてもしなくても
どちらでもいいと思っていた。
何を選んでも、どうなっても彼女は大丈夫だからね。
そしたらその数日後に彼女が
「ママが言ってたことやってみてん。そしたら○○さん（上司っぽい人）が一緒に考えてくれてな、結局ホールはまだあかんけど、でもスッキリしたわ！」って、明るい顔をして教えてくれた。
私は彼女に
自分では忘れる原因がわからないから、みんなはどうしているのか教えて欲しいこと。
忙しい時にみんなを手伝いたいのに、ホールに出られなくて申し訳なく思っていること。
自分が仕事が出来ないから、誰とも話せなくなっていること。
それを
親に「辞めたい」と話すほど辛いと思っていることも含めて、お店の上司に話しておいでと伝えただけ。
うん。
もう子育ては終わったみたいだね。
おわ。。。りじゃないよ！
ちょっと待った！
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