落ち込みたいときに聴く音楽
とことん落ち込みたいときがたまにある。いったん底まで落ちてそこで跳ね上がって体勢を立て直す感じ。あまりにディープな気分になるので年に数回しか聴かないが、そんな気分の時に無性に聴きたくなる曲がいくつかある。
小谷美紗子さんの「自分」はそんな気分の時に聴く典型的な曲。「自分よりバカな人を見て安心した、自分の罪を人に着せて楽になった」という出だしからかなり落ち込み始める。「悲しいニュースを見て涙を流して、自分は温かいやつだと満足してる」から、「悲しいニュースの主人公たちを助けたいなんて気持ちはもう忘れてる」にかけて自分の偽善ぶりがかなり嫌になってくる。そして、「誰もがそうだと結論付けて、最後の最後には世の中のせいにした、もっと自分を見つめなおそう」というエンディングで最深部に到達できる。かなり効くので自分が調子に乗りすぎていると感じるときは是非聴いて欲しい。
エレファントカシマシの「奴隷天国」は反転攻勢をかけたいときによく聴く。「ああ、生まれたときからそう何をしてきた、ああ、生まれたときからそうさ奴隷天国よ」、「なんにもよ、できずによ、おろおろおろ呆然と立って果てろ屍め!」、「生まれたことを悔やんでつらいつらいと一生懸命同情を請うて果てろ!」なんて言われ続けると、どちらかと言えばSの僕でも、だんだんともっと罵って欲しいと言う気分になってくる。「何うなづいてるんだ、おらお前」と最後まで安易に共感することを否定し、逃げ道をふさいでくれる。
あまりにも落ち込みすぎたら、セットで「今宵の月のように」を聴くことをお勧めする。「奴隷天国」とは、うってかわってやさしい声で歌ってくれて励まされる。普段暴力ばかり振るう旦那がたまに見せるやさしさに、ついだまされ続ける奥さんもこんな気持ちなのだろうかと思ってしまう。
- 小谷美紗子, 佐藤準
- PROFILE-too early to tell
- エレファントカシマシ, 宮本浩次(エレファントカシマシ)
- 奴隷天国
- エレファントカシマシ, 宮本浩次, 佐久間正英, 斎藤ネコ, ダンディーブラザーズ
- 明日に向かって走れ ― 月夜の歌
シュークリーム
子どもの時と比べて格段においしくなったと感じる食べ物が3つある。うどん、メロンパン、そしてシュークリーム。
うどんは、冷凍技術の進歩で腰のあるものを家でも簡単に食べられるようになった。煮込みすぎるとすぐに切れる以前のものとは大違い。ヒガシマルのうどんだしと組み合わせると、高校の学食で100円で出されていたものより100倍うまいものが2分で作れる。
メロンパンも外はかりっと中はもちっとした食感のものが増えておいしくなった。味もいちごやりんごといったすでにメロンパンとは言えないものまで出ている。僕のお気に入りはメープルシロップ入りのメロンパン。自然な甘さと香りがすごくよい。
その中でもシュークリームに対する思い入れが特に強い。パイ皮とクリームに入れるバニラビーンズ、そしてホイップクリームは3大発明だと思う。スカスカの皮にどろどろした体に悪そうなカスタードクリームが入っているだけだった以前から格段に進歩している。
大阪人の定番は「ヒロタ」 のシュークリーム。南海なんば駅構内の店でよくお土産に買って帰った。1個のサイズは小さいので、ついつい何個か食べてしまう。神戸に住んでいたときに好きだったのが、「フーケ」 のシュークリーム。バニラビーンズが効いていてとても好きだった。仕事の昼休みのデザートによく立ち食いしていたので、震災後初めて食べたときはかなり感動した。東京に住んでいたときに好きだったのが、家の近所の「いこな」 という店のシュークリーム。シュー皮にナッツがたっぷりでボリュームもあり友人宅訪問時のお土産として重宝した。最近のお気に入りは、カスタードクリームにりんごが入っている長居公園近くの「パリーネ」 。最近、ますます弱くなっているセレッソ戦観戦後のすさんだ気持ちをこのシュークリームが癒してくれている。
スケアクロウ
2つのものが並び評されるときたいていは弱かったり、地味だったりする方を好きになってしまう。例えば、野球だと同じ大阪でもセリーグの阪神よりもパリーグの南海、サッカーでは先にJリーグに参加できたガンバよりもセレッソと言った感じ。アーチストで言うと、マイケル・ジャクソンよりもプリンス、マドンナよりもシンディ・ローパーが好き。
ジョン・メレンキャンプ(当時はジョン・クーガー・メレンキャンプ名)も同じような理由で好きになったアーチスト。中でも1985年に発売されたスケアクロウは泥臭い名曲ぞろいで大好きなアルバムだ。1985年と言えば、「ボーン・イン・ザ・USA」がまだ日本でも大ヒット中で、男性ソロアーティストと言えばブルース・スプリングスティーンの時代だった。実際、洋楽を聴く友人のほとんどは「ボーン・イン・ザ・USA」(をダビングしたカセット)を持っていたが「スケアクロウ」を持っていたのは僕だけだった。
ブルース・スプリングスティーンの来日コンサートが大阪でもあって、何人かの友人が「一緒にボーン・イン・ザ・USAを歌ってめっちゃ盛り上がった」と自慢するのを、心の中で「いやいや君は河内の生まれだから」と突っ込んだ記憶がある。決して流行に敏感と言うわけでもない大和川以南の中学生がコンサートに行くくらいだから、当時のブルース・スプリングスティーンの人気はすさまじいものがあったのだろう。
その翌年、ジョン・メレンキャンプも来日したのでコンサートを観に行った。ステージ上を縦横無尽に動き回るシンプルないいコンサートだった。「Jack and Diane」(実はボスには経験のないシングルNO.1をこの曲で獲得している)など過去のヒット曲もほとんど演奏してくれた。「スケアクロウ」収録の「R.O.C.K. In the U.S.A. 」が最も盛り上がり、「ここは日本なのにな」と思いながらも、僕もこの曲のさびの部分を何度も歌っていた。
- John Mellencamp
- Scarecrow
- John Mellencamp
- American Fool
- Bruce Springsteen
- Born in the U.S.A.