伝説になりきれない?バンド
スマッシング・パンプキンズの再結成アルバムを聴いた。既にいろんなところでレビューされている通り、「微妙」な作品といった印象。普通のロックアルバムとしては、十分合格点だとは思うが、スマパンの新作と思って聴くと少し平板な印象が否めない。
思えばスマパンも中途半端な位置づけになったものだ。カート・コバーンが死んで伝説になったニルバーナや、生き残って戦い続けたことにより伝説になりつつある、パール・ジャムと比べると、どこか安っぽくなった感は否めない。
しかし、作品単位で評価すると決してこれらの2つのバンドに、セールス的にもクオリティ的にも劣らない。スマパンの代表作「Mellon Collie and the Infinite Sadness」は、僕の中では2枚組アルバムとしてはビートルズの「ホワイトアルバム」に並ぶ最高峰だ。全体の統一感から言うとそれ以上かもしれない(と言えばほめすぎだろうか)。全くダレることなく、さまざまなバリエーションの曲が展開される。「1979」は特にメロディのよさとドラマティックな展開が印象的な名曲。どこか、かわいらしい感じのするビリー・コーガンの声にもうまくマッチしている。この声がスマパンを今ひとつチープな存在にしていることも否めないが、時にすごく魅力的に感じることもある。
凋落の原因となった問題作「Adore」もどこか押さえた感じのする繊細なサウンドは当時の僕の好みに合いよく聴いていた。日本やイギリスではこの繊細さが好まれるだろうが、確かにアメリカで成功し続けるにはもう少し骨太さが必要なのかもしれない。
とはいえ、そういったチープさや今ひとつマッチョになれないところも他のグランジ系バンドにはないこのバンドの特徴であるとも言える。伝説になりきれなかったバンドとしての哀れみと親しみさを持って凡人の僕は引き続き愛聴していくだろう。
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- Mellon Collie and the Infinite Sadness/The Smashing Pumpkins
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- ザ・ビートルズ/ザ・ビートルズ
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- Adore/The Smashing Pumpkins
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バイバイン
最近、うちの子どもたちがドラえもんに興味を持ち出した。夜寝る前にドラえもんの話をして欲しいとせがんでくる。そういうときには不思議と、タイムマシン、タケコプターやどこでもドアなどのメジャーな道具に関する話が思い浮かばない。どちらかと言えば、石ころ帽子、悪魔のパスポートや通りぬけフープなどのマイナーな話が浮かんでしまう。
中でも僕のお気に入りはバイバインの話だ。モノを5分後に倍に増殖させる薬で、放っておくと2倍が4倍にと等比級数的に増えていく。栗まんじゅうを食べ足りない、のび太がこの薬を使って腹いっぱい食べようとするが、増殖するスピードに追いつかず、食べきれなくなって栗まんじゅうで部屋が壊れそうになる。そして、処理しきれなくなり、最後はロケットで宇宙に捨てるという壮大な話だ。処理できなくなったモノは、広大な場所に捨てればよいという考え方は、環境問題についてのアイロニカルな視点も与えてくれる。
無限に増殖する栗まんじゅうで宇宙が埋め尽くされないかとか、質量が無限に増大することによりブラックホール化しないか、と言う不気味な疑問も残る。この点については、いろいろと考える人もいるようで、wikipediaによると、「咀嚼によって増殖しなくなる描写があることから、崩壊した栗まんじゅうは増殖が止まることが推定される」と言う説や「亜光速で移動する栗まんじゅうは(地球にいる我々から見て)増殖が停止していると言ってよいから無限増殖による問題は生じない」という説もあるようだ。
当然、このような科学的な話は子ども達にはわからないので、「おまんじゅうで部屋がいっぱいだー」とか言いながら、盛り上げていく。最後には「食べ物を残すと、お父さんがバイバインをかけて、押しつぶしちゃうよ」というオチできれいにまとめている。もっとも、子ども達は「おとんは狂ったのか」という目で見ているのだが。
人生って素晴らしい
- 乏しい社会人生活からの見解で恐縮だが、職場で精神的に追い込まれた人がよくいうあるフレーズに気付いた。職場の同僚からこのフレーズが出てきたら、要注意だと個人的には注意するようにしている。そのフレーズとは「人生って素晴らしい」というものだ。
- 職場で上司に殴りかかった先輩は、その後飲みにいったときに、酔って僕に諭すようにこのフレーズを使っていた。会議で全く発言できなくなっていた隣の部長もアフター5にこのフレーズを連発していた。職場人生が素晴らしくないので、逆説的に人生は素晴らしいと思い込もうとしているのかもしれないし、仕事がうまくいっていないからこそ、家族や友人のありがたさが実感できて、人生のよさを感じるのかもしれない。ただ、直感だが全てにおいてうまくいっている人は「人生って素晴らしい」とあらためて思うようなことはない気がする。逆にだからこそ、成功が人生の目的ではないと言えるのかもしれない。
そんな、人生って素晴らしいと思い始めた方にお勧めなのが最近話題の「『狂い』のすすめ」。現代は世の中の方が狂っているので、その狂っている世の中から狂って生きた方がかえってまともになれる、というのが主題。おそらく、筆者は意識的に書いていると思うのだが、「目的意識を持つな!」とか「希望を持つな!」とかあえて極論に振っている。「本気で取り組めば目標は全て実現できる」といった類のビジネス書は勝者の戯言だとも思うので、たまにはこのような本を読んで頑張り過ぎないようにバランスを取って欲しい。
ただ、生きていくうえでの正しいスタンスはこのどちら側の極論にもなく、「人生は無意味だ」という開き直りと「せっかくこの世に生を受けたのだから何かを成し遂げたい」という前向きさの間を常に行ったり来たりしつつ、自分におかれた状況にあった適切な振幅を見つけることだと思っている。「人生はまあまあだ」という認識くらいがいいと思う。
- ひろ さちや
- 「狂い」のすすめ