Episode43 ~浜作~かぶら蒸し | 七梟のブログ

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気まぐれ

#43_森川裕之(浜作)

パレ・ド・Z〜おいしさの未来〜

(OA:2022/1/23)

 

今回、三石寛太(髙嶋政宏)が訪れたのは、日本初の板前割烹料理店「浜作」。
昭和2年創業、現在は三代目の森川裕之氏が主人を務める銘店だ。
森川氏は、1962年京都・祇園町生まれ。美術や音楽をこよなく愛し、
お店で供される器には、河井寛次郎などの知られざる名品がさりげなく出される。
文豪・川端康成をして「古都の味 日本の味 浜作」と嘆息させた名店の味を守り、
一期一会の精神で板場に立っている。
彼が作る未来に遺すべき作品とは一体。
その作品への想いを聞いて、実際にその味を楽しんだ三石の感想は?

 

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#43 かぶら蒸し

 

 

浜作
住所:京都府京都市中京区新町通六角下ル六角町360
電話番号:075-561-0330
 

森川裕之 / 浜作

今回の料理人は、蝶ネクタイに眼鏡の個性あふれる出立の板前、浜作の森川裕之さん。

彼の祖父である、森川栄氏が京都祇園に店を構えたのは昭和2年。
包丁名人として名を馳せた彼は、その腕前、手際も楽しんでもらおうと板場をカウンター席で囲んだ、「板前割烹」を誕生させた。

その三代目を継いだのが森川さん。

森川さんの料理には大前提がある。

 

人目につくものはすべて、美しくなくてはならない

「この(準備の)段階できれいでないものは、お料理してもあきまへんな。きれいには仕上がらない。お料理は手品とちがいますから」

そう話す通り、板場に食材がきれいに整列したところから、お料理が始まる。

素材の魅力を包丁一本で開花させる、祖父の代からの伝統芸、花びらが舞うような歯ごたえが楽しめる、明石鯛のお造り。

大ぶりのハマグリを抱き込んだ浜栗しんじょう。ふわりとした弾力の中からあふれ出すハマグリのエキス。それをだしがしっかりと受け止める。

食材は最高、仕立てはシンプル。
森川さんは、浜作という古典を守り続けている。

「浜作三代目主人の役割は、昭和2年に始まった板前割烹を変えない、そのまま純粋な形で残すのが私の役割」

命を削り、己を磨きながら古典という山脈を登り続けている。

 

森川さんは、どんな未来へ残す一皿をつくるのか?

まず包丁を入れたのは、聖護院かぶら。
擦ったかぶらに熱湯をかけ、アクを抜き、泡立てた卵白と合わせた。

ゆり根、甘鯛、えび、焼いたあなごを鉢に盛り付け、それらをかぶらで包む。そして、蒸し上げる。

だしに葛でとろみをつけたら、いよいよ仕上げ。

森川さんが作った一皿は、浜作伝統のかぶら蒸し。

 

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なぜ、この一皿だったのか。

「先人から残ってきたもんを、次の未来に何十年百年と残していただくには、ここでちゃんとしたもんを作って。皆さん、新しいもんばっかりに目がいかはるので、古いもんにもなかなかええもんがあるなと思っていただきたい」

「昔はよかったなぁということだけではあきまへんけど、それをやる人もないとあきまへん。役割があると思います。私は古典をちゃんと残す役割。ここへ来たら、板前割烹というのはこういうもんやったなぁとわかってもらうということが、三代目の責任」

森川さんが未来に遺したかったもの、
それは、古典を継ぐ気概だった。

 

『パレ・ド・Z』 BSフジ

一流のシェフが作る究極の一皿を、ドキュメンタリー&ドラマ仕立てで紹介する番組。髙嶋政宏演じるフードミュージアムのチーフキュレーター・三石寛太が、その究極の一皿=“作品”を食す。
そして、シェフの日常に密着し彼らの料理哲学を紐解いていく。
毎回、“未来に遺すべき作品”が生み出されるグルメ&ドキュメンタリー番組。

 

<出演者>
三石寛太:髙嶋政宏
パレ・ド・Z館長:田口トモロヲ(ナレーション)