疑問符の25: 河口 | 夢破窓在のブログ

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福島事故 疑問符 「?」

 疑問符の25: 河口

2014年10月13日 7時44分 東京新聞

「福島事故放出セシウム  東京湾河口 残る汚染」

(要点だけ挙げてみると、)

沖合いの汚染は低かったが、河口周辺ではかなり高い汚染が広く残っている事が確認された。

花見川河口(千葉)では局地的ながら1189ベクレル/kgと非常に高い濃度のセシウムが検出された。

荒川では167~398Bq/kg
多摩川では89~135Bq/kg
河口部で取れた蜆やアサリは1件で3ベクレル。これは問題になる量ではない。

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1189ベクレル/kgが非常に高い汚染と言えるのか?
この土をモニタリングポストの下に置いたら計測値は如何程になるのでしょうか?
ガンマー線を測定するとして核種をセシウム137とすれば1ベクレル当りの放出エネルギーを0.6617MeV(85.1%)とすると、
 1189x0.6617x0.851=669.5MeV/秒
1時間当りでは、
 669.5x60x60=2.41x10^6MeV/hr
ジュールに換算して
 2.41x10^6÷6.24x10^12=0.386x10^-6
これを1kgの質量で受け止めれば0.386マイクログレイという事になります。
モニタリングポストの高さは1m、放射線は球状に拡がるとして球の表面積は、
 3.14x(1x2)^2=12.56㎡
モニタリングポストの測定器がどれだけを受け止めて、どのように換算しているのかは知りません。
1m離れて浴びると1㎡あたりの被曝量は、
 0.386x10^-6÷12.56=0.031x10^-6ジュール

東京の2014年10月13日現在のモニタリングポストの値は、0.059マイクロSvです。
河口の泥の上に立っているより、モニタリングポストの横に立っている方が被曝量は多いと思います。

東京のモニタリングポストが置かれている場所も非常に高いセシウムが検出されていて、高い汚染状態なのでしょうか?
一方的に「非常に高い濃度のセシウムが」と書き立てますが、何を基準に「非常に高い」と判断しているのでしょうか?

NHKが2012/01/15のNHKスペシャルで各地の汚染状況を特集しています。
この放送局の放射能に関する番組の半分は嘘とステマで構成されています。
信用は出来ませんがこんな状況だったようです。

原発の港湾入り口   4520Bq/kg

原発の南東約20km      304Bq/kg

江戸川・荒川河口    872Bq/kg
多くの場所は100Bq以下

河口から8km      1623Bq/kg
最大になるのは2年2ヶ月後と予想。
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東京新聞にネタを提供したガッコの先生はこの特集を思い出して似たような測定をしたのでしょうか?
「最大になるのは2年2ヶ月後」という話でしたが、結果は似たような数字で最大にはなっていないようです。

福島から飛んでくるというか滲んで来るのは水酸化セシウムです。
強いアルカリ性の物質で酸と出会うと化合物が生成されます。
塩化セシウム、炭酸セシウム、硫酸セシウムなどです。
水に溶けやすい物質ですが、溜まっていた水が蒸発するとホットスポットが形成されます。水捌けの悪い場所では何時までも流れ去ってくれない事になります。

それでも少しずつ溶けて川から海へと流れていきます。
海水は淡水に比べ塩をはじめ多くの物質を溶かしこんでいますから、淡水ほどの溶解キャパシティがありません。海水に溶け込めずに極僅かですが汽水域で析出する事になります。塩分と出会って変化するセシウム化合物があるのかも知れません。
河口から8kmで最大だったのにはこんな事情があります。

広い関東平野に落下した放射性物質が河口に集中しますから、河口の放射線濃度が高くなるのは当然なのです。
改めてセシウムの1189ベクレルは高濃度の汚染なのかどうか考えて見ます。

成人男性の身体では6000ベクレルの放射性物質が常に崩壊しています。
代表的核種はカリウム40と炭素14です。
人体の60%は水分と言われています。60kgの人には36リットルの水が含まれています。1リットルの水の中ではトリチウムが1ベクレル崩壊していますから36ベクレルのトリチウムが崩壊している計算になります。トリチウムは崩壊熱量は小さいですから36ベクレルでは6000ベクレルの中では無視できます。

K40とC14が約3000ベクレルずつ崩壊しています。
K40は1ベクレルあたり最大1.31MeVのベータ線と1.46MeV(10.7%)のガンマー線を放出します。
これに対しC14は最大0.156MeVのベータ線しか放出しません。
同じ約3000ベクレルと言っても、C14の崩壊エネルギーは無視しても良いくらいの話です。

セシウム137は最大0.512MeVのベータ線と0.6617MeV(85.1%)のガンマー線を放出します。
海底の泥の中にセシウムがあっても放出されたベータ線は泥の中から出て来れません。表面で崩壊したものが外へ出てきますが、海水の中を数ミリしか進めません。泥をすくって地上に持って来ても空気中でも2~3メートル離れていれば、最大値で放出された電子が衰弱してやっと届くかどうかの話になります。
体内で細胞の水圧調整をしているカリウムから放射線を浴びるのとでは大きな差があります。

「局地的ながら1189ベクレル/kgと非常に高い濃度のセシウム」を含んだ泥を「汚染」と呼ぶのなら、体内に3000ベクレルのK40を保有している東京新聞の記者は自らを汚染物質と呼ぶべきでしょう。

体重60kg、3000Bqとして1kgあたりは50ベクレル。河口の泥よりは汚染されていない、と言うのかも知れませんが、局部的には数百ベクレルを越える部位もあると思います。
どう見ても図にある(3~1189ベクレル)よりは汚染されていると思います。

1189ベクレル、これっぱかりのセシウム137を水に溶かして飲み込んだとしても、全てが人体に吸収されるわけではありません。大半がすぐに排出されてしまいます。
人体に影響など出る筈がありません。

ベクレルという単位はほんの僅かな放射性物質が存在しても大きな桁で報道できますから、外国人が仕切っている日本のマスコミには重宝です。

ゴイアニアで人が死んだ時のセシウム137の崩壊量は50兆ベクレルです。
1189ベクレルは420億分の1です。

かの長靴を履かなかった二人は420mSv/hrの放射線を浴びたと言われています。
それであの熱傷というか日焼けです。
 420mSv=420mGy
1kgあたりの被曝熱量は、
 420x10^-3x6.24x10^12=2.62x10^12MeV/hr
1秒間あたりの被曝量は、
 2.62x10^12÷60÷60=7.28x10^8MeV/秒
核種がセシウム137だけだったとすると、セシウムの1ベクレルあたりの崩壊エネルギーは、ベータ線、ガンマー線合わせて、
 (0.512÷3)+(0.6617x0.851)=0.714MeV

 7.28x10^8÷0.714=1.02x10^8Bq
セシウム137が約1億ベクレル崩壊している水に足を浸けていた事になります。
1189ベクレルは約8万4千分の1になります。
 
くるぶしの質量は1kgあるのか?
あの水は圧力容器を洗浄した水だから沃化セシウムや水酸化ストロンチウムもまざっていたのではないか?
沃素の崩壊量はセシウムより大きいのでは?
いろいろ問題はありましょうが、河口の泥に足を入れても、1189ベクレルで日焼けをする事は不可能です。

東京新聞の記事には調査方法としてゲルマニウム半導体検出器を用いて8時間かけて乾燥させた泥を測定したとあります。
液体窒素で冷やして8時間かけないと数百ベクレルの崩壊量のセシウムは検出できないようです。
外部からの放射線を遮断して、前に測った試料の残存の影響を断って測定します。

持ち歩き出来るサーベイメーターや検出器で数百ベクレルが検出できるのなら8時間もかけて測定することはありません。
ここで登場するのが週刊朝日の記事。

筆者と取材班がさっそく1台300万円以上する測定器をレンタルし、都内のスーパーで買い込んだ食材を測定したところ、次々とセシウムが検出された。
まず、セシウムが出たのは、秋の味覚レンコン。この秋収穫されたばかりの茨城産が22.68ベクレル(セシウム134と137を合算、単位はベクレル/kg、以下同じ)と表示された。


週間朝日が物凄い性能の測定器をレンタルしたのか?
1千万円以上するゲルマニウム半導体検出器で8時間もかけて測ったガッコの先生がアホなのか?

乾燥なんてしたら水酸化セシウムは水について行ってしまうのではないか?
いや、もう強アルカリの水酸化セシウムは残っていないでしょう。
事故直後の水酸化セシウムが元気な時に乾燥させて測っていたのなら問題ですが。