漆喰の主成分は消石灰であり、消石灰は石灰石から製造されます。
漆喰の主成分の消石灰は、壁面に塗布された後、長い間に空気中の炭酸ガスと徐々に化学反応を起こします。
化学式で書くと次のようになります。
消石灰 = Ca(OH) 2
Ca(OH)2 + CO2 = CaCO3 + H2O
H2Oは言うまでもなく水です。これは水蒸気となって蒸発します。
CaCO3とは炭酸カルシウムです。そして炭酸カルシウムとは石灰石です。
つまり、漆喰は年月の経過とともに石灰石に変化していきます。
ところが、上にも述べたように、漆喰の主成分の消石灰は、石灰石から製造されます。
ということは、石灰石から作られた漆喰は、元の石灰石に戻っていくわけです。
これは天然のサイクルです。こういうことを知ると、自然界には不思議なこともあるものだと思います。
同時に、こういう科学の知識がなかったはずの私たちの先祖が、漆喰を使っていたという知恵にも感心します。
石灰石は文字通り石です。しっくいは年月の経過とともにカチカチの石と化していくわけです。
前にも述べましたが、日本では、不思議なことに、石灰を含まないのに「漆喰」と商品名を付けている材料が売られています。
また、漆喰ではないのに漆喰だと思えるような商品説明をしている材料もあります。
しかし、そのような「漆喰モドキ」では、こういう天然のリサイクルは起こりません。
糊には伝統的には角又(つのまた)などが用いられます。
またスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強もします。
漆喰は硬化とともに収縮するので、それを少なくするために川砂を用いることもあります。
スサや川砂・珪砂を混ぜるとテクスチャも変わってきます。
ヨーロッパの建築にも石灰が使われています、それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルです。
糊の有無を別にすると、日本の漆喰と同様な石灰の壁です。
ヨーロッパでは生石灰クリームも使われています。
生石灰を大量の水で消化させ、ペースト状にして、数ヶ月さらには数年寝かせたものです。
寝かせることで、消石灰の結晶が成長し、可塑性などの性質が向上します。この生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく、表面硬度が硬く、コテによる艶が出やすい性質を持っているとのことです
ヨーロッパでは生石灰クリームも使われています。生石灰を大量の水で消化させ、ペースト状にして、数ヶ月さらには数年寝かせたものです。
寝かせることで、消石灰の結晶が成長し、可塑性などの性質が向上します。この生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく、表面硬度が硬く、コテによる艶が出やすい性質を持っているとのことです。
この消石灰をイタリア語でグラッセロ(GRASSELLO)と呼びます。
いつも使用しているのイタリア漆喰の消石灰は、2年ほど寝かせたグラッセロを使っています。
コストは、粉体の消石灰の10倍ほどするようです。
(グラッセロは、イタリアの伝統的な石灰製造法で作られると言いましたが、イタリアでも、粉体による石灰を使ってイタリア漆喰を作っているメーカーはたくさんあります。)
石灰の既調合品は数種類販売されています。
ほとんどは現場で水と練り合わせて用います。
「消化」させるわけですが、実はこのときに熱を出すので、素人には危険を伴います。
生石灰クリームであれば、すでに水と合わされているのでそうした心配はいりません。
