珪藻土自体は水を加えても乾けばまた土の状態に戻るけれども、石灰や石膏(せっこう)、セメントは固まります。その性質を利用して左官材に使われてきているのです。(これらに珪藻土を混ぜて左官することもできます。)
石灰、せっこう、セメント(ポルトランドセメント)は化学反応によって硬化します。
石灰は二酸化炭素と反応して硬化する(気硬性)。
石膏やセメントは水との反応で硬化します(水和反応)。
せっこうの化学成分は硫酸カルシウムで、それには結晶水の量によって3種類ありますが、普通「せっこう」というと焼せっこうの「半水せっこう」と、それに水を加えて硬化させた二水石膏(結晶石膏)とを指します。
半水石膏は水を加えてると10数分で発熱硬化します。
そのために左官に用いるせっこうプラスター(せっこう左官材)には凝結遅延材が加えられています(ボード用せっこうプラスターの凝結時間は1~16時間)。
せっこうプラスターは、乾燥・硬化による収縮が非常に小さいためにひび割れしにくい、中性または弱酸性なので乾燥後に油性ペイントが塗れる、結晶水があるために火災時に防火性能が大きいなどの特徴があります。
しかし施工時に長時間の練り置きができない、水や湿気によって変質しやすく耐水性がないという弱点もあります。
石灰岩や貝殻を焼成すると生石灰(きせっかい、せいせっかい)になる。
成分は酸化カルシウムです。
なお石灰岩からできたものを石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。
生石灰に水を加えると発熱膨張して消石灰になります。
またこの現象を消化と呼びます。
生成された消石灰の成分は水酸化カルシウムです。
消化には水を加える方法ではなく、湿った空気中で自然消化させる方法もあり、これによる消石灰は可塑性に富み品質が良いとのこと。
消石灰に水を加えて練り合わせ、壁に塗りつけると、乾燥後に空気中の二酸化炭素と反応して、もとの石灰石の成分である炭酸カルシウムになります。
消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、作業性を向上させるためにこれに糊を加えたものが漆喰(しっくい)です。