ツールドフランスのススメ② | トリプルセブンの低空飛行

1話で終わらせるつもりが長くなったので今回②として続きを書きます。

 

いくつか賞がある

マイヨジョーヌ

自転車競技に興味がなくても「マイヨジョーヌ」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。これはフランス語ですが、直訳すると「黄色ジャージ」となるのですが、前日までの総合タイム(通算タイム)1位の選手は、チームのユニフォームではなく、黄色の特別ジャージを着用してレースにでます。

もちろん最終ステージ後にマイヨジョーヌを着ていた人がチャンピオンなわけですが、200人近い選手が出場する中、1日でもマイヨジョーヌを着たいと思っている選手もたくさんいます。

 

実は、ロードレースでは、最速タイムを競うだけではなく、ポイント獲得競争も同時に繰り広げられています。

 

マイヨベール

直訳すると緑のジャージです。これはスプリント賞で、各ステージの途中やゴールに設けられたスプリントポイントの通過順で点数が与えられ、その合計で競います。

スプリントポイントは基本平坦な場所に設置されており、陸上でいうと短距離が得意なパワー自慢がその順位を競います。

 

ちなみに最後のスプリントポイントは例年決まっており、最終21ステージのゴール、シャンゼリゼ大通りです。

 

マイヨブラン ア ポワ ルージュ

ちょっと難しいですが、直訳すると白地に赤い水玉ジャージといって、山岳賞のことです。マイヨベールと同様に設定されたポイントを取っていくのですが、山頂に設定されており、山の難易度によってポイントが異なります。

 

箱根駅伝と同じで、総合タイムというのは山の登りで差がつきます。グランツールはどこもそうだと思うのですが、総合優勝(マイヨジョーヌ)を狙う選手は、山登りが得意です。しかもステージのゴールが超級の頂上フィニッシュということも多いため、近年は総合優勝者と山岳賞が同じ人ということもよくあります。

 

マイヨブラン

これは、文字を白くすると見えなくなるので黒にしましたが、白ジャージです。新人賞で、25歳以下の総合タイムトップ選手に与えられます。こちらも最近は若手の台頭著しく、総合優勝者がマイヨブランの対象者ということが続いています。25歳という設定がどうなのかという議論もあるそうです。

 

みんな違ってみんないい

ツールドフランスの魅力の1つはこれだと思っています。賞の価値としては総合優勝が一番高いのは間違い無いのですが、でも出ている選手がみんな総合優勝を目指しているわけではありません。

 

マイヨベールを目指す選手もいれば、自分が得意とするコースでステージ優勝を狙う人もいます。また、チームから総合優勝者を出すことが目標のチームにとっては、エースが優勝できるようにアシストする選手もいます。いろんなチーム、選手がいろんな役割を担い、いろんな賞を狙って走っている、それがツールドフランスの奥深さです。

 

 

アシストについて

自転車ってめちゃくちゃ空力がものをいう競技です。そしてその空気抵抗は、先頭を走る選手と2番目以降を走る選手では、天と地ほどの違いがあります(あるそうです)。

なので、チームの中で勝たせる選手、ポイントを取らせる選手は、できるだけチームメイトの後で走り、最後の最後で前に飛び出してゴールさせるのが必勝法となります。

 

逆にいうと、アシストは自分が勝つことは無いのにひたすらチームのエースのために風を一身に受け止めて漕ぎ続けなくてはなりません。そしてエースはそのチームメイトの献身的なサポートに応えなければならいというプレッシャーもあります。

 

テレビを見ていると、複数のチームが集団で走っている状況をよく見ます(というかそれが普通)。すると他のチームの後ろで風を避けながら走るチームもあります。私も「ずるいなー」なんて思いながら見ていますが、集団の先頭を走ることのデメリットもありますが、集団やレースをコントロールするというメリットもあるようです。正直この辺は私にもよくわかりません。

 

今日はここまで。できれば次回を最終回にしたいと思います。