Little Friends -614ページ目

「北斗星」の旅路~食堂車「グランシャリオ」⑧

(続き)食堂車の厨房は、大変狭いうえに時間にも制約があるから、一から調理していては間に合わない。

そのため、地上の厨房で必要最小限の下ごしらえをすませ、真空パックして列車に積込むのだが、ステーキを焼いたり、天ぷらを揚げたりなどの、味を左右するような基本的な調理は車内で行う。

あの揺れる車内で包丁を使うなど、揺れないラーメン屋の厨房で指を切ってしまう僕には、とても真似できない芸当だ。

食堂車はNRE(以前の日本食堂)が営業しているが、食堂車のメニューは、JR系のホテルの料理長が味や構成を担当していて、新しいメニューが決まると、食堂車のスタッフはホテルの厨房で講習を受けるそうだ。

その料理を、狭くて揺れる車内で調理しなければならない。しかも、火災防止のため、調理に火は使えず、コンロもオーブンも全て電気だ。業務用だから火力は強いものの、火加減の調節はガスより難しい。

しかも、「カシオペア」の厨房には設置されているサラマンダー(焼物器)やフライヤーは、「北斗星」の厨房にはないそうだ。

もちろん、鉄人坂井や中村孝明の料理にはかなわないにしろ、これだけの制約下では、じゅうぶん合格点の味だと思う。(続く)

「北斗星」の旅路~食堂車「グランシャリオ」⑦

(続き)食堂車なんて、高いしまずいし、どうせレンジでチン!だろ?

そう言う人もいるが、完全な誤解だ。かつてのビュフェは電子レンジだったから、そのイメージがあるのだろう。僕個人としては、食堂車の料理はじゅうぶんおいしいと思う。

「北斗星」登場以前にも、北海道を走っていた特急「おおとり」で食べたイカのホッポ焼きやホッケ、寝台特急「はやぶさ」で食べた「ミックスフライ定食」、「あさかぜ1号」の「玄海御膳」、東海道新幹線の二階建て食堂車で食べたビーフシチュー、どれも大満足だった。

もちろん、前にも書いたように「キャンプのカレー」と同じような、特殊な心理も影響するが、でも、列車内で流れる車窓を眺めながら、できたての暖かい食事が味わえるだけでもありがたいて思う。

ましてや「北斗星」では、本格的なフルコースや懐石御膳だ。文句を言う方がおかしい。

日本のグルメと呼ばれる人たちは、まず味に難癖をつけるのが食通だと思い違いをしているような気がする。それでいて、意味のないネームバリューには弱い。

これは、ラーメンの世界も全く同じ。有名=美味ではない。そして、そういう輩の評価に、我々も左右されすぎている。(続く)

「北斗星」の旅路~食堂車「グランシャリオ」⑥

(続き)隣のカップルに、メインのステーキが運ばれてきた頃、僕の方は食事を終了。もちろん満足した。

隣の女性は、男性が食べようと切った肉をニコニコしながら横取りしている。横取りされた男性も、「あっ、こら!」と小声で言いながら、満面の笑みだ。

厳密にはマナー違反だが、誰に迷惑をかけるわけでなし、さりとて、いつまでもあてられっぱなしもイヤだから席を立った。

レジでビールの料金を払う。レジ横には、車内販売のワゴン。いろんなお土産品もある。

時刻表には「車内販売あり」と書いてあり、確かにあるのだが、常に車内を巡回しているわけではなく、食堂車業務の合間を縫ってのことだから、お急ぎの方や、車内で駅弁を買う場合などは早い者勝ちなので、自分で食堂車まで出向いた方がいい。

「カシオペア」の場合は、個室へのデリバリーのスタッフが車内販売も担当するから、割と頻繁に来る。しかも、車内販売が来ると、個室内にお知らせランプが点くから便利だ。

「北斗星」の場合は、昔ながらに「お弁当に、お茶はいかがですかぁ~」だ(笑)。

また、車内に飲物の自販機はあるが、アルコールはないので、食堂車営業中に車内販売から買うしかない。(続く)