食道がんのステージ2・3の場合、海外では化学放射線療法と術前化学療法+手術は同等の効果との報告、との記載を見受けての疑問があります。

1つ目は海外では手術でのリンパ節郭清の範囲が狭く、そのため放射線によってそれを補っているという点になります。

2つ目は日本では9割が扁平上皮癌、欧米では7割前後が腺癌であるという点になります。

3つ目は2018年頃のデータではありますが、欧米では食道癌の5年生存率が30%以下と日本に比べてかなり低い点です。

これらの点から欧米での化学放射線療法と術前化学療法+手術の結果が同等との報告を事情の異なる日本でも同じと言って良いのかは疑問を持っています。


話は変わりますが、胃癌では欧米では手術単独よりも手術+術後放射線療法のほうが良い結果であるとされてきたそうで、欧米では日本と異なり第2領域リンパ節郭清を省略し、今でも放射線で補っているようです。

最近になって臨床試験で第2領域リンパ節郭清までによる手術と、第2領域リンパ節郭清+放射線療法の結果には差がなく、放射線追加の効果は否定されたとのことです。


海外の報告を参照する場合には前提条件を確認しないとそれが日本の場合にあてはまるのかは何とも言えないのでは?との疑問があります。